読者様へ。

初めまして。
読者様。
僕は今、ある女をストーキングしています。
昨日ついに彼女の家をつきとめることに成功しました。
ストーキング初心者の僕ですが、僅か1日で家をつきとめるあたり、ストーキングの才能があったようです。
現在彼女が僕の存在に気づいている気配は全くないです。
早く気づいてもらいたいなあ。そして彼女を怖がらせたいなあ。あのかわいい顔が僕の行為によって歪められる様を早く見てみたいなあ。

初めまして。
読者様。
私は以前、好きな人を殺しました。
彼はとても素敵だったのですが、私の愛が理解できなかったみたいでした。
彼に1000回好きだと言いました。彼の家のインターホンを1000回ならしました。彼の電話に1000回掛けました。そしたら彼は泣いて私を拒絶しました。完全に彼は狂ってました。可愛そうだったので1000回刺して殺しました。

さようなら。
読者様。
彼女は学生の頃から同じサークルのあいつだけを見つめていて、結果的にあいつを殺してしまったけど、彼女はただ愛を理解してほしかっただけなんです。
刑務所で再開した彼女は学生の頃から全く変わってなくて、素敵で、あいつだけを思っていました。
警官姿の僕に全く気づく様子はなく、あの頃と同じように僕の愛にも気づいてくれませんでした。
だから僕はストーキングをしています。
彼女を理解できる僕だからこそできる愛情表現です。

さようなら。
読者様。
刑務所に入ってから私は後悔しかしませんでした。彼の未来を奪ってしまった事に対しての罪悪感で死にそうでした。
今でも立ち直れてはいません。たぶん一生背負う事になるでしょう。
釈放され、今は自由ですができるならひどい死に方をしたいです。
彼と同じように死ねれば少しは楽になれるかもと思います。
そういえば、一週間前から警官が私をつけてるようですが、やはり見張られているのでしょうか。
あの警官は少しも私を理解できないだろうな。

終わり。

読者様へ。

読者様へ。

  • 小説
  • 掌編
  • サスペンス
  • ホラー
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2015-02-10

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted