葬祭場

白木の棺が一つ無くなって

また誰かが別れを言うのだと理解した。

(小さな棺が無くなる様は、悲しいより痛いの方が先に来る。)

頭を取られた白菊は

泣けない私の代わりに泣いている様で

茎だけが残った花かごは

晒された死体よりも惨めに見えた。。

(飲まれない様に・一線を置く事が出来ない・だから今度は・
他人事なのだと思い込む。)

最初は

人間と死体の区別が出来なくて

負担ばかりが残ったのだけれども

慣れというのは不思議で

自分と心が喰われぬ様

防衛術が身に付いた。

(怖いと思うな。怖いと。)

区別をつけてしまった。

何かが交じり合うような腐敗臭。

暗く冷たい部屋の戸を閉めて

あの世の境から舞い戻る。

「棺の蓋が閉じられます。最後にもう一度、お別れをしてあげてください。」

打たれる釘で

心臓を殴られているようで

ほんの少しだけ戻る痛みを抑えながら

一人の魂を見送った。

葬祭場

葬祭場

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2015-01-12

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