よいかわるいかわからない

身体が動いてないとおもうということは
心のなにかがそれを静止させている

薄っぺらい憲法と分厚い法文集の数々
できることとできないことのつまったルールの累積
そんなものは古代にはなかったろうに
文字ができ紙に書きいまは電気的に記録される大量の決め事の記述

感覚より過去への参照で正しいこと悪いことをふるいわけ
人が人を罰し投獄しさらにたまには死をも宣告する

感が人を動かすまえに
過去の記録との照らし合わせが
人の行動と存在を制限する

脳に特化しすぎた作用で
動くことができないでいる

この文字の海この文章の束に浸りだして久しい
もう首根っこくらいまできていて
窒息し溺れそう

地球上の人が全員で「いち・にいの・さん」ってみんないっせいに
それを焼いたり破いたりして捨てることができたら
きっとすっきりするだろう
有史以来蓄積してきたルールの記録は消滅するから

自らしたことが人にきかないとよいかわるいかわからない
責任の所在が自分とはべつのところにあるような錯覚
専門家でなければ事象を理解し解説し評価するのが困難とおもうような幻想

ほんとうは心ですべてわかっているのに
語らず内に秘めて沈黙し
他人の頭で総括し代弁してもらう

分離された精神
乖離した心と体
共有される心理

人身のパーツを入れ替える医療があるように
人心の一部も他人と共有され補完され
独立した個人の成立をさまたげる

人と人をつないだ文字が
人の心と身を分離しだしている

よいかわるいかわからない

よいかわるいかわからない

法律がいっぱいできて文字まかせになると、まずいんじゃないかなとおもいました。

  • 韻文詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2015-02-12

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted