僕が僕であるために

学校の何気ない日常
勉強を受けて 部活に行って そしてみんなと他愛もない会話をする
それが日常
でも永遠なんてものはどこにもない
どれだけ願っていても
その幸せは 続かない
ある日を境に全てが変わってしまった
そう 全てが

出会い

大地の一日は目覚ましの音と ダダダダ
「大地!! 起きろ!!!」 「はあ??い」
兄の智也の声で始まる

朝ご飯はいたって簡単なパンである
パンをかじりながらテレビを見る
この時間が大地にとって至福の時であった
食べ終わり制服に着替えて家を出る
「行ってきまーす」
なんて言ったものの家には誰もいない
いつものように学校までの道のりを歩いていると
「おっは! 大地!!」
後ろから聞こえてきた元気のいい挨拶をしてきたのが朝倉 真希
幼なじみで強気でとにかく元気な女子
「おう おはよう^^」
大地はこれで一人で行けなくなったと少し残念な気がしたが
真希の笑顔を見るとそんな考えも忘れてしまう
「真希??!!」
真希はその言葉を聞いたとたん一瞬体を震わせた
「また来た・・・・」 
あきれた顔でそうつぶやいた
後ろから走ってくるのが志馬田 弘貴 俺の親友と言っても過言ではないのだが
「好きです!!」
弘貴の告白であった
「嫌い!!」
終わった
その言葉聞いた真希は即座にその言葉で返し顔面をおもっきり殴った
バキ!!
聞こえてはいけない音がした
だが弘貴は戦死の寸前のような顔をして立ち上がってきた
「毎日 毎日しつこいわね あんたって人は」
「なんと言われようと俺はあきらめないで!!」
「ハハハ・・・」
これが毎朝の光景である
弘貴が告白してふられて真希が殴る
かれこれ50回は見てきただろうか
そんな事をしていると目の前はもう学校だった
ひとりで歩いていると長く感じるがやっぱり友といくと早く感じてしまう
うれしい事でもあった
「お!!」
大地は校門の前まで来るとある人を見つけた
「お??い 雄哉・・・・・」
呼ぶのを途中でやめた
あいつの周りにはいつもと言ってもかごんでもないくらい
女子がわんさかいるのだ
「きゃ??!! 鈴橋様!! こっち向いて??!!」
まるでアイドルだ
そう、こいつがもう一人の信じ合える友達
鈴橋 雄哉である 
「あいつも毎朝大変だな?? ハハハ・・・」
すると
女子の友達と一緒に登校している人物
井上 梨奈 
これと言って接点もなくただ自分の目が反射的に見てしまう 
「・・・・・・・・」
「な??に見てんだよ だ・い・ち」
にやにやしながら俺の顔を弘貴が見ていた
「べっ・・別になにも見て・・見てねえよ!」
「かみかみだよ 大地」
真希も同じく大地の本性を知っているのか顔を見ながら笑っていた
「せっかく二年になって同じクラスになったのに何で話しかけねえんだよ
  仲良くなりてぇんだろ??」
大地はその言葉を聞いた瞬間 言葉では否定したものの
 感情は素直に出ていた 
「大地ってすぐに顔に出るからな??」
「そうそう こうゆうとこはかわいいんだけどね??」
「う うっせえよ!」
三人は自分クラスに入り
朝のホームルームを始める
大地の斜め前には井上 梨奈がいる
席順は先生が決めるのだがこの席は真希が決めた
ありがたいのか ありがたくないのか
「・・・・山 ・・・秋山君!!」
「は はい!!」
先生に呼ばれやっと我に返った
「今の話聞いてた?? 2時間目に総合何するの??」
「え! ええっと・・・」
もちろん先生の言葉など耳に入っているわけがない
「まったく。。学級旗でしょ?わかった?」
「は。。はい」
周りの生徒達がくすくすと笑った
1時間目の数学などすぐ終わり
2時間目の総合になった
大地は昔から絵がうまいのだが・・・・・

「すごーーい大地! 相変わらず絵はうまいね??」
まさに絵しか誇れることがない
「べ・・別にこれぐらいたいしたことねーだろ」
真希と話しているとふと自分の前の光景が見えた
井上 梨奈 井上も絵がうまく大地とは良い勝負といっても過言ではない
「おい!大地、はなしけなくても良いのか?せっかく共通点があるのに」
雄哉が話しかけてきた
「げ! お前今朝の話きいてたのかよ?」
「まあな」
「どんなだけ耳いいんだよ!」
「で どうなんだ??」
今度は弘貴からも話しかけてきた
「いーんだよ別に好きでも何でもねーんだし!」
「ほんとかよ??」
弘貴が疑いのまなざしの向けてきた
「そーなの!」
キーン コーン カーン コーン
放課後になっていた
「よっしゃーー!! 部活いくぞ 大地!!」
「おう!!」
弘貴と大地はバスケ部
大地が入った理由は井上が入っているからと言う理由もあるが
キュ キュ ダン!
バスケのシューズの音が体育館に響きわたる
大地はこのときも井上を見ていた 
「大地?? 井上ばっかみてんじゃねーよ!ゴールを見ろよ ゴールを!!」
弘貴はバスケに関してはうるさいやつだ
たぶん集中してほしいのだろうが・・・
「わかってるよ!! 」
そういいながらも大地はシュートを放ってもいっこうにきめられない
「くそ いつもなら10回のうち8回は入ってるのに
   あ??あくそ! はいらねえ!!!」
「井上と話せたら変わるのにね??  ね 大地ちゃん??」
弘貴はどんどんとゴールを決めていく
「だから何回もいわせんな! てかちゃん付けきん!」
バコン!
強烈な音とともに頭には激痛がはしった
「いって???!!」
相当というかいらつく
{絶対ゆるさネーー}
「ごめ??ん シュート外れちゃって大丈夫 怪我はない??秋山君?」
<この声は!!>
怒る。。という感情が一気に失せていくのが分かった
                 井上である
走る音が聞こえる
その音に合わせて心臓の鼓動も早くなっていく
「・・・・!!!! いの・・うえ?」
「おっとこれは思って思ってもない展開」
弘貴は手を口に当てながら驚いていた
「大丈夫?? 秋山君?」
「あ。。ああ・・大丈夫!!」
<こんなに近くで見たのは初めてだ
  しかも話したのってこれが初めてなきがする>
「そう 良かった?? 
  今度から気を付けるからごめんね」
井上がボールをもって立ち去ろうとする
<こんな事またいつ起こるかわかんない!
  ここはいっちょ勇気だして“!!>
「あ・・あのさ!!」  「ん? 何?」
「あのもしで良いんだけどさ
  良かったら  友達になってくれないかな??」
<いえた! 初めてこんな勇気だした>
「いやだ」
「え!!」
「ハハハ! うそうそジョーダンだっていいよ
  友達ぐらいならいつでもなってあげる
   人類皆兄弟ってね^^」
「あ・・ああ・・・ありがとーーー!」
<ジョーダンじゃなかったら俺どうしてただろう>
考えるだけで怖くなってきて
 そこで考えるのをやめた
「おい!!!
  よかったじゃん! まあまず一歩前進ってとこだけど
    がんばれよ! 大地」
弘貴はいつもううざいと思っていたがこのときだけは
 弘貴の言葉がうれしかった
こうして俺の学校生活はこの出来事をさかいに一変してしまった

絶望


弘貴と大地はクラブを終え帰ろうとしていたそのやさき
「あ!秋山君!」
そう呼んできたのが井上であった
井上にはいろいろな噂が立っている
かくれファンクラブがあるとか一部の女子が嫉妬しているなど
この話はあくまで弘貴から聞いた噂である
「・・・・井上・・」
自分の言った言葉には井上を心配しているとはいっていないが
言葉にははっきりとでていた
「どうしたの?」
井上ははっきりと感じたのか疑問そうにこちらに聞き返した
「いやなんでも」
口ではそういった
「じゃあせっかく仲良くなったんだから
  今日は一緒に帰ろう??」
「あ・・ああ」
力なくも井上と帰れる事はうれしかった
<噂なんかいいか!
  ただこのときが楽しければ>
そう考えていた
「じゃあ俺は退散しマース!」
弘貴は遠慮したのか走って行ってしまった
「お。。おい!!弘貴!」
良い事をしたと弘貴は思っているのかもしれないが
こちらからしたらありがた迷惑だ
ふたりはだまって目的地へといそぐ
梨菜は基本元気な性格であるため
そんな沈黙に耐えかねたのか口を開いた
「ねえ大地君」
いきなりの質問にとまどったが
「なに??」
とっさにその言葉が出た
「私の噂知ってる?
  私昨日ね同じクラスの高橋さんの事 きずつけてしまったの」
高橋その名前は聞きたくなかった
大地と同じクラスで女子の中で一番強いグループのリーダ格である
気が強く 物怖じないそんな高橋に目をつけられた
大地も高橋にはなんどもいやな思いをしてきた
「きずつけたって 
  どんなことしたの?」
その答えによって大きく左右される
高橋が怒っているならそうとうやばい
たぶんクラス全体でいじめられる
確実に・・・・・・・・・・・・
「私のファンクラブがいるのは知ってる?
  その人達がね 私の隣に座っている佐藤君を傷つけたの」
「それと井上がなんの関係があるんだ?」
「わたしね佐藤君とは映画の話がするのが好きだったの
  でファンクラブの人たちが<井上さんと仲良くするなんて>
とかいってなぐったらしいの
 私はファンクラブがあった事さえ知らなかった 
その一件は私が言って話してみるとすぐに可決したわ
その後教室にはいると高橋さんが・・・・」
「高橋が?」
それ以上井上は口を開かなかった
「ごめん変な話しちゃって ばいばいまた明日ね」
「うん また明日」
大地はその後がきになって仕方がなかった
しかし井上に問いかけれなかった
あんなに青ざめた顔をした井上は初めて見た
「まさか初めて一緒にかえるときにこんな事になるなんて思わなかった」
独り言で後悔していた
家に帰っても今日はあんなにうれしい事があったのに
正直言って井上のいった「高橋」その言葉だけが脳のなかを走っていた

