『 世界を喰らった心臓と、私 』
。
ちっちゃかった。
馬鹿みたいに大きなモノを想像していたのに、それは本当に本当にちっちゃくて。
私の手のひらにすっぽり収まってしまうくらい、可愛らしいサイズ。
「こんな小さな心臓で、よくもまあ、あんな大それた事を」
柔らかい感触を指先で確かめながら、私は壊された故郷を街を世界を、殺された恋人を家族を仲間を思い出していた。
「……ナイフなんて必要なかった、かな」
小さいそれを足元に落として。
血糊で汚れたブーツで、思いっ切り踏み潰してやった。
『 世界を喰らった心臓と、私 』