『 つんでれの森 』
。
広い広い森の中を探し回り、ようやく彼女を見つけた。
木の世話をしていたらしい。
「久しぶりだね。この森、また広がったんじゃない?」
気さくに話しかけてみたけれど、こっちを見た彼女の顔は凄く嫌な表情で。
まるで腐りきった生ゴミを見るような、嫌悪感と蔑みの気持ちがひしひしと伝わってくる。
「話しかけないで。気持ち悪い。今すぐ消えて。この世からもあの世からも」
僕らは恋人な筈だ。
たぶん、きっと、確か、そうだったと思う。
「……」
彼女はツンデレだ。
たぶん、きっと、いや絶対にそうだと思う。
そうじゃなかったら、たかが観光地のお土産のすぐに飽きられて枯らされてしまうような樹木栽培キットを、ここまで堪能してくれる訳がない。
「聞こえなかった?さっさと消滅して。この××野郎」
デレの森は今日も少しずつ広がっていって、彼女のツンは今日も少しずつ鋭さを増していく。
『 つんでれの森 』