吸血鬼
電車に乗ってるときに暇なので書いた作品です。
すっごい短いですがよかったら読んでいってください
「お父様、どうして私達は血を飲まなきゃいけないの?」
幼き少女の問、その言葉には幼き故の無知さの好奇心だった。
「それはね、吸血鬼だからだよ」
幼き少女は首を傾ける。
「吸血鬼?」
まだ、その子には理解できなかった、人間と同じ外見なのに人間と差別されなければいけないかを。
「ああ、人間社会にあるべきではない闇……なのかもしれないものだよ」
父の顔にはいつもの笑がなかった。
「お父様の言う事は難しくてわからないよ」
無邪気な少女はまだ知るべきではない。
まだ、何も知らないまま今この時間を過ごして欲しい。
出来るならばこのまま何も知らないまま成長して欲しい。
だがそれは夢物語にすぎない、いつかは理解しなければいけない時が来るのだ。
その時までは今、この平穏な日常を大切にして欲しい。
父はそう、願うしかない。
できれば普通の家庭に産まれたかっただろう。
呪われし血の継承者ではなく。
「2人共ーご飯よー」
母の声が聞こえる。
その言葉に目を輝かせ、母の元へ駆け寄っていく幼き少女。
「こらこら走ると転ぶぞ」
そんな一見普通の家庭。
そう、普通の人間と比べたってこの平穏な日常は変わらないのだから。
ただ一つ、テーブルクロスのひかれたテーブルの上に置かれたワイングラスの中身を除いて。
吸血鬼