次の日
大地は今日こそは朝練にでようと早起きして7時20分には学校に着いていた
体育館に行くと目の前には弘貴がいて軽いアップをしていた
「おお 大地昨日はどうだった?
  うまくいったか!!!??」
その後の答えが聞きたくてしょうがないのだろう
「お前さ 前に言ってた井上の噂って本当なのかよ」
やはり大地はこのことで頭がいっぱいになっていた
「なんだよそのはなしかよ!
   ああ本当らしいぜ、ファンクラブもいまじゃあ男子の三分の一が入ってる
それと高橋ってやつ要注意だ
あいつが一番嫉妬してるらしい」
<やはり>
もう気づいていた
しかし大地は認めたくはなかった
ただかわいくて人気者なだけそれだけで人として差別されるのはおかしい
そう思っていた
「そうそう!」
弘貴は何かを思い出したかのように口を開いた
「知ってるか?
  これもあくまで噂らしいけど佐藤が殴られて
そのことを高橋が知って井上が悪いとかいって
グループ全体で井上に「「助けなくて良いわけ?」」
「「何カマトトぶってんの。まとわりつく虫懲らしめて女王様気取りかよ」」
とかいっていじめたらしいぞ」
言葉を失った。高橋の普段の行動から、その光景が目に浮かぶようだ
「その後は、高橋の独壇場だよ。
  井上がどう反論しようと、揚げ足を取って、嫌みを言い続けてたらしい。
井上も最後は何言っても無駄と悟ったのかただいわれるがままになってたらしい
これもあくまで噂だがあまり良い噂とはいえない
 大地困ってるときはちゃんと助けてやれよ」
その話を聞いて昨日の事がよみがえってきた
{高橋}その言葉の後にはそんな言葉が隠れていたなんて
予想を遙かに上回っていた
そして大地はある事に気づいた
<井上がいない>
そうバスケ部には井上の姿が見えなかった
井上は大のバスケ好きでへたと言ったら失礼だが
「「へただから毎日でないと
   私は試合に出さしてくれないからがんばる!」」
そんな事をいつも先輩に言っていた
そんな井上が部活など休みはずもない
現に今まで一回として休んだ記憶がない
それが何よりの証拠だ
<おかしい おかしすぎる>
自分はあわてて体育館から抜けて自分の教室へと走っていった
「おい!大地!! 部活―――!!」
そんな言葉耳に入っているわけなどなかった
そして自分教室の前まで来ると違和感を感じた
7時40分この時間になると教室は生徒達が集まり
騒がしい部屋となっているはずなのだが
自分の教室だけ静かで何かを拭く音その事だけが聞こえた
いやな想像しかでてこない
ドアを開ける
いつもなら弘貴 雄哉あたりと挨拶を交わして
席について授業をまつ
しかし
この日。待っていたのは軽快な挨拶でもなく ましてや軽い冗談でもない、
異様な雰囲気の先礼だった
覚えがある居心地の悪さ
それはあまりにも現実的な。
悲しみと困惑と、そして、悪意が入り混じった反吐のでるような空気
梨菜が蒼白な顔をしていた
その手には、
懸命に、
雑巾で机の、
落書きを消していた。
あらん限りの罵詈騒言が、机のうえにマジックで書かれていた。
みんなして、遠巻きに見ていた。なぜか、みんな手伝おうとしていない
そんな中、無関心を装いつつ、かつ、浮いている集団がいた
高橋 愛子達だった
「あ??らら?。わきまえないと、こんなことになるのねえ
  こわ??イ あはははは!!」
教室に入った俺を見て、たっぷり皮肉を込めて梨菜に聞こえるように言い立てる
なんだ・・・・・
大地は予想していた事が起きてしまった
高橋に逆らったものは必ずそうなる
わかっていた わかっていたが助けれなかった
手伝おうと思って梨菜に近づく。
だが、すぐに予鈴と同時に教師が入ってきて梨菜は何事もなかったように席に座る
そして教師は何も気付かず、何事もなかったかのようにホームルームを始めた
あの教師は場の空気すら読めていない
いつもどおりだとおもっている
 現実の非情さは、あまりにも残酷すぎる

{現実とはかけ離れた世界}そうであってほしい
HR中に、ずっと先ほどの事考えていた
まさかそこまでになっているとは気付いていたがまだずっと先になると思っていた
あれは嫌がらせ以外の何者でもない
物的証拠も何もないがあの言動からして犯人は高橋だろう
しかし問題は高橋が学年で幅をきかせる一大グループだと言う事だ
おそらく嫌がらせはさらに加速する。遠慮はしないだろう
予想でしかないが井上は反抗しない。こんな目にあっても自分が悪いという
加害者意識を持っているはずだ
実際にそう思っていないと信じたいがそう思ってしまったら最後この嫌がらせは止まらず
もっと陰湿ないじめになるだけだ
何とかする必要があるが 高橋達に反抗すればクラスないではぶにされる
女子だろうと男子だろうと関係なく
それだけ高橋は強くおそれられている
正直言って許せない。
糾弾するべきだと思う
しかし自分にはそんな勇気なんてものはない
ファンクラブがなとかするのではないだろうという、そんな淡い期待が頭をもたげる
彼らがいれば井上に対するいじめなど、いとも簡単に止まるのではないか、と
他力本願な考え、それがいかに甘く、そして現実というのを
俺はこの日から、いやというほど味あう事になった
その日の間、梨菜は陰湿ないやがらせを受け続けた。
物がなくなるのは当然の事、トイレの中に悪口をかかれるなどやられ放題だった
井上に話しかけても
「何も ないから・・・・・」
無理矢理作った笑顔で力なく言われるだけだ
あるだろう と断言したくはなったが したところで事態を好転させる事はできない
無力だった
自分という存在はあまりにも
次の日からも いじめは続き井上からも徐々に元気がなくなっていく
無理矢理の笑顔さえ作れなくなって笑顔などここ数時間見ていなかった
いつも笑っていた
俺はそれだけで良かった
これ以上苦しめたくない俺は井上は学校に来てほしく無いとまで思った
それでも、彼女は健気に学校に来ていた
その間も。俺は自分の無力さ加減に絶望していた
誰か。
誰か助けてやってくれ。
俺では駄目だ。
返り討ちにあって、状況を悪化させるだけなのだから・・・・・

「こわれている
   俺の世界が確実に・・・・」
こんな状況に陥ってから ある日の放課後
元気のない俺に向かって弘貴がこんなことを言ってきた
「そういえば、テニスのプロプレイヤーが来るのって今日だったよな」
弘貴はあえてあの件の話はしてこなかった

テニスその言葉を聞いてある人の事を思い出した
大地のお姉ちゃん 秋山 夏美あえて言わないでいた人だ
夏美は親のけんかがきっかけで今でもずっと家出をしていた
そして学校は同じで智也と同じクラスだからよく話は聞く
つい最近聞いた話だが夏美はひじを壊してテニスができなくなり
3ヶ月休めば直るという
だから今は安静にしている
このイベントはテニス部が毎年やっている事で
夏美がでないのであれば大地は行く理由など無かった
だから、俺はこのまま美化委員にいって、井上と帰るつもりだった
その会話の次の言葉さえ出でこなければ
「三年の秋山夏美さんとプロが試合してるらしいぜ
    大地も見にいこうぜ
 気分転換にもなるし そういえば秋や・・おい大地!!!」
その言葉を聞いた瞬間 俺は教室を飛び出し、テニスコートへ向かった
何故! 何故!! 何故!!!!
何で怪我している夏美が試合してるんだ!!
わけがわからない
頭の中に疑問が渦巻いていく
ただ勘違いや噂であってくれそう祈りながら全力で走った
テニスコートにはすでに野次馬がいた。
だが、俺は躊躇<ちゅうちょ>せずに無理矢理入り込む
文句が聞こえたがそれを気にするほど心に余裕はない
一番前まで来ると そこにはフェンス越しに夏美とプロらしいきプレイヤーがすでに
ラリーをしているのが見えた
俺には意味不明だった
何で夏美がテニスをしているのか理解できなかった
練習を休んでいるんじゃあなかったのか
そこでたっている教師は何故止めないのか
夏美は顔煮炊きのような汗をはり付けてつらそうな顔をしている
それはプロとのテニスではなく右腕の激痛によるものだとすぐにわかった
その直後プロの渾身のスマッシュが夏美を襲う
夏美は滑り込むように走り バックハンドで返した後そのまま倒れた
それはどちらかというと当てただけ
ネットにすら届いてない
「うああ・・・!!」
呻き声。
助けを求めるような、か弱い声。
夏美はたおれながら呻いている 右腕を押さえてくるしんでいた
「夏美!!!」
ようやく呼べたが もう遅かった
夏美は動くことなくただただ右腕を押さえて苦しんでいた
俺はその痛ましい光景を見ている事しかできなかった

