モノカタリ

ガタガタコチリコチリ。ガタガタコチリコチリッ。
あなたは生を悲観しすぎていると思う。いつからか。ずっと前から?いいえ、もしかしたら悲観していると気が付いてしまったその時からあなたは人生の多くを悲観しているのかもしれない。つまるところ、悲劇が多くある、なんて受け入れた者の心の持ちようでしかないのだ。
悲しみましょう。悲劇が多くあると思えてしまうその心を。
だけれど、だからこそあなたを受け止める者が必要ですよね。
人は社会を構築している歯車だ。誰が言ったのでしょう。とても素敵。抱き寄せてそのお顔にキスをしたいくらいに。
ねえ、どうしてこれを悲しい言葉だとあなたは思ったの?素晴らしい言葉だとわたしは受け取ります。
あなたもわたしも歯車なんだよ。みんなが噛み合ってようやく世界は回る。そうじゃなければ世界はとうの昔に淀んで腐る。停滞は腐敗。止まったものは役目を果たせず途絶える。
なんでどうせ自分なんて擦り減ったらいらなくなるんだとか、替えが利くだなんて思うのですか?わたしはいつも手をつないでいた手が別の手に代わっていたらこの腕を斬り落とします。あなたが手を伸ばせなくなったらわたしがそばに寄り添います。
だからね、あなたは特別なパーツである必要なんてないんです。
いつまでもそばにいて、ささやいてあげますから。だから、安心してくださいね。


‘こっちの部分は丸ごととっかえればいいんだよな?’
‘ああ、ここら全ては老朽化による廃棄。新品と挿げ替えろだとよ。’
バキンガタン。
‘あー、オイルくせー。メンドくせーしよ。’
‘雇われの辛いところだな。まあ、そうしょげるなよ。’
メリゴキッ。パキンッ。カタン。

モノカタリ

モノカタリ

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2015-01-29

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