遠近感
傘は、いつの間にかその存在を忘れられる。
天候の悪い日が終われば、記憶から消し去られる。
一緒にお出掛けしたかと思えば、置いてけぼりにされる。
壊れたら、捨てられる。
使い勝手が良くて、いつでも換えが利く。
一番近くて、一番遠い存在。
あんなに身を挺して守っても、最後に待ち受けているのは過酷な運命。
そんな運命でも、あなたが雨に濡れないように、
日差しに照りつけられないように、傘のようにそっと寄り添っていたい。
一番近くて、一番遠い存在。
嬉しいけど、哀しい存在。
そんなあなたと、僕との関係。
遠近感