黙秘。
折れたハイヒールを捨て
書きかけの詩はゴミ箱へ。
一万円札をポケットに突っ込み
部屋の鍵をポストに入れて
深夜の商店街を全力疾走。
好きな人の写真を細かく破り
忘れたいと締め付ける思いを叫んで
中身と頭を空にして
誰かと誰かに会いに行く。
三日月型に引いた眉
穏やかに笑うへの字口
残った怒りも許しに変えて
見せない物をロングコートで覆い隠す。
嫉妬の鎖を壊し
歪んだ心に支えを作り
眼鏡を外して
仮面代わりにコンタクトレンズを装着。
そこにいるのは
いつもと違う顔と姿
誰かに知られぬよう裏道に回り込み
見えぬ視線を避けながら
深夜の街角を目指して
誰かと誰かに会いに行く・・・・。
黙秘。