病院に到着して詳しい検査と治療が行われた
しばらくしてでた診療結果はあまりにも残酷だった
「もう一生テニスはできないでしょう」
医者から言われた病名など耳にはいるはずもない
ベットに横たわっている夏美は悲しそうな顔をしているが決して泣かなかった
悔しかった悪いのは間違いなく教師陣だ
怪我の事を知っていたのにもかかわらずマスコミ受けでも狙ってたんじゃ
そんな事を考えていると夏美は俺の心は見透かしたかのように
「誰も悪くないよ 悪い事をしたのはこの私
怪我ををしてるってわかってても試合を断らなかった私の責任だから
それと神様からの天罰かな?
 この年で家出なんてちゃって 
  ほんとお姉ちゃんばかみたいだね」
夏美がいったことばになにもかえせなかった
しかし夏美が悪いと思ってはいけない気がする
俺にはその考えしか浮かばなかった
「このまま大地に面倒見てもらおうかな ふふ」
夏美はいつも通りに見える。だがこれだけの事があったのだから
深く悲しんでいるはず
俺の前だからそう振る舞っているのではないだろうか
このときすでに自分が描いていた世界から大きくずれている事を認めた
姉の怪我はたいした事はなかった
ただインターハイで支障が出るくらいだろうか
これが現実になるとテニスを一生できない体になるときた
「テニスなんかできなくていい。どんなになっても俺の姉さんは
夏美しかできないから。ほかにいないから・・・・・」
その言葉を言った後部屋を出た   夏美がないているのだろうか
大地が後にした病室には鳴き声だけが響いた

結局。その日から夏美は入院した
俺はいったん家に帰った
家に着いて 戸惑った。
家の明かりがあまりにも暗い
電気がどれ一つとしてついてない 智也がかえって無いのだろうと思い玄関にはいると
しっかり靴まである、ならば帰っているしかしなぜ
帰ったらまず最初に付けるだろ
そういいながら智也の部屋へと向かった
「兄ちゃんただ・・・・・」
大地は腰をついた
智也の部屋は荒れに荒れていて真ん中に智也がぽつんといた
「俺のせいだ 俺がその傷なら大丈夫なんて言ったからだ!
  俺のせいだ 俺のせいだ!!  おれのせいだ!!!!!
怒りをあらわにしながら部屋にあるテレビの画面をぶちこわした
「に・い・さ・・ん」
智也は今までに見せた事の無いような目でこちらに目を向けた
「大地俺を殺してくれ
  包丁で刺す な 簡単だろなあ大地俺を殺してくれよ
 さあ さあ さあ!!!」
大地はその場から立ち去り走って家から逃げていった
怖かった あんな兄の姿なんて見た事無かった
ゾンビのようにこっちに近づいてきてワックスで固めていたかっこいい髪型も
ぐしゃぐしゃになっていた
理由は明らかだった
姉のテニスの件だ
姉からの話によると「それくらい大丈夫だろう」といってしまったようだ
聞いたとき絶対に殴ろうと思った
しかし ここまで来るとそんな問題ではなかった
大地は公園で夜空を見ていた
「くそ!! くそ!!!なんで俺ばっか!!
こんな目にならないといけないんだよ!!!
なあ神様見てるんだろ どうにかしてくれよ
俺にどうしろって言うんだよ!!」
大地も限界であった
井上の事件そして立て続けに夏美 智也の件
頭がパンクしそうだった
どうすればいい 考えれば 考えるほど 自分が最低な人間に近づいているのを感じた
しかし俺にはなんにもできない
どうして良いのかわからない
人間失格だ
そんな事を思っていると一本の電話が来た
それは智也の彼女の神楽 優紀さんであった
内容は家に来てほしい
その一言で電話はきられた

「入りますよーー」
優紀のいえの前まできたが一瞬迷ってしまった
入って良いのか?
こんな俺が・・・・・
「どうぞーー」
ドアが開けられ目の前には優紀さんがたっていた
自分の部屋に案内され優紀はベットに倒れ込んだ。
「どうしたんですか?」
大地はこの先はなす事は代々はわかっていた しかし確かめのためである
「それはこっちの台詞かな。
  井上さんと帰るわけでもなく、公園にいるなんて」
<公園にいる事を知っていたのか>もしかしたら優紀はもうわかっていたのかもしれない
自分があのまま公園で一夜を過ごそうとしていた考えが
「ほんとにどうしたの? 元気ないよ?
  夏美さんの事やっぱりショックだったの?」
純真な目で問いかけてくる優紀。その瞳には一点の曇りもない、本気で俺の事を心配してくれていた。その瞳に押されてしまったのか
「夏美の事もショックだけど、智也と井上のことでな」
ついついそう漏らしてしまった
「井上さんと智也がどうかしたの??」
優紀の目は真剣な鋭いものへと変わる
「ねえ、何があったの?何もできないかもしれないけど、相談に乗るよ?」
その優しいつぶやきに俺はあらがう事などできなかった

