タア坊日記02

タア坊日記02

加藤文具店に到着しました。

加藤文具店就職初日

タア坊日記02
                            甲斐興梠
看板の掛かった下のガラス戸の鍵を一彦さんが開け
「ここからは入りんさい」と入って行き奥の方に行きます。
夜中なので誰もいません。
奥から更に隣の倉庫みたいな家に入ります。
「ここの2階じゃけん」と一彦さんに案内されて階段を上がります。
部屋に入ると左右に二段ベットがあり左の二段ベットの下で男の人が座っています。
「おー!井上君起きちょったと」「はい眠れなかったので起きてました」と男の人
この部屋には井上智夫(大阪から来たらしい)他の二人は山口県田布施町から来た
大畑正志君と松田健一君がいましたが、大畑君と松田君は寝ています。
明日紹介をするからと一彦さんは自分の部屋に行きます。
タア坊は「御所達彦です。よろしくお願いします」と井上さんに挨拶して荷物を解き
寝ることにしましたが、なかなか寝つけませんでした。
この加藤文具店にはこの三人の他に女の従業員が二人、社長、女将さん(女将さんは
一彦さんの母親)、部長、係長(この二人は住み込みで無く、家からの通勤)が
生活していると後で井上さんから聞きました。
明日からは仕事です。少しでも寝なくてはいけないとうとうとしていると夜が明けました。

「今日から一緒に働くようになった御所君です」と社長から紹介され
「御所達彦です。よろしくお願いします。」と挨拶
一彦さん(加藤文具店では専務)が「御所君は車の免許書持っているね今日から
東西工業の配達を頼めるので助かるクロちゃん頼みます。」と言いました。
クロちゃんは本名川口みつ子で色が黒いからクロちゃんと呼ばれています。
車はこれだからと昨日乗ったライトバンを運転して店の前に置きます。
「この車ですか」と達彦は答えましたが運転免許は卒業前に取ったばかりで
教習所以外の車に乗った事はありません。
「東西工業に行く道が解りません」「クロちゃんが全部知ってる」と専務
初めての車、初めての道、なるようにしかならないとタア坊は思いました。
 
配達の荷物を積み込み助手席にクロちゃんを乗せて出発、したとたんエンスト
「あんた大丈夫」「すみませんクロちゃん」「クロちゃんじゃない私はみつ子」
「すみませんみつ子さん」「専務!この人大丈夫」一彦さんが飛んできて
「御所君運転大丈夫!」「大丈夫だと思います」
空吹かししながら、がくん!がくん!と出発します。
このころはオートマチックは未だ普及していなく、全てギアーチェンジです。
「えーとこの信号を・・」「右、あんた道全然知らんとね」「広島始めてなので」
まともに行けば30分くらいで行けるのにかなり時間が掛かって東西工業に着きます。
東西工業は広島で一番の大企業でトラック、三輪車等を製造しています。
最近は乗用車も製造、今乗っているライトバンも東西工業の車です。
東西工業に入門するには東西工業の車しか入れません。
他社の車だと遠く離れた所に駐車せざるを得ないので物理的に無理です。
クロちゃんが入口で手続きを済ませ、入門し資材置き場と看板が有る所に車を止めます。

タア坊日記02

まだまだ続きます。

タア坊日記02

加藤文具店の様子と従業員の構成

  • 小説
  • 掌編
  • 青春
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2015-02-09

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