『 五秒で世界を変えた男 』

「五秒で世界を変えてみせる」

鉄屑を繋ぎ合わせた鎧と棒きれみたいな剣を持って、そいつはアレの通り道に立った。

馬鹿だ。

遠くから走って来たアレがそいつに気付く筈もなく、一瞬でそいつは跳ね飛ばされた。
アレは速度も緩めず走り去っていく。
すぐに視界から、消えた。



「馬鹿みたい」

私はそいつの無惨な死体に走り寄り、思い切り蹴り飛ばしてやった。

「馬鹿みたい」

蹴り飛ばしてから、鉄屑と棒きれを拾った。

……確かアレは十分で世界を一周してくるんだっけ。

ああ、馬鹿みたい。
馬鹿みたい。

『 五秒で世界を変えた男 』

『 五秒で世界を変えた男 』

極短小説。

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2015-01-10

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