気がつけば優紀に全てを話していた。
夏美の怪我を止める事ができたはずなのに、止める事ができなかった事
梨菜が目立ちすぎたせいか、高橋グループに目を付けられた事
そのいじめを止める事ができない事
智也が軽いジョーダンで言った言葉のせいで夏美が怪我したのだと思い
自分自身がいやになっている事
それを慰めてもあげれずただただ怖かった事
「そんな事があったんだ」
優紀は黙って聞いてくれた。時にうなずきながら、質問を交えて、
俺が抱えてる問題を全てはき出した
「つらかったんだね」
優紀はそんな罪悪感のどん底にいる俺を優しく抱きしめてくれた
「・・・・なんて言うと思った?」
「え?」
「甘えないで!!」
優紀が大きな声を張り上げる。全く予想しなかった展開に気が動転してしまうそうだ
「行動起こすのが怖い?目立つのがいや?だから、行動起こせなかった??
 そんなのは本当のいいわけだよ。
   ううん、いいわけにもなってない。
普段の大地君だったら、そういうのは大っ嫌いだから
        率先して行動起こすじゃない!!」
好き勝手に言われたことに、俺はあっけなく檄昂した
「あなたの考えている昔の俺とは違うんだよ!!
  自分はどこぞの主人公のように、熱血漢でも勇気を持ってるわけじゃない!」
「何で他人事なの?自分自身の事でしょ!!??」
「少し前から性格が入れかわってんだよ!今の俺は、
あなたの思い描いているような人間じゃない!!!」
勢いに任せてとんでもない事を言ってしまった。
だが優紀はそんな事気にもとめずくいついてきた
「性格が入れ替わったなんて、そんなすぐばれる嘘なんかつかないで!!
 最近の大地君はすこし違う感じもするけれど
  だからって根っこからは変わってない
 いつだって優しかった!!  いつだって私たちの事を考えてくれた!!
  大地君の本質は熱血漢とか 勇気とかじゃなくてそのやさしさなんだ!!」
強く訴えてくる優紀、その言葉には一つ一つに強い意志を感じた
自分に問いかける
智也 夏美 井上達が好きではないのか??
好きだ大好きだ!!
心の中でやる事は決まっている
しかし現実は違う
救えるのか?この俺に。 あまりにも凡人で弱いこの俺に・・・
「優紀さんなんか変わりましたね」
「当たり前だよ。女の子はいつだって変わっていくんだから」
迷いもなく、そういってくる優紀はまぶしかった
すでに優紀に流されるような弱いキャラなどではない!!
優紀さんは自分自身のことをちゃんと見ていてくれた
その上で、こうして自分にしかり続けてくれる
「優紀さん。俺はまだ、あなたの主人公ですか?」
「もちろん」
なんの迷いもなく肯定してくれる優紀。しかし、いたずらっ子のように訂正する
「でもここから動かないと脇役になっちゃうよ?」
目をさませ!!
もう迷うな!!
迷うぐらいならーー動け!!
本当に彼らを理解するものは自分しかいない!
夏美 智也 井上彼ら達への思いは誰にも負けないーー
ここに誓う!!
  俺はこの三人を必ず幸せにしてみせる!!!
俺は即行動に移した!!
思い立ったが吉日だ。
「さてと!智也のところに行きますか!」
優紀が大きな声を出して喝を入れた
ふたりは秋山家へと向かった
玄関の扉をふたりであけごくりとつばを飲んで智也の部屋の扉を開けた
そこには同じくゾンビのような兄がいた
「なんだ客か? あははっははは
 ちょどいい俺を殺してくれ そしたら全部収まる
 俺さえ死ねば 夏美は許してくれるだろう 
  簡単だろ 包丁でぶすりだ 」
「わかった」
優紀は自分のことを気付いてもらえてないためか台所から包丁を取り出し
智也に向けた
「ちょ! それなんでもやり過ぎだって!!!」
大地は焦っていた これが優紀さんの考えた案だというならば反対だとも思っていた
と言うより反対どころではない
兄の命の危険だ
「よし! じゃあいくよ 智也! 
    天国か地獄でまた合おうね」
優紀は智也にどんどん近づいていった
「おい!!」
大地は止める権利など無かった 口出し一切無用と言ってここまで着いて来てくれたのだ
「おい本気か?
   お前は殺人者になって 刑務所送りだぞ」
「かまわないよ これが正しい選択だというならね」
そういいながらどんどん智也に近づいてくる
「し・・・・・」
智也がそう言いかけた
優紀はゆらゆらと近づいてくる
不気味だった
幽霊などのオカルト物は信じない方だがそこにはしっかり
怒りに満ちた邪念のような固まりがそこにはあった
 
