wolf in love

『真の愛』
純粋なる愛は一目惚れにでもあるものなのだろうか。

少女と出会って恋をした純粋な狼さんのお話。how happy i am. 僕はなんて幸せなんだろう。


僕は今日美しい瞳の幼い少女を見た、一目惚れをした。
少女も僕を見た、目と目が合って何秒だろうか少女はにっこりと笑って去って行った。

誰もいないこの寒い寒い森に少女一人で大丈夫だろうか、一体何をしようとしていたのだろうか、全てが気になってしまう。
少女の名が知りたい、一言でもいいから話しかけたい、触れたい、手を繋ぎたい。
しかし残念ながら妄想するだけで終わるだろう。
叶わない恋とはこのことを言うのだろうか、叶わない片想いと言った方が正しいか。
僕だって狼じゃなかったら、叶っていたかもしれないじゃないか、どうしてこんなに醜いのだ。
知らぬ間に涙がぽろぽろと溢れ出てくる、また、また夜がやってくる。
人々は僕たちを恐れるだろう。

そして太陽が眩しい朝がやってきた。
今日はやけに眩しい、目が痛い。
「森に太陽は似合わないってば…。」
「そうよね、私もお月様の方が好きですわ、一緒ね。」
「なっ…き、君は昨日の……どうして…。」
「あら?覚えていて下さったのね、嬉しいですわ。」
少女はうふふと微笑んでみせてくれた、美しい、なんて美しいのだ。
「お顔が赤いですわよ?林檎みたいですわ。」
「えっ!?あ、赤いかなー…」
「嘘ですわよ、あの、そちらに行ってもよろしいですか?」
「え、あ、ああ、どうぞどうぞ。」
「お邪魔しますの。」

少女はいい匂いがした、温かかった、心も。
触れたかった手に触れている、会話している、ああ神様はちゃんといたんだ、ありがとうございます神様。
でもずっと気になっていることがあった。

「僕は狼ですよ、怖くないのですか?」
「あら、狼さんは怖い人なの?私にはそうは見えませんの。」
「え、あ、ありがとう。」
「だって私、貴方のことが大好きですもの。」
「ぼ、ぼくも!」
「嬉しいですわ。」

二人で笑いあった、とてもとても楽しく嬉しかった。
でも、神様だってずっとずっと幸福ばかりを与えてくれはしない。

「また明日も来ますわね。」
「は、はい!待ってます。」

もう明日も怖くない、悲しくもならない、君が来てくれるから。


次の日少女は来なかった。

その次の日も来なかった。

そして春が来た。

少女はあの日以来、来ることはなかった。

僕の方から会いに行きたい、少女の匂いを辿るとそこには『立ち入り禁止』の文字。
そして猟銃を持った人間たち。
「どうして…」
少女は僕を売ったのか?嘘をついたのか?

ああ、夜が来る、微かに月の光が入ってきた。
この静かな森に銃声が響いた。

僕は死んでしまうのか、そう思ったそのとき、


「嘘と言って、お願いよ、嘘と言って!」

少女の声が聞こえた。

「今、会いにきましたのよ、私、病気を治しましたのよ、なのに、」

良かった、少女は美しいままだ。

「大好きよ、私貴方が大好きよ。」

最後に感じたのは少女の唇の感触だった。

「さようなら、私、貴方を愛していますわ。」



{How happy I am.}

wolf in love

初書きですお粗末様でございました(笑)
最後まで読んで下さった方本当にありがとうございました。
優しそうな狼さんとお嬢様っぽい少女さんはご想像にお任せ致します。
私の中の少女はですね、髪はロングで栗色で目は澄んだ青ですかね、それで((殴

wolf in love

  • 小説
  • 掌編
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2014-12-22

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