捨てられたお守り

捨てられたお守り

月華 作

私は捨てられた
持ち主は小学生
受験をしたんだ
合格しますようにって
私も一緒に祈ったよ

私がやってきてすぐ
あなたは大事そうに
ランドセルに付けてくれた
とても嬉しかったよ
だから私も
あなたの合格をずっと祈る

休み時間になると
私を自慢してた
「これ、すごいお守りなんだよ」
みんな羨ましそうだったね

家に帰ってからは
あなたはとても忙しそう
勉強ばっかりしていて
お母さんの声なんか無視
勉強 勉強 勉強
そんなので本当に
受験に受かるのかな

たまにあなたは泣いていた
「こんなんじゃ駄目」って
そんな訳ないよ
頑張ってるじゃん
私が見てるよ

そして試験当日
あっという間だったね
今までの成果
見せつけてやろうね
なのにどうして
その受験用バッグに
私を付けてくれないの?
どうして?

帰ってきたあなたの顔
今でも覚えてる
最後に聞いた一言
「何もかも終わりだ」

気付いたら捨てられて
私はごみ処理場にいる
こんな一生だったけど
少しでもあなたの助けになっていれば
私は幸せ

炎が迫る
それじゃあね
形が無くなっても
あなたのために祈り続ける
私は灰になり
いつかあなたが見る空に紛れ・・・

捨てられたお守り

この作品は訳あってネットが使えない友達がかいたものです。

捨てられたお守り

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2015-01-03

Copyrighted
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