青い不死鳥
ある月のない夜のことです。一羽の小鳥がモゾリ、と目を覚ましました。たぶん夜行性なんでしょう。ぼんやりした眼差しで、羽を整えます。太いとも、細いとも言えない枝の上で何か考え込む風です。時折、ぷるっと頭をふり幾度か瞬きをして下の地面、それから遠くの山々に目を移します。何を見ようというのでしょうね。
彼はその大きな目で、色々なものを見てきました。枝の上の自分の住処を離れ、少し遠くまで飛んで行くこともありました。一生懸命、何かを探すように。けれど、最後には決まってこの枝の上に戻って来るのでした。
ふいに、彼のその深い青い目に不規則な光の反射が認められました。後から後から、しずくがこぼれおちます。やがて何かを振り切るように、視線をキッと前へ向けるとぱたりぱたりと羽ばたいて彼は彼方へと飛び立って行きました。
夜の闇の中、その行方はようとして知れません。
青い不死鳥