笑いは銀河系を救う「お笑いバトル」(1)
一 お笑いバトル開戦
宇宙は膨張し続けていた。その影響で、アンドロメダ星雲が動き始め、銀河系に向かってきだした。銀河系星人たちは、宇宙の膨張を抑えるため、巨大な冷凍機を稼働させたり、アンドロメダ星雲の軌道を変えようと、アンドロメダ星雲に向かって、強風を当てたり、地球の万里の長城にならって宇宙長城を建設するなど、様々な試みを行ったが、全て徒労に終わり、アンドロメダ星雲は引き続き、銀河系に接近してきていた。もはや、衝突は避けられない。
銀河系星人たちの中には、銀河系から脱出しようとする者たちもいたが、ほとんどの者は、住み慣れた.星を去ることができなかった。銀河系に残ることを決意した者たちは、最終手段として、笑い声で、アンドロメダ星雲を吹き飛ばそうと考えた。宇宙の膨張には、笑いの膨張で対抗しようとしたのだ。本音としては、笑うしか、残された手段はなかっただけなのだが。
もちろん声で、星を飛ばすことはできない。笑い声で電気を起こし、強大な扇風機を回し、その風で、星雲を吹き飛ばすことはできないまでも、軌道を少しでも変えれば、と期待し、願ったのだ。
銀河系の星すべてに、巨大な扇風機が整備され、その羽はアンドロメダ星雲に向けられた。後は、この扇風機を回す電気だ。その電気を起こす笑いだ。地球に会場が設けられ、他の銀河系の星の会場や家庭にもその映像が流れるよう、準備された。また、地球の会場には、銀河系各地のお笑い芸人の言葉が翻訳できる全銀河系言語翻訳機も備え付けられた。これで、銀河系の全ての人がお笑いを理解できる。後は、主役のお笑いの芸人たちだ。
銀河系各地、いや宇宙各地から、よりすぐれた芸人たちが自薦、推薦で集められた。そして、その中で選ばれたお笑い芸人たち。それぞれの星の威信をかけて、かつ、銀河系を守るために、宇宙を守るために、今、まさに、お笑いバトルが始まった。
笑いは銀河系を救う「お笑いバトル」(1)