旋律の海原に

 ゆらゆらと揺られていると、俺の心はいつもとても心地の良い物になる。いつまでもこの場所にいたくなる。願わくば、雨が降っても嵐のときでもそれが可能な物体になってしまえたのならと思うことさえこの有機の世界で思わせて来る力が無重力にはあった。この潮風は何処から吹くのか、どうして俺の心を魅了して止まないほどに爽やかなのか。
 俺の目を奪う満天の天の川は細やかで澄んでいた。見る事に終わりなど無い宇宙の無限と、数え切れるなど出来ない程に多いこの星のきらめきに情操だけでも飲み込まれて、体はそっとたゆたって、魂が漂流していく。近くて遠い間際で。
 小舟に揺られながら夜を楽しんだ。
 

旋律の海原に

旋律の海原に

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2015-02-11

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