小さな変化。
小さな変化。
幼なじみ男女3人をとりまく物語。
最近、昔とは違うと気付いた。
いつも一緒にいることは変わらない。
それから…仲の良い兄弟みたいな関係も変わらない。認めたくはないけれど。
でも、やっぱり前とは何かが違う。
変わりたいけど変われない。
変わるのが怖いんだ。
元に戻れないかもしれないから。
*****
恋愛モノです。
桐宮 梳晴 が主人公。
※未完※
頑張ってどんどん更新します!
ものすごくつたない文章ですが、よろしくお願いします!!
はじめに。
メインキャラクター
* 桐宮 梳晴-キリミヤ スバル- 男
* 杜山 依真-モリヤマ エマ- 女
* 広瀬 秀也-ヒロセ シュウヤ- 男
サブキャラクター
* 井浦 奏汰-イウラ ソウタ- 男
* 平坂 柚稀-ヒラサカ ユズキ- 女
* 吉川 恭平-ヨシカワキョウヘイ-男
桐宮梳晴 が主人公です。
1章。1話。
とある 冬休み明けの高校の教室----
「来てない人はいませんかー?」
教室に入って来た若い女の先生が、クラス名簿を開きながら言った。
「せんせー 井浦がいませーん」
「あらー? 井浦くんお休みの連絡きてないんだけど…風邪でもひいちゃったのかな?」
「奏汰なら今日から学校だって忘れてるだけでしょ!」
そんな誰かの言葉に、教室に笑い声やざわめきが広がる。
(奏汰のことだからどうせ夜中までゲームして、寝坊で遅刻だろうな…)
そんなことを考えながら、梳晴は頬杖をつき、あくびをかみ殺した。
奏汰とは仲が良いが、梳晴のもとに連絡はきていない。
「じゃあ井浦くんには後で連絡を入れておくからいったん置いといて、とりあえずホームルーム進めまーす! 今日は連絡事項がたくさんあるからね…」
先生が話し始めると教室のざわめきが小さくなる。
(やばい…超眠い)
まぶたがだんだん落ちてくる。
梳晴の席は、窓側の一番後ろという、絶好の睡眠ポジションなのだ。
「…時からです。それから図書委員の人は―――」
先生の声と、連絡事項に該当する人がメモを取る音が聞こえる。
―――ガラガラガラッ!!!
「遅れましたーーー!!!!!!」
突然、奏汰が勢いよく教室の引き戸を開けて入って来た。
教室中がびくっと驚き、うとうとしていた梳晴も はっと目が覚めた。
ドアの方を見ると、息を切らせた奏汰がいた。
「奏汰ー!どうしたんだよー!」
「いやー…面白いゲームを買ったから夜中までやっちゃって寝坊しまして…」
ドアの一番近くに座っていた男子と奏汰のやりとりに、また教室に笑い声が広がる。
「井浦くーん遅刻よー。早く席についてー」
「あ、はーい!」
奏汰はあはは…と笑って頭をかきながら席へと向かった。
奏汰が席に着くと、近くの席の生徒が、笑いながら「遅ぇよ井浦!」とか「奏汰くん何時に起きたのー?」とか声をかける。
(やっぱりな…ゲームして、寝坊して、遅刻)
梳晴は奏汰の様子を見ながら、自分の予想が当たったことに少し笑いがこみあげてきた。
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1章。2話。
朝のホームルームが終わって、1限目が始まるまでの間の休み時間になった。
「梳晴っ!」
「!!」
椅子に座っている梳晴の背中に、ドンっと衝撃がはしった。
梳晴が振り返ると、そこにはいつも梳晴とつるんでいる男子がいた。
奏汰だ。
中学からずっと一緒の、気心のしれたヤツだ。
「…どちらさまでしょうか」
梳晴はふざけて、でも真面目な顔で言った。
「…あ。お初にお目にかかります。井浦奏汰と申します」
…奏汰がネタに乗ってきた。
「・・・。」
「で? そちらは?」
「桐宮梳晴です」
「なるほど。よろしくお願いしますね」
言いながら、奏汰は、梳晴の席の近くの空いている席に座る。
「・・・」
「・・・」
「・・・」
「・・・じゃねーよっ! 何!?
冬休みはさんだら、その間にオレのこと忘れちゃった~ってくらい、
しゃべりたくないってこと!?」
奏汰が叫んだ。
「冗談だよ。・・・奏汰は朝からテンションが高い・・・」
「一年中元気でテンションが高いのが売りなんで!」
「何なの売りって」
「おまえはぁ・・・
一年中どーでもよさそーな無愛想なカンジなのが売りだろぉ?」
「・・・いや別に売ってないし、してないし」
「それが、してるんだよなぁ。無自覚ってやつ?」
「してねぇってば」
「・・・まぁ、してない時もあるけどさ。・・・例えば・・・」
奏汰が何か言おうと人差し指をピンっと突き立てた。
そのとき、梳晴はツンツンっと誰かに腕を突っつかれた。
「?」
梳晴は、視線を奏汰からそっちへズラす。
そこには・・・依真がいた。
「おりょっ? あ、依真ちゃんじゃないの~!
ちょっと梳晴!かわいいかわいいあなたの幼なじみちゃんがいらっしゃいましたよ!!
どしたの?何かあった?
あ、梳晴に用事だよね?
いーよいーよ。どこでも好きに連れてっちゃって!」
奏汰がズバババーっとまくしたてた。
その〈かわいいかわいい幼なじみちゃん〉の依真は、何か言おうとしていた口を小さく開けたまま、固まっていた。
「奏汰、何でおまえがベラベラしゃべってんの」
梳晴が、じろっと奏汰を見て言った。
「え?だからぁ、オレは一年中…」
「あーいい。それもう聞いた。
…で?何か用?」
梳晴は、再び奏汰から依真に視線をズラす。
「あ、うん!あのね。今日、秀也のところ行かない?」
「秀也のところ?」
「ちょっと…この前秀也の家に行ったとき忘れ物しちゃって、一緒に行って欲しいの」
秀也というのは、もう一人の幼なじみの名前だ。
広瀬秀也、大学1年。梳晴と依真の兄的存在だ。
…もっとも、
今は梳晴にとっては 〈なにかと世話を焼いてくるウザいヤツ〉という存在だが。
去年まで、梳晴たちと同じ高校に通っていた。
「別にいいけど…ひとりで行けないの?」
「忘れ物しちゃったのもあるけど…あと、梳晴と秀也の2人に用があるの」
「ふぅん…あっそ。わかった。じゃあ放課後な」
「ありがと!」
依真はそれだけ言うと、自分の席に戻っていった。
「デートかにゃ?」
ニヤニヤしながら奏汰が梳晴を見て言った。
「違うだろ。話聞いてたか?秀也のところに行くだけ」
「…お前、イジりがいが全くないっ。からかってるのに、顔色一つ変えないなんて」
「あたりまえだろ。俺はイジるほう専門だからな」
「ちぇっ。・・・普通さ、
『ばっ…ばか言ってんじゃねぇよっ!別にデートじゃねぇしっ!!』
とか、顔真っ赤にして言うだろ」
「俺は言わない」
「くっそ・・・よし、決めた!」
ガタンっと勢いよく立ちあがった奏汰は、びしぃっと梳晴の顔を指差した。
「何…?」
「オレは絶対にお前の顔を赤くして見せる!!」
「何の宣言してんだよ…。
座れっ。みんなこっち見てるから」
教室の中にいたほぼ全員が、奏汰を見ていた。
だが、奏汰はそんな視線を気にすることなどない。
立ったまま話を続ける。
「でもさぁ…オレ本当に、梳晴が顔真っ赤になってたりするの、
見たことないんだけど」
「そう?」
「ありえなくない?
中学からの付き合いなのに、オレが知ってる梳晴の表情のバリエーション、
少なすぎなんだけど!」
「奏汰が多すぎるだけでしょ…」
「っていうか!いいよなぁ梳晴は!
お前の家から依真ちゃんの家まで、ものの数歩で着くもんなぁーっ!
アレか?近くにいすぎて異性として意識しなくなっちゃう典型的な幼なじみのヤツか?
だから〈デート〉っていう言葉にも反応しないのか!?」
奏汰はまたまくしたてて、イスにドカンと座った。
「…さすがに〈ものの数歩〉じゃないだろ」
「じゃあ 十数歩」
梳晴の家 -桐宮家- と依真の家 -杜山家- は、とても近くにある。
奏汰の言うとおり、本当に十数歩で着いてしまう。
そして、梳晴と依真は幼なじみだ。
お互いの家をよく行き来するし、家族ぐるみのつきあいも長い。
「梳晴ばっかりずるいっ」
「何が」
「オレもかわいい幼なじみが欲しい」
「何が〈ばっかり〉なんだよ」
「だって依真ちゃん、うちのクラスのかわいい子ランキング常に上位だぜ!?」
「どこからのランキングだよ…」
「ギブミーかわいい幼なじみーっ」
「…」
「お?何だその顔は。複雑そうな顔してるぞ」
「別に…」
キーンコーンカーンコーン・・・
「あ、席戻らないと。じゃーねっ」
「ん。」
奏汰が帰っていった。
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小さな変化。