優紀は智也の目の前まで来て包丁を振りかぶった
智也は手で頭を隠しまるで何かにとりつかれていたのがすっと抜けたよな
顔になっていた
そして目の前の光景に唖然とした
優紀が俺に向かって刃物を向けている
咄嗟にでた一言だった
「いやだ! 死にたくない!!
   死にたくない!!
     まだ俺は死にたくない!!!」
その言葉の後包丁は脳天めがけて突き刺さった
「ああああ!!!!!」
悲鳴が部屋中にひびいた


<あれなんで?>
智也は意識があった  
それも当然である優紀が持っていたのはおもちゃの包丁
智也は冷静さを無くしきずかなかったのだろう
「やっと本音が出できた」
優紀は安心したのもつかの間
大きな声で智也をだなり出した
「死ぬなんて簡単に言わないで!!
   そんな事でうじうじしていてどうするのよ!!
 確かに智也は悪いだからこそ謝りに行ってあげないといけないんじゃいけないのか!!
こんなことして弟にまで迷惑かけてなにさまのつもり!!??
現実から逃げないで
  ちゃんと目をあけてよ!!」
最後の言葉は涙ながらの言葉であった
智也は我に返り自分がどれだけ愚かであったか悟った
結局テレビなどは大地の部屋に行ってみる事にして
部屋は三人で片づけた
「ごめんな 大地」
「ううん お互い様だよ
  だから今度一緒に謝りに行こうね」
「そうだな」


{修正されていく世界}そう感じた
朝になり俺は朝早く学校に行き井上を待っていた
しかしいつまでたってもこない
いきなり不安になったが、担任から保健室で休んでいる事が伝えられた。
少し安心したが 原因がいじめだというのは胸が痛いくなってくる
「つらいんだったら、学校なんて休んじゃえばいいのに、気取ってるわね!!」
高橋の声だった
机には毎日ように落書きがしてあった
そして鞄はなく教科書も筆箱も荒らされていた
今なら井上もいない。発言をとがめるくらいはできた
しかし正直言って怖い。悪意の言葉に対して想像の中でなく、現実で立ち向かうのは
だけど俺は変わる そうきめたんだ
井上を救ってみせる堂々とかめている彼女らに向かって言葉をつむぐ
「体調の悪さを押して、学校に来た人間に、失礼じゃないか」
多少は、声が震えてた気がする。情けない。が、言わないより何倍もましだ。
ざわつき始める教室。普段、クラスでも目立たない俺がクラスでも目立つ高橋のグループ
にいちゃもんを付けたのだ。
火を見るよりも明らかな結果ともいえる
「ふん、あたし達は本音を言っただけよ?
                それの何がいけないわけ?」
さらに重ねられる悪意の反論。会話の先がの事を思えば心がおれそうだ
だが梨奈のことを思えば、梨奈の心労を思えば、この程度で屈してたまるか!
「配慮が足りないと・・・・言っているんだ。
  気分が悪いのに・・・・出てきたクラスメイトを気遣うことぐらい・・ 
      していいんじゃないか??」
まだ声が震える。
正直、こんな明確な敵意を向けた会話は初めてだ。
それでも。梨菜を守らなければいけない。彼女達の行為は絶対に許してはいけない。
取り巻きの一人が俺に対して何かを家おうとしたところで、高橋が手でそれを制した
「あー・・確かに大地に言うとおりだ。そういった発言は控えなさい」
担任の一言が介入してその場はおさまった
先ほどの混乱が嘘のように教室内は静まりかえっていた
{これは担任がいなくなったら嵐になるな}
確信する
そうしてホームルームが終わり、担任が外に出る
その瞬間、教室内に緊迫した空気が漂い始めた
高橋達五人がこちらの方へと集まりだす。まったく、腰の軽いことで
即座に、取り巻きの一人が問いただしてくる
「ちょっと、大地。さっきのあれ何よ。何様のつもり???」
「何のつもりもなにも、常識的なことを言ったまでだ」
「うぜぇんだよ! わざわざ担任がきたところで指摘しやがって。
  チキン野郎が。担任がいなけりゃ、いえねぇクセに!!」
「わざわざ担任がいなくなってから、集まり出すお前らも、相当なもんだと思うけど」
「んだと!このくそ野郎!!ちょっと、こっちこい!!!」
胸ぐらを両手でつかんで、いすから立たせようとする。
なんとか、ここから動かないように踏ん張る
俺にだって男としての意地がある!
「お前ら、みっともないぜ。ちょっと正論はかれたぐらいで、きれてどうすんだよ」
場を納めることができれば何よりだがさすがに無理がある
             もうどうにでもなれ
「ねぇ、あんた」
いままでグループにいながら口出ししなかった高橋が口を開いた
「そんなにムキになるって、梨菜のことが好きなの?」
「そうだ!好きな女の子が苦しんでるから、お前らの行動が許せない。それだけだ!!」
告白みたいなまねをさせられたのに恥ずかしさの欠片もない
だがそんな真剣な告白など物ともせず、高橋がいやらしく笑っている
「ひゅ?、熱いねぇ」
とちゃかした
「夏美さんだっけ? かわいそうねぇ??
    あんたのせいで怪我したんだって??」
高橋がわざとらしく、そんなことを言う
ここに来て、ようやく高橋のねらいが分かった
 話の論点をずらして、さらに俺のことを悪役に仕立て上げようとしている
確かにおれと夏美の件は自分がそばにいたら起きなかったかもしれない
まずい
気勢がそがれた
クラスにすら仲間がいなくなる
ここで、俺は関係無いと言っても誰も信じてくれないだろう

