理想、頭ヲ逃走スル。

理想、頭ヲ逃走スル。
『ここはエキという場所ですね、人が沢山くる場所のはずですが、ここは無人のようですね』
「エ.........キ」
私はエキに座っていたようだ
エキは静かだった
まるで私を軽蔑するかのように
『貴君、ここにずっといてても意味はないでしょう、次に行きましょう』
「次が....あるの?」
『ええ、ありますとも、貴君が信じればどこまでも道はあります』
道を探す
私は椅子から立ち上がり、
前へ進んだ
『おっと、貴君お待ちください、そこにはセンロがありますね、お気をつけて』
「落ちればいいの」
『ええ、好きなだけ』
私はリソウの言う通りセンロへ落ちた
ずっとずっとずっと
どこまでも終わりがないように
それでも
そこは終わりがあった
まるで人のように
私はゆっくりそこに降りた
「ここは」
『コウエンのようですね、ここも色んなコドモが遊んでるはずですがここにはいないようですね』
『私もよくここで遊んでいたものです、懐かしいです』
「懐か.....しい...」
私はコウエンを見回した
そして私は砂が沢山集まってる場所を見つけた
そこには小さな城が建っていた
「城、立ってる」
『あれは砂場の砂で作ったのでしょう、見ていきますか?』
リソウは言う
私は無言で頷いた
『コドモが1人もいないというのに作ったばかりのような砂の城があるんですね、不思議なものです』
その砂の城は遠くから見ると綺麗に見えたが
近くからみると所々雑な所があって、少し崩れていた
『貴君は作ったことはありませんか』
リソウは私に喋りかけた
「私には.....ない」
私は俯いて言った
『そうですか...あっ、そうです、城の中に入ってみるのはどうでしょう、私なんぞの提案で申し訳ないのですが』
「入れるの、こんなに小さいのに」
『先ほども言った通り貴君が信じればどこまでも道はあるのです、私はそれについていくだけ』
リソウは言った
私はリソウの言うことを聞き、砂の城へ入っていった
長い長い廊下だった
私は躊躇いもなく歩いていく
『中々長い廊下ですね、眠くなってしまいそうです』
『私もお城などに夢を描きましたね、あの頃はとても楽しい日しかありませんでした、ですが今になっては...』
私はリソウの話をずっと聞いていた
無言で相槌もたてずに
ずっと
でも色んな物が見えてくるのだ
空想や妄想ではなく本当にそこにある
そして色んな物が聞こえてくるんだ

「ねえ、今日は何して遊ぶの?」
「僕も入れてよ」
「1人だけずるい」
「楽しいね」
「それじゃあ次はさ」

この声はリソウのいうコウエンのコドモ達の声なのだろうか
あまり聞き慣れない甲高い声だ
でもどこか小さくてそれはすぐに消えてしまった
そして私は歩き続けた
だけどある時

「ねえ!お姉さんも一緒に遊ぼうよ」
「いいね!それ!」
「賛成!賛成!」
「お姉ちゃんは何して遊びたいの?」
「ほら、言ってよ」

「えっと....私は...そんな....」

「お姉さん、早くしてよ」
「ねえ、まだ?」
「早くしろよ」
「私もう帰るね」

「ま、待って.....っ!私...!」

置いていかないでほしい
私をいらない子扱いしないでほしい
私も一緒に
『貴君!貴君!』
リソウの声がした
『どうか致したのですか?休憩がしたいのなら申してください。
ほら、出口も見えてきましたよ』
出口はもう、すぐそこにあった
そして私は気づけば歩き出していた

理想、頭ヲ逃走スル。

理想、頭ヲ逃走スル。

理想と歩く少女の話

  • 小説
  • 掌編
  • ファンタジー
  • 冒険
  • ミステリー
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2015-02-07

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