『 乳脂肪分4.5の罠 』

一時間と少し。
私は便座から立ち上がれないでいた。
全ては特濃牛乳のせいなのだ。
お腹に優しい牛乳しか買わないようにしていたのに、
彼女が間違えて特濃を買ったから。
いや、美味いんだよ。
好きなんだよ。
でも体質的に受け付けない。
大丈夫かと思ったけど、やっぱり。

『……壊され……我らのヒーロ……』

テレビの音が何となく聞こえた。
ヤバい、早く行かなければ、悪の怪人が、怪獣が街を。

「ヒーローが来ないんだって」

ドアの向こう。
笑いを堪えたような彼女の声。

「ねえ、ヒーローが」

ドアの向こう。
堪えようともせず、笑い出す彼女。

「あはは、どうしてだろうね」

……まさか、彼女は。

『 乳脂肪分4.5の罠 』

『 乳脂肪分4.5の罠 』

極短小説。

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2015-01-31

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