どうする?

「ちょっと??君たちそんなに大地をいじめちゃいけないな??」
「上級生の我々から見ても関心できる言い分でもないしな」
教室の外から、意志のこもった声が聞こえる
見るとそこには毅然とした智也と優紀がたっていた
ふたりとも臆せず、教室へと入っていく
「夏美さんの件は大地のせい?」
「違うのかよ!」
取り巻きの一人が尋ねる
「悪いけど違うね。夏美は家出していて大地もすんでいる場所すら知らない」
「ふん、気丈ね。本当にそうかしら?」
「それは君の主観だよね?」
「そもそもここまで上級生様が何しに来たわけ??」
「別のところに要があったから通りかかっただけだよ?
  そもそも、心配で来るって僕は予知能力者じゃないんだし、こんなことになってるなんて夢にも思わなかったね?
   でも今、あなたたちがうちの弟を理不尽な目に遭わせているのだけはわかるけどね」
 高橋は舌打ちして、智也と優紀をにらみつける。
ふたりは一歩も退かずその視線を受け止めていた
教室内はさらに緊迫した度合いを増していく
ふたりは変わったと思ったが、
 優紀さんは納得だけど兄ちゃんはこんなに強く意志を表にだせる人物だったかな?
いやなけなしの勇気を振り絞ったはずだ  絶対に怖いはず
偶然とはいえ、ふたりまで巻き込むことになってしまった。それは失態だ。
「まーまー。双方、ここは矛を収めようぜ」
いままで、事の推移を見守っていたひろきが間に入って、ふたりと高橋を引き離す。
「さわんな!汚れる」
弘貴の手をひっぱたいて、高橋達はいらだちを隠さずに教室から出て行った。
「まったく、乱暴だね??」
弘貴はたたかれた手を空いた手でさすりながら、おどけていた。
「ありがとう、弘貴。まさか、高橋相手に割って入ってくれるなんて・・・・」
「気にすんなよ。あれ以上の緊迫した空気は、僕が耐えれねぇってだけだし」
弘貴はそういってごまかすが、肝の据わったやつだった。
こんな姿始めて見たもんだから、すこし戸惑ってしまう。
友達でも俺の知らない姿なんて普通にあるんだなぁ。
高橋がいなくなったことで、教室の空気が弛緩していく。まったく、心臓に悪かったが、何とか渡り合うことができた。
ほとんどはふたりの助け船のおかげだ。
「大地君、大丈夫??」
優紀が心配そうに尋ねてくる。
「ああ、大丈夫だ。優紀さんこそ、大丈夫ですか?」
「うん、全然平気よ」     


 少しでもこのことがきっかけで
井上が楽になってくれればいいと思った
でも
「おい! 大変なことが起こったぞ!!
井上・・井上 莉奈が
 倒れて 病院に搬送されたらしい!!」


自分は一体何をしていたのだろうか?
守りたかった
誓ったはずだった
なのになぜ!!?

なんの迷いもなく 自分は走った

僕が僕であるために

今回は投稿さしていただきありがとうございました
とにかく自分は小説を書くのが楽しいので
一回皆さんの意見を聞いてみようかと思い
投稿させていただきました
見てもらえてすごく嬉しいです

僕が僕であるために

主人公である秋山 大地 何気なくどこにでもいるような中学生 一人の少女に恋をした おもってもないチャンスにより友達になる しかし 彼女は大きな悩みを抱えていた 探りを入れ多くの情報を集めようとするが てにはいらず とうとう時は来てしまった・・・・・・・・・

  • 小説
  • 短編
  • 青春
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2010-12-19

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  1. 出会い
  2. 絶望