煙草

煙草

煙草を吸ってる君の横顔が好きだ。
いつもヘラヘラしてる君が一番感慨深い表情を見せるから。
私を誰かと重ねて抱く君が嫌いだ。
私だけを見て欲しいから。
たまに見せる悲しそうな表情にも、押入れのおくにある
ダンボールの中身にも。
どこにだってあの子はいて。

私は卑怯かな。
勝手に穴を埋めてしまった。
でも悪いのはやっぱりあの子だよね。
彼をおいていっちゃったもんね。

あの子と彼の青春の、私は二次災害。

だから私は彼に煙草を渡しました。
安い気持ちと高い煙草。

私はずるい。
煙草を吸う度に傷をえぐって、私の方を向かせようなんて。

それでも、
煙草をすった後の、
優しくて苦いキスが、さらに私をダメにするんだ。

君が吸ってる高い煙草、私の安い気持ちの煙草。

煙草

煙草

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2015-01-20

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted