『 僕が社会的に亡くなった日 』

首がくるくる回ったのを目撃してしまったあの日から、僕は彼女の監視を続けていた。
灯油みたいな臭いの液体を飲んでいたし、実は空を飛んで登校してるし、目が光って腕が飛んでそしてそして。
……兎に角、断言する。

「桜田桜はロボットだ!」
自転車を走らせ僕は叫んだ。

しかし現実は厳しいモノ。
そんな話、家族も友達も先生も誰も信じてくれなかった。

「桜田桜はロボットなんだぁ!」
自転車を走らせ僕は叫んだ。

しかししかぁし、今日の僕は違う。違うぞ。
遂に証拠を手に入れたんだ。
桜田がロボットだっていう証拠を。

「桜田桜はロボッ」
自転車は車道に飛び出していた。
生まれて初めて空を飛んだ。



「桜田桜は」

病院のベッドの上。
意識を取り戻した僕が最初に口にした言葉。

ああ、鞄に入れていた証拠は無事だったかな。
一見普通の上履きだけど、歩行する度に発電して桜田を充電する仕組みになっていた、あの特殊な上履きは。

『 僕が社会的に亡くなった日 』

『 僕が社会的に亡くなった日 』

極短小説。

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2015-01-16

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