『 世界を喰らった心臓と、私 』

ちっちゃかった。
馬鹿みたいに大きなモノを想像していたのに、それは本当に本当にちっちゃくて。

私の手のひらにすっぽり収まってしまうくらい、可愛らしいサイズ。

「こんな小さな心臓で、よくもまあ、あんな大それた事を」

柔らかい感触を指先で確かめながら、私は壊された故郷を街を世界を、殺された恋人を家族を仲間を思い出していた。

「……ナイフなんて必要なかった、かな」

小さいそれを足元に落として。
血糊で汚れたブーツで、思いっ切り踏み潰してやった。

『 世界を喰らった心臓と、私 』

『 世界を喰らった心臓と、私 』

極短小説。

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2015-01-23

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