霧吹き
友人との会話の中で、今から即興で何か文章を書こう、そうだな、テーマは「霧吹き」で。という流れになり二、三分で生まれた文章があまりに下らなく、むしろ気に入ったためにここでシェア。
――霧吹きと法螺吹きって似てない? ほら、こう、語感的にさ。
「君、何言ってるの?」と返された。とても悲しい。「それって、とても程度の低いギャグじゃないか」
――否めないな。
「しようもないギャグでまさか無責任に話をほっぽり出したりするなよ?」
この時、ぼくに大したアイデアもなかった。であるから、多少顔を顰めてうーん、とうなった。
「似てる、或は似てないねって僕が反応したところで発展性がないんだよ」
――なるほどね? 確かにね。しかし、ぼくらの日常的な会話に意味なんてあるのかな? もしかしたら、意味のないと思われる言葉に小さな小さな意味の集合が在るかも知れない、って考えることもできる。ぼくらは人間だ。人間は言語的な生き物だ。無意味と思われることに意味を見出してこその人間じゃあないか?
「やれやれ、とんだ法螺吹きだな」呆れられた。とても悲しい。「ところで、早く霧吹きをとってくれよ」
――すまないね。
霧吹き