始まりの季節~the irreplaceable treasuru
はじめまして。龍之介です
姉弟物のラブストーリーです見てくれたら幸いです
べての光が祝福のライトに見えた。それは色とりど僕らを導いてるようだった。寒さはなく、握っているソレの感覚と多少の熱しか分からない。会話はなく、あるのは時折強く握ってくるソレに返す行為だけだった。その日から僕たちは新たな境界を歩き始めた。
✱✱✱
7月25日
ようやく学校も長期の休みに入る。学生なら誰もが期待する夏休みだ。
特に実るようなこともなく、いつもの日常が平凡に過ぎる日々をゆったりと過ごしていた。両親は共働きで大抵家にいることはなく、ほとんどが出張漬けの毎日だ。そのため、家にはいつも俺しかいない。
僕は何気ないこんな日々が好きだ。時間の経過が自分の周りでは2分の1の速さで進んでいるようで、特にすることがなくエイエンにこうしていたいくらいだ。だが……そう現実は上手くいかないらしい。
1階の家電が鳴り響く。急いで受話器をとると母親からの電話だった。
「あー、もしもし?」
「あぁ、憂くん?突然で悪いけど、明日から千葉のおじさんのとこで暮らしてもらうから支度しといて」
「え?どういうこと?」
「おじさんのところの養子になってもらうってこと」
「なんでさ?」
「お父さんとお母さん海外出張でアメリカに行かなくちゃなんなくて、もしかしたら帰ってこれないのかもしれないのよ、だから、おじのところに養子になってもらうの」
「.....」
「明日9時頃に迎えに来ると思うからよろしくね」
母は言い終わると、ブツリといって電話が終了した。
急過ぎて話がつかめないが、とりあえず支度はしておこう。
ボストンバックに生活必需品やら私服やらを詰め込んで支度を終え、一段落を経て眠りにつくことにした。
/1
一眠りして、起きた時には7時半……お腹もすいてきた頃だった。
作るもの面倒なのでファミレスに行って腹を満たすことにした。
15分程歩くとソコに着いた。
「おぉ憂じゃん!」
「あぁ、凌平か……今から飯?」
彼は同じクラスの浅野凌平。なんだかんだで仲がいい。
「そだよー、お前もか?」
「そんなとこ」
「ならよかった!一緒に食べようぜ」
こうして2人で食べることになった。
中に入って案内されるがまま、席につく。
「憂は何にする?」
「んー、このハンバーグのセットかな、お前は?」
「あ、それいいなぁ!俺もそれにしよ」
「なんだよ、決めてないのに聞いてきたのかよ」
「あっはは」
「「すいませーん!」」
店員にメニューを頼むと、数分足らずに料理が出てきた。
「それにしても、憂が外食なんてまた珍しい。なんかあったのか?」
ーーなんて勘の鋭いやつだ。
「まぁ、色々とね」
「そうかぁ、力んなれることなら協力してやるから、相談しろよな」
返事はしなかった。目線を向けることで肯定した。
「そういやさ、夏休み前に花火やろうってクラスで話してたじゃん」
「あぁ、そんなこと話してたな。それがどうかしたのか?」
「憂あんまりそういうの行かないだろ?」
「まぁ、行ってもつまんないし」
「今年はいこうぜ?せっかく同じクラスになったんだしさ」
「考えとく」
「あぁ、期待しよくよ!」
「食い終わったから帰るわ。金ここに置いとくよ」
「いいよ、今日は俺が奢ったる。憂と会えたことだしな、また連絡しよろな!」
「あ、ありがとう」
「照れてんのか!?」
その一言を無視して変えることにした。
/2
家に着いてすぐ風呂に入った。
まだ心の整理はつかず、半信半疑だったが、考えても仕方ないのでベッドに横になった。
ーーピローン。
携帯の着信音がなった。見ると凌平からだった。
『お前が遠くに行っても、友達だからな』
ーー何だこいつには俺の心が読めるのか?
……まぁ、いいや。俺は寝ることにした。
✱✱✱
7月26日
9時半。
ピンポーンと呼び鈴が鳴り、マジで千葉のおじさんが迎えに来た。
半信半疑だったが荷物を脇に置いて待機していて正解だった。
「憂くんいるかー?」
「はい、今行きます」
「さぁ、車乗った乗った」
「はい」
車のドアを開け乗り込む。
少したって、おじさんが乗り込んできた。
「よし、出発するぞ。2時間くらいかかるから、寝ててええぞ」
「あ、はい」
そうこうしている間に車は出発していた。
ーーー
ーー
ー
ガタンと車が揺れて気が付いた。俺は寝ていたらしい。
「おぉ、起きたか。あと30分でつくぞ」
「俺そんなに寝てたんですか?」
「そうとも、走り出してからすぐよ」
「そうですか……」
もう寝る気になれず、代り映えしない田舎の風景を見て過ごすことにした。
進んで行くにつれだんだん民家がちらほらと立ち並んできたが、ここではないらしい。さらに進んで行き、都会よりの田舎に差し掛かった所で車は止まった。
「ほれ、ついたで」
「ありがとうございます」
どうやらおじさんの家に着いたらしい。
「おぉ!憂くんー!」
着いて早々聞き覚えのない声。声質からして女だということは断言できる。
「えぇと、はじめまして?」
なんで向こうは俺の名前を知っているのかは不明だ。
「忘れちゃったの?彩だよ」
「あ…や……?ごめんなさい、ちょっとわかんないです」
「憂が彩と合ったのは、君がまだ小さい時だから忘れていても無理はなかろう」
おじさんが言ってくれた。付け足すようにおじさんが、
「それから、今日から彩が君のお姉ちゃんだから、宜しく頼むぞ」
「よろしくね、憂くん!」
「…………」
ーーなんとも複雑な心境だ。
「さ、荷物持って、憂くんの部屋に案内してあげる!」
「ありがとうございます」
「あと、これから敬語は使わないでね。姉弟なんだから」
「あ、うん。……わかった。」
案内されるまま自分の部屋に来て荷物を整理した。一通り終えて窓から外を見た時、気づいた。
「コンビニが……無い……」
それは声に出ていたらしい。
「コンビニはねぇ30分歩いたところにあるよ?」
「うわぁ、遠いなぁ。ん?……うわぁっ!」
それは彩だった。
「もぉ、大げさだなぁ」
「いや、いきなり入ってくるなよ」
「だって、ドア開いてたんだもん」
「声ぐらいかけてよ」
「次から気をつけますぅ〜」
「はいはい、暑さで喋るのも怠い」
都会のクーラーの効いた部屋で慣れた俺にとっては田舎の夏というのは地獄だ。
「ねぇ!コンビニ行きたいんでしょ!」
「行きたかった」
さっきの言葉を聞いたら誰でも行きたくはなくなるだろう。炎天下の中、往復1時間歩くとなると、もはやコンビニなんてどうでも良くなってしまう。
「うん、じゃあ行こう!」
/1
「ねぇ、まだ着かないの?」
「後少しだよ!」
何回目のセリフだろうか、聞きあきた返答が帰ってくる。
あの後無理やり手を引っ張られ行くことになった。相変わらず田舎で暮らしているのか彼女は元気なままだ。ふと、まだなんて呼べばいいか聞いていないことに気が付いた。
「そういや、なんて呼べばいい?」
「普通に、姉ちゃんとか?姉貴とか?」
彩はどこか躊躇うような素振りを見せ俯きながら続けた。
「その……私ねずっと弟が欲しかったのだからね、その……」
恥ずかしそうな目で訴えてきた。それだけで何となく……彼女の心中を察した。
「あやねぇ?」
「うん。それがいいかな。……なんか夢みたい」
「わかったよ」
ーー少し照れくさかった。
何処からか来る、言葉にできないカンジョウをなんて言うのかはまだ僕には理解できないけど、きっとそれは心から安心出来る姉に会えたと言う安心感なのかもしれない。
「あっ、ほら憂くん!みえてきたよ!」
「おぉ、本当だ」
コンビニが見えて来た。その嬉しさで暑さなんてものを忘れて駆け出す。ついた時には汗が大量に出ていた。
しかし僕の予想通り店内は涼しかった。もう二度と出たくないくらいだ。
「憂くん!このアイス半分こしよ!」
あや姉が持ってきたのは半分に折って分けるタイプのアイスだった。
特に食べたいものもないのでちょうど良かった。
「いいよ、じゃあ俺買ってくるよ」
「え、いいの?」
「女子に払わせるの好きじゃないし、ここまで案内してくれたお礼」
「あっありがとう……」
少し小さな声で俯きながら答えてきた。
会計を済ませ外に居るあや姉の元に戻る。
アイスの袋を開け2つに折った。
「はい、半分」
「うん!」
こうして食べながら帰ることにした。
帰り道は日が暮れかけてることもあって少し涼しかった。
/2
風呂と夕飯を終え、後は寝るだけなのでケータイのグループチャットを眺めていることにした。すると新たに凌平がコメントした。
凌平ー花火どうする?
姫子ーとりあえずウチら女子はほとんど行くよ
茉莉ー日にちは8月25日ね
クラスの中心メンバーが話していたので既読をつけて寝ることにした。
✱✱✱
7月27日
朝ごはんのいい匂いで目が覚めた。
2階の階段を降りるのは少し気だるいけど、文句を言える立場じゃない。
ベットに座り目を擦っていると、
ドッドッドと階段を上がってくる音が聞こえた。足音はそのまま部屋に近づいてきて、ドアを勢い良くあけた。
「おっはよぉ!」
「お、おはよぉ……」
「朝ごはんできたよ!」
「ありがとう、すぐ行くよ」
「まってるね!」
そう言ってあや姉は戻っていった。
枕元のケータイを見ると昨日のグループチャットの通知が3桁を超えていて驚いたが、それ以上にあや姉のテンション高さに比べたらなんとも思わない。パジャマから私服に着替え1階に降りていくとあや姉がテーブルでスタンばっていた。
「おそいよぉ!お腹空き過ぎて死にそうだよ!」
「ごめん、道に迷った」
丸見えの嘘を並べて誤魔化した。
しかしあや姉はそれを信じて疑わなかった。
「部屋出てすぐ階段を降りれば付くのに、馬鹿だなぁ。さ、食べよ!」
「「いただきまーす」」
「そういや、おじさんとおばさんたちは?」
「仕事だよぉー、農家の朝は早いから四時にはもう畑に行ってるよ」
「早っ」
「憂くん、朝遅すぎぃ」
「え?普通じゃない?」
「私6時にはもう起きてるよ!」
「へぇ〜、早いね」
「だって、お姉ちゃんですから。朝ごはんだって私が作ったんだよ」
「へぇ〜、凄いね」
「感想は、か、ん、そ、う」
「味噌汁がおいしい」
「え!?」
「え?」
あっ、と気づいた時には遅かった。さっきの言葉はプロポーズにも使われる言葉だと思い出した。慌てふためく俺を姉は笑って眺めている。
あや姉は思い出したのか笑いながら聞いてきた
「あ、ねぇ、憂くん今日何する予定ある?」
「んー、することもないし、一日暇する」
「じゃあ、散歩でもしようよここ周辺の案内も兼ねてさ!」
「....」
少し考え結論を出した
「暇だし、散歩ぐらいならいいよ」
「やったぁ!」
「じゃあ、食べ終わったから休んでるわ。ご馳走様」
朝食を食べ終え、2階の部屋に戻り別途の上に無造作に置かれたケータイをを見ると、何件かの通知。
茉莉ー花火だけじゃつまんなくない?
天音ーそうだね
凌平ー鉄板なのが肝試しとか?
天音ーでたよw肝試しw
姫子ーほかに浮かばないしいいんじゃね?
凌平ーだよな、7月中にやろうぜ?
賛成とほとんどのメンバーが投稿し終わっり、賛否すらしていないのは自分だけだった。気づくとあや姉が部屋のドアを叩いていた。
「憂くん、いこ!」
「おう」
玄関を出てあや姉に付いて行く。家を出てあたり一面の田んぼ。空の境界線は森の木々と入道雲によって隠されている。あまりの凄さに在りきたりのセリフしか言えなかった。
「田舎だね」
「でも、いいとこだよ?」
「そうだな、俺が暮らしてたとこはもっとゴチャゴチャしてたな」
「ねぇ、都会ってどんな感じ?」
あや姉は少し照れくさそうにきいてくる
「んー、難しいな。強いていうなら籠の中にいる感じ、でも楽しいけどね」
「へぇ〜。全くここと違うんだね」
「そうだね。ショッピングセンターとか色々あってさ、女子とかはよく服とか見てるかな?あや姉きっと楽しいと思うよ。」
「ほ、本当!?」
「うん。あ、ねぇ...」
「ん?どうしたの?」
この先の言葉が詰まってしまった。
ここなまでにあや姉は都会に興味があるとは思わなかった。
「あそこの日陰で休まない?」
本当にいいたかったのはこんな事では無かった。
「だいぶ歩いたからね。少し休憩!」
向かった日陰の先には小川が流れていて今日みたいな猛暑に入ったら凄く気持ちいいと思う。
本当に聞きたかった事を聞くことにする。
「あや姉さ.....都会に行きたい?」
恐る恐る聞いてみる
「いつかいけたらいいなぁ〜」
「なんで行きたいの?」
空を見ながら、あや姉は答えた
「なんでか、んー。そう聞かれるとお姉ちゃんも良くわかんないんだよね。ココはココで魅力はあるでしょ。きっと都会も都会で魅力がある、それを見てみたいんだと思う」
ーー意外だった。俺は都会に魅力すらないと思って過ごしていた。歩けばぶつかるし、ごちゃごちゃしていて落ち着かない。そんな籠が嫌いで部屋にこもっていたのだから。でも、あや姉の一言で価値観が変わったような気がした。
「そっか、そうだよね。うん。」
そう言って立ち上がった。気づくと俺はあや姉の前に立っていた。あや姉は座ったまま。ん?どうかしたの?と聞いてくるように首を傾けた。
「じゃあ、俺が連れてってやるよ」
そう言ってあや姉に手を差し伸べた。うん、期待してると言って差し伸べたにそっと手を添えた。
ソレをきっかけに帰る事にした。
家に着いた時にはお昼を回っていてちょうど良い時間帯だった。
/1
縁側から見える入道雲は、さっき見た入道雲とは違って見えた。
こうして空を見たのは何年ぶりだろうか。日光の放射で温められた木の床に仰向けで寝っ転がり背中から太陽の温もりを感じ、気持ちよく限界を迎えた。
ーーーー
ーーー
ーー
ー
ピンポーンと呼び鈴が鳴り、目が覚めた。気持ちがいい目覚めに感動すら覚えた。はいはーいと、返事をして玄関に向かう。来客だろうか、
届け物だろうかと考え扉を開ける。
「彩、一緒に勉強し.....って君誰!?」
相手は俺をあや姉だと勘違いして話してたらしい。多分あや姉の友達だろう。
「あや姉の弟です」
「うえっ!?お、弟!?あいつに?」
「はい、えぇと.....」
俺は貴方は?という目線を送る
「あ、わるい。私は鈴城 弥生ってんだ。よろしくな」
口調からして男性っぽい。
「弥生さんか、随分女の子っぽい服着るんですね」
「お前、シバいたろか?あたしゃ女だよ。ちゃんと胸だってあるんだぞ?」
ーーまさかの女だったぁぁぁぁ!
「え、うぇ!?」
思わず拍子抜けした声をあげてしまった。
「ほら、触って確かめろ」
強引に手を掴まれ引っ張られる。こんな時に肝心のあや姉が何故いないのだろうか?と心から思う。頼れる姉だが、頼りたい時にいなければ意味がない
「いやいやいやいや!何してんのぉ!?」
本気で反論すると向こうは笑っていた。
「ぷっは!本気でやると思っ.....」
いい終える前に玄関の扉を締めてやった。今朝よりもピシャッといい音をたてて二人の間合いを遮断した。ドア越しからは、ごめんよ私が悪かったと誤っている声が聞こえてくる。しかたなくドアをあける。
「いやぁ〜、ひどいな弟よ。ちょっとしたイタズラじゃないか」
「俺はあんたの弟じゃないぞ。それで、あや姉を読んでくればいいの?」
「おうよ!夏休みの宿題もってこいって言っといてな。」
ーーむむむ、こいつもしかしたらあや姉の宿題を写すきなのか?
「もしかして。宿題の答えを見してもらうの?」
思わずきいてしまった。その言葉はどうやら図星らしい。
「ち、ちげぇよ。いいからさっさと呼んで来い!」
「はいはい。ちょっと待ってて」
そう告げて、あや姉の部屋に向かう。ドアをノックしたけど、反応がないので恐る恐る開けると、あや姉は部屋にいなかった。
「あれ、あや姉いないのか?」
そう言って部屋を出て階段を下りる。あや姉がどこにいるかわからず、探し続けること5分。やっとみつけた。
「縁側にいたのか。あれ、となりにいたのに気付かなかったのか。まぁ、いいや。」
姉は縁側で横になっていた。
「あや姉〜、弥生って子が夏休みの宿題もってこいってさ。おーい。あや姉聞いてる?」
どうやら、近づいてやっとわかった。あや姉は寝ているらしい。初めて見る姉の寝顔、それはなにか安心しているように笑っている。ここで起こすのは、可哀想なのでそのまま寝かせることにした。
急いで弥生のとこに向かう。寝ていることを告げると、まじかよといって落ち込んだ。他にも要件があるといけないので聞いとくことにした。
「なんか伝えたいことあるならいっとくよ?」
「んー、とくにないからいいや、じゃなー。」
そう言うと行ってしまった。
仕方なく扉を締めて、あや姉の元へ向かった。やはりまだ眠っていて、
俺はあや姉の隣に座り空を眺めた。
夕焼けに染まる空はすごく綺麗だった。
/2
ポケットに入れたケータイのバイブレーションで目が覚めた。辺り一面薄暗く、虫の音と蛙の声が聞こえてくる。
ポケットでなっていた携帯を取り出し時間を確認すると6時半を回っていた。
「もう、こんな時間かぁ~。今日は寝すぎだな」
そう呟いて立ち上がると視界の隅にあや姉を見つけた。
ーーさすがにもう起こすか
「あや姉~起きろ~」
案の定返事がない。無理に起こすのもかわいそうなので部屋に連れていくことにした。
「部屋に連れていくから、おぶるよ」
「う~ん.....」
どうやらこれは聞こえたらしい。
あや姉は意外にかるく、階段は少し楽だった。でも背中に当たる障害物は少し大きかった。
いつも通り部屋に戻ると.....しまった。自分の部屋に戻ってきてしまった。
考えた挙句仕方なく自分のベットに寝かせることにした。
/3
リビングに戻るとおじさんたちが夕飯の支度をしてくれてあり、夕飯と風呂を済ませた。
風呂を済ませた後おにぎりを作って自室へ戻った。
戻ると、あや姉は起きており挙動不審だった。
「あぁっ!ちっちがうの!これは.....」
どうやら、寝ぼけて俺の部屋を自分の部屋だと勘違いして寝ているのだと思い込んでいるらしい。
「大丈夫、俺があや姉を自分の部屋の部屋に間違えて運んだけけだから」
「そ、そうなのね.....びっくりしたぁ」
「ごめん、後これ。おにぎり作ったから、腹減ったら食べな」
「あ、ありがとう.....」
その顔は少し赤色に見えた。
「おう。あ。そうそう今日弥生って子が来たよ。特に用はないって言ってたけど」
「え?弥生ちゃんが?」
「うん」
「多分明日も来ると思うから、今日は早めに寝なよ」
「わかった、お風呂入ったらねるね。おやすみ」
「うん。おやすみ」
そう言ってあや姉は部屋を出ていき、俺は眠りについた。
ーーー
ーー
ー
時刻は3時。背中の何か暖かい感触出目が覚めた。
振り向くとあや姉が背中を向けて寝ていた。
「起こしちゃった?」
背を向けながら話しかけてきた。
「え、いや。」
「そっか......」
どこか寂しそうで、でも嬉しそうな声だった。
「何かあったの?」
「ちょっと、嫌な夢見ちゃったから。寂しくて......」
この言葉に俺は疑問を感じた。ホラー系の夢では無いことが聞き取れた。悲しくなるような夢だったんだろう。
「辛かったんだね。」
「うん......だから、今はそばにいて欲しい......」
あや姉は声を殺して泣いていた。その夢の内容はどんなのかわからないが、相当ショックな内容だということは明白だ。
「わかった」
そう言ってそっと手を握った。
少しでもショックが和らぐと思って......
始まりの季節~the irreplaceable treasuru
次回の投稿は三月頃に