明日、世界が終わるとしたら 2
明日、世界が終わるとしたら何をしますか?
明日、世界が終わるなんて、、、。
そんなのありえないだろ。僕は信じていなかった。どうせ、そんな事言ったって。結局は、誰かの予言が外れたように、テレビで報道している事も外れる。5日前はそんな風に思っていたーーーーが、終末を迎える前日になるとなんだか、そわそわしてきた。怖いわけじゃない。なんて言ったらいいのか、胸の奥が変な感じに、、、まぁ、説明出来ないからいいや。
「今まで何だったんだろう」
自分で言うのもなんだけど、俺は頭が良い。今だって偏差値の高い大学へ通っている。ちゃんと単位を取り、欠席する事なく。真面目に。でも、今日くらいは許してくれ。どうしても大学に行く気がしなかったんだ。いや、明日、世界が終わるんだぜ? 何を学びに行くって言うんだ。
僕は最初から頭が良いわけでは無かった。そう、天才って奴ではない。頑張ってきたんだ。一生懸命に勉強してさ、今でも覚えているよ。中学の頃は土日なんか、友達とは遊ばずにずっと勉強をしていた。まぁ、そのせいか友達と呼べる人間はいなかったけどね。そのおかげで、良い高校に入れて、高校でも周りの天才達に置いてかれないように、勉強をしたさ。でもやっぱり、エセな僕と天才って奴の差は開く一方だった。その頃知ったよ、努力は才能に勝てないって。だけど、僕から勉強を取ったら何が残る? 好きな女優や、好きな食べ物、そんな事を言い合える友達もいない。それに、愛しあえる恋人もいない。あ、決してモテない訳じゃ無かったんだ。中学の頃は結構、告白ってのをされたんだけど、勉強に集中したいからって断ってきた。
後悔はしてない。と言ったら嘘になる。生きているうちに彼女は作りたかったな。
まぁ、とにかく高校でも勉強、勉強、勉強。まぁ、それあって今の大学に通えているんだけどね。だけど、無駄だったかな。
明日、世界が終わるんだ、、、、無駄だろ。
やり直したい、人生をやり直したかった。
明日、世界が終わって知っていたら、こんな風に歩んで無かったさ。友達もいっぱい作ってさ、彼女も作って、思い出ってのを作りたかった。みんなと笑顔で撮っている写メなんか、携帯のカメラロールとかに保存したかったよ。僕のカメラロールを見たって、綺麗だと思った景色かこの頃、ベランダで育ててたプチトマトの写真だけ。
見てて、悲しくなるよ。
とにかく、今まで育ててくれた、両親には連絡をいれた。
《今まで、ありがとう。》
これだけかと思うかも知れないけど正直、これ以上言うことがない。終末を迎える事によって、テレビではやり残したことがある人はやっておきましょうみたいな事をあの女性キャスターは言ってたけど、僕の場合は無気力になってしまう。だって、無理だろ。時間もないし、何しても明日終わるんだから。ーーーーまて、何しても明日終わるんなら、何してもいいのか。
じゃあ、何をしよう。何をやってもいいんだ。何を、、、、、。
僕は急いで靴を履き、外へ出た。明日、世界が終わって言うのにいつもと変わらない景色がそこにあった。
僕は携帯を取り出し、カシャリ。
この、写真に題名を付けるとしたら、どんな題名にしようか。うーん、まぁどうでもいいや。
まずは、近くのスーパーへと向かった。しかし、中は散らかり放題。店員も誰もない。そりゃ、そうか。少しお腹が空いたから、お菓子と飲み物を持って外へ出た。万引きなんて一度もやったことない。万引き常習犯はこんな風になんの罪悪感もなのかな。
ついでに、ナイフも一応持っていこう。
なぜ、ナイフも取ったの? そう聞かれたら、僕はなんて答えていただろうか。多分、やっぱり怖くなって置いていったかもしれない。
ぶらぶらと、すれ違う人と目が合いながら知っている道を歩いていた。そうしているうちにすっかり暗くなっている。
時間が進むのが早い気がした。まぁ、気がしただけで実際には早く進んでいない。ちゃんと足も痛いし、長い時間歩いていたのだろう。
手に持っているナイフが、勇者の剣みたいで、今僕は、大魔王を倒す勇敢な勇者になっているみたいで、そんな感じがしていた。勉強ばっかりで、RPGゲームなんてやった事ないから分からないけど、、、、。
あ、目の前にモンスターだ。
やらないとやられる。
僕は、剣をモンスターへ向け刺した。多分、脇腹部分にヒットしたと思う。そのモンスターを倒したのかは分からない。今は走って家に帰っているから。振り返る事が怖かった。やっぱ、勇敢な勇者も怖いのだ。
家に帰った頃には、完璧に夜になっていた。
付けているテレビは終末を迎える、迎える。その話題でもちきり。チャンネルを変えたって同じ内容。僕は寝たよ。明日はちゃんと大学へ行かないと、単位をこれ以上落とされないから。
寝起きは良かった。いつものように、顔を洗い、歯を磨く。部屋のカーテンを開けると、綺麗な流星がたくさん降っていた。
育てている、プチトマトとそっくりだ。
「そろそろ、食べ頃じゃないかな」
誰にも注いだことのない愛情を注いで作ったんだ。美味しいに決まっている。
プチッとまだ青いプチトマトを取り、僕は口へ運んだ。
「、、、愛情、、、足りなかったかな、、」
昨日から付いているテレビからは女性の声で、さようならと聞こえた。終わりに近づいていく。終わる、終わる、終わる。
なんだ、僕、泣いてんのか?
そっか、もう無理しなくていいか。
僕は教科書を見ても分からないことが一つだけあった。
僕は、大きく手を挙げ終わりゆく世界に質問した。
「、、、、僕に愛情を教えて下さい」
明日、世界が終わるとしたら 2
世界にはいろいろな価値観があると思います。
その中で、誰かと共通した考えがあったしたらそれは凄い事だと思いませんか?
物語を書く上で、自分が面白いと思ったとしても他人がそれをおもしろいと思うとは限りません。一人にでも面白いと思ってもらえる。それは、物語を書く人にとってどれだけ嬉しいことか。読んで下さってありがとうございます。