『 五秒で世界を変えた男 』
。
「五秒で世界を変えてみせる」
鉄屑を繋ぎ合わせた鎧と棒きれみたいな剣を持って、そいつはアレの通り道に立った。
馬鹿だ。
遠くから走って来たアレがそいつに気付く筈もなく、一瞬でそいつは跳ね飛ばされた。
アレは速度も緩めず走り去っていく。
すぐに視界から、消えた。
「馬鹿みたい」
私はそいつの無惨な死体に走り寄り、思い切り蹴り飛ばしてやった。
「馬鹿みたい」
蹴り飛ばしてから、鉄屑と棒きれを拾った。
……確かアレは十分で世界を一周してくるんだっけ。
ああ、馬鹿みたい。
馬鹿みたい。
『 五秒で世界を変えた男 』