揺れる夏

崩れて、落ちた、花を見ていた。
足りない花びら。
揺れる、水面に、流れて、遠くに。
黒い糸の束、白い塊、紺色の布。
夏の
夕暮れ
君との
プール
水が揺れてた。
ひまわりの黄色い花びらが揺れていた。
君の黒髪が揺れていた。
君の体が揺れていた。
君の瞳も揺れていた。
水面に映った僕も、
揺れていた。
喉が、詰まったようで、声も出せそうにない。
赤い空が、揺れていた。
目の前がぼやけて何も見えなくなった。
ただ、立ち尽くしていた。
夕焼け空が痛かった。
ひまわりの黄色が眩しかった。
水の薄暗さが怖かった。
そんな中の君は

「きれいだなぁ」

かすれた声。
僕の声はこんな感じだっただろうか。
どうでもいいや。
揺れる君は
冷たかった。

揺れる夏

揺れる夏

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2015-01-22

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