らしくないけど。

リクエスト*弾論十神夢

「だぁからよー、獅堂っち、一回でいいから俺の占いしてみれって!」

『だーかーらー、何回言われたって嫌なものは嫌なの。
ね、苗木?』

「えっ…えぇと、ボクも葉隠くんの占いは…ちょっと…」



ラウンジで食事をとっていると、決まって葉隠が占いをしないかと声をかけてくる。

なんでも


「獅堂っちは無愛想すぎるべ!俺が占いで運命の人を当ててやるから、
そうしたらちったぁ愛想も良くなるはずだべ!」

…とのこと。



『(全くもって迷惑極まりない…)』



大体運命の人なんてそう簡単にわかってたまるか、と言うのが光の心情だ。
それにそんな人がいたとしても、ホームレスや詐欺師だったらどうするんだ。


そんなことを思いながら、ラウンジを見回す



『(…白夜、今日もいないなぁ)』


光はぼんやりと十神白夜のことを思い浮かべる。
きっとまた図書室に篭って本でも漁っているんだろう、などと思いながら光は自室へと向かった



 

自問自答

ベッドにゴロンと横になり、物思いにふける



『好きな人…』


先ほど葉隠に言われたことを思いだす。
無愛想なのはもちろん自覚しているけど、好きな人がいたからって愛想が良くなるわけじゃない


『…白夜…』



光は想い人の名を呟く。
それだけで、心が満たされるのを感じた


名前を呼ぶ度、好きなことを再確認する。
もちろん本人に伝えるつもりはない


だって相手は御曹司なんだから…



きっとこの思いはずっとしまっておくものなんだと、思っていた





**


【数日後】



「おーい獅堂っち!苗木!いいところに!!!だ、だ、大ニュースだべ!!!!」

「な、ど、どうしたの葉隠くん!まさか出口が見つかったとか…」

「俺の水晶玉が今朝、運命の人を映したんだべ!!」

『…って、またその話?』


この反応からすると、当たる確率も30%なら、水晶に映る確率も30%なのか…



「っていうか葉隠くんの運命の人なんて教えてもらっても誰も得しないんじゃあ…」

「俺のじゃなくて!なんと十神っちの…」

「俺が、なんだ…?」



一瞬、息が止まった
いつの間にか葉隠の後ろには白夜がいて、すごい目で葉隠を睨みつけている


「と、ととと、十神っち…」

「十神くん、これはその…」



話題が話題だったため、二人はしどろもどろと弁解しようとする

しかし、彼の視線はひとりの少女にしか注がれていなかった


「…光、後で俺の部屋に来い」

『え…あ、うん…』


それだけを言い残し、何事もなかったかのようにツカツカと去っていく白夜の背中を、
三人はただただぽかんと眺めている他なかった

白夜の部屋




自分の部屋に鍵をかけ、白夜に会いに行こうと踵を返す
…と



「光、遅いぞ」

『え、っわ…』


部屋の前には不機嫌そうな白夜が立っていた。
そして手を捕まれ、勝手に歩き出す


光は、何か怒らせるようなことをしただろうか、と思考しながら、
いやもしかしたらそんな不機嫌じゃないのかもしれない。と呑気に後ろを歩いた





**




ガチャ



『…?なんで鍵なんて──ッ!?』

「騒ぐな」


部屋についた瞬間、ベッドに押し倒される
視界いっぱいに白夜の姿が広がり、恥ずかしさに思わず目をそらす


少しの間沈黙が続いたが、先に口を開いたのは白夜だった


「…なぜ目を合わせない」

『…恥ずかしいから』

「それは俺を男として認識しているということか」

『…うん…』



絞るように呟くと、白夜の顔が近づいて来た

そしてそのまま口づけを交わす



『っえ…今、…』

「…俺も、お前を女として認識している」

『え、えっと…どうゆうこと?』


頭が回らないまま、しかし白夜はそんなこと気にもとめず言葉を続ける



「これだから愚民は…
いちいち言わないとわからないか?」

『うん…』



はぁ、と息を漏らし、白夜はしっかりと光の目を見て言う



「光、俺はお前が好きだ」

『それは…本当?』

「嘘をついてどうする
…それで、お前は?」

『え?』



思わずキョトンとしてしまう


「俺の気持ちは言っただろう、次は光、お前の番だ」

『…わ、私も…好き、だよ…』

「そうか…俺も、好きだ」


なんとか伝えると、白夜は光の頭を優しく撫でた。

そしてもう一度、今度はさっきよりも深く口づけをし、その日は一緒に眠りについた


「この俺から逃げられると思うなよ」

『うん、しっかり繋いでおいてね』



End*

らしくないけど。

らしくないけど。

  • 小説
  • 掌編
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2015-01-12

Derivative work
二次創作物であり、原作に関わる一切の権利は原作権利者が所有します。

Derivative work
  1. 1
  2. 自問自答
  3. 白夜の部屋