白い破片。

開かれた扉と

銀の台に置かれた白い破片。

崩れながらも形を残すそれは

熱い熱いと焼かれていった

愛する父の姿であります。

「お父ちゃん、お帰り・・・・。熱かったねえ・・・・。」

たれそうになる涙と鼻水を押さえ

懸命に声をかけても

白い破片は何も答えません。

(ひび割れ箇所を確かめて、ゆっくりとセメントを流し込む。)

何かを守ろうと・何かを守ろうと

思考が止まります・・・・。

泣こうとしても泣けないのは

「いい加減にしなさい!!」と

愛する父が叱るからなのかも知れません。

手を握っても、握り返さなかったのは

すでに抜け殻だったからなのでしょうか?

ねじを巻き忘れた柱時計は

二日目の夜

埃まみれの針と振り子を

畳の上に落としていました・・・・。

白い破片。

白い破片。

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2015-01-22

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted