抱擁

拾い上げたばかりのきれいな石を愛でるように
確かにあった体温の抜け殻を抱き
抜け落ちた空間の冷たさを撫でる

いつだって遅すぎる私の抱擁は
ただ私自身を抱きしめるだけなのか
今になって思い出す
部屋の隅でひっそりと枯れている
美しかった あの花の色

抱擁

抱擁

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2014-12-26

CC BY-ND
原著作者の表示・改変禁止の条件で、作品の利用を許可します。

CC BY-ND