【夏の笑顔】
【夏の笑顔】
夏風が、親切に僕の前を通り過ぎてくれるおかげで、暑さに苦しむこともなく、優優とした時間を過ごすことができている。
今日もきっと暑い一日なんだろう。
庭の雑草や植木に反射した色鮮やかな太陽の光が、僕の頬を撫でていく。
僕はその光を、目を閉じて、まぶた越しに見る。
その柔らかい光が、僕が夏に惚れた理由の一つかもしれない。
縁台で横になっている僕の側に彼女は腰掛けた。
夏の匂いを体いっぱいに含ませた彼女は、うっとりとした目で庭を見つめている。
彼女は時折こちらを覗いては、夏の夕暮れ時の太陽のような笑顔を見せる。
その優しい笑顔が、僕が彼女に惚れた理由の一つかもしれない。
あるいは、
僕にとって彼女は、夏そのものなのだろうか
【夏の笑顔】