仮面ブライダー
二次作品である。短編も短編なので、全話まとめてお楽しみください。
仮面ブライダー
1、美しき色の戦士誕生
平成の年号に代わり20年を過ぎ、新時代を彩る若者が集い、夢を追いかける日本の首都東京。そんな若い力に溢れる街を一人の男が歩いていた。
壮年期に入る昭和生まれのこの男の名は田嶋光治。年齢的な状況に不景気が重なり合い、リストラを受けて久しい。彼は職業を求めて最も活気のある東京にやってきた。都会はひたすら忙しく冷たい。肩がぶつかれば、
「どこ見て歩いてんのオッサン、痴漢?」
と女子高生に言われ、平謝りに謝っても時折警察を呼ばれてしまう。
1日歩き回って安いマンションが並ぶ住宅街に戻ると、女性用の下着が空を舞ってきた。
男の目を覆うように張り付いたのは乳充てであった。
最近の言葉ではブラジャーなどというが、そのブラジャーが発光して光治を光が包み込んだ。
とある繁華街を女子高生が歩いている。学生服でタバコをくわえて歩いている。
その正面に一人のへんたi…男が颯爽と降り立った。
「仮面ブライダー参上!」
ブライダーは名乗るなり女子高生に迫りタバコを奪い取った上にそのタバコの吸い口をベロベロと舐めまわした。
ふつうのタバコよりキツいにおいを放つそれはGARAMであった。
ウヘウヘと笑いながら目隠しのようについたブラジャーで女子高生を見回す。
女子高生は金縛りのように動けないながらも携帯で警察に電話しており、ほどなくパトカーがやってくる。
警察官が数十人襲いかかってくるが一人残らず股間を蹴り飛ばして撃沈していく。
女子高生はその間に逃げ去った。
ブライダーは白バイを一台奪い去って夜の闇に消えていった。
その翌朝、光治は目を覚まし、ヨタヨタのスーツを纏って幾度となく通いつめた職安に向かう。朝食はいつぞや半分に割ったチキンラーメンだった。
玄関を出ると白バイが一台止まっている。
光治は自分の住むアパートで何がしか事件でもあったかといぶかしく横目で見ながら職安に向かった。
2、ブライダーの美食の日
職安は実に混んでおり、光治は求人の募集を閲覧するのに2時間待たされ、窓口で育成訓練による援助の相談を受けるまでに3時間待たされた。窓口ではスタッフに
「見るからにあんたじゃ無理だ」
という顔をされながらほとんど適当にあしらわれた。
昼食は金銭的に諦めるほかにない光治はトボトボと、本日配布されるタウンウォークを手に入れて、宛てもなくさまよった。空をふと見ると光輝く物体が自分に降りかかってきた。
黒地にフリースがついたブラジャーだった。装着すると声が聞こえた。
「貴様のようにパッとしない男など落ちるところまで落ちてしまえ。」
顔面にブラジャーを装着し、後頭部で留め具を固定。グレーの無地のビキニパンツという姿の仮面ブライダーが現れた。
「イーッ!イーッ!」
といいながら街をひた走る。
真っ先にマクドナルドを見つけ、裏口に忍び込むと、失敗作のハンバーガーを見つける。
クォーターダブルチーズバーガーになる予定の失敗作を口にほおばり飲み込まないままに再び街をひた走る。
道行く女子高生やOLを見つけると一目散に追い回したがほどなく警官隊が現れる。
今度は機動隊が出動してきたが相変わらず、股間を蹴り飛ばして撃沈していく。
さらに教育委員会から派遣された、風紀粛正暗殺集団も現れた。
ブライダーは虚空に握り拳を掲げ、内回りに腕を回す。その手にはいつの間にかベージュのブラジャーが握られており、暗殺集団、通称FSA(風紀)(粛正)(アサシンチーム)の顔面に装着していく。
さらには繁盛しているケンタッキーフライドチキンに乗り込み、食事中の客が悲鳴(単なるビックリ)をあげる中カウンターを飛び越えて、ゆず辛チキンを奪い取った。
全面的にゆずの香りばかりでその辺の唐揚げと大差がなかったので、おののくレジのお姉さんを強く脅した。
「ふつうのチキンを出せ。新商品はダメだ!言うことを聴かなければ貴様のメロンみたいなサイズにAカップを無理やりつけるぞ!」
この強迫の前になすすべもなく、一番おいしくない手羽を差し出した。
「ふざけるな。鶏肉はあばらかもも肉にしろ。あと、せっかくの鶏肉の専門店ならば、鳥皮炭火焼きをメニューに入れろ。」
そういいつつ、骨の除去が難しい手羽を丸飲みにして走りさった。
走っていると、ショートカットでスラッと背の高い女性を発見した。
ブラジャーを奪い取ったが、怯える顔に青々としたヒゲが見えた。ブライダーは膝を付き苦しんだ。
体力の限界がいきなり訪れたブライダーはちょうど駐輪場を見つけ出し、鍵をかけわすれた自転車を奪いさって、いずこへと走り去った。
そんな騒ぎの翌日、光治は目を覚まし、1ヶ月ぶりの大盤振る舞いで、コンビニ弁当を食べることにした。
しかし、コンビニに向かいたいが足がパンパンになり、激しい筋肉痛に襲われた。
玄関には見覚えの無い、チェーンが真っ赤に錆びて、タイヤもパンクしている自転車を見つけた。光治は修理して使おうと考えたが、今は足の筋肉痛が激しい。とにかく、今日の
職安はパスして寝ることにした。
枕に頭をのせると何かが後頭部にあり、違和感を覚える。
手探りでつかみあげると、それは青い水玉模様のブラジャーだった。
光治は数十年ぶりに味わう恥じらいを感じながらも猛烈な疲労感にはかなわず、眠ることにした。
3、ブライダーの美しき実力。
光治は目を覚ました。先日の筋肉痛もいくらか落ち着き、枕の横に移動した水玉模様のブラジャーにめをやる。
恐る恐る手にとり眺めると、先日聞いた声を思い出す。落ちるところまで落ちる…
退屈では無いが出口の見えぬ暗闇のような生活を思うと転落するのも一興か。
光治はブラジャーを顔に押し当ててみた。
甘美な石鹸の香りがする。
いきなり光が現れ、光治の後頭部に留め具がつく。仮面ブライダーブルーが誕生した。
ブルーになっても挨拶はやはり
「イーッ、イーッ」
である。
ほぼ同時に光治の友人である、久志が部屋を訪ねてきた。
久志とは職安に通い詰めているうちに何度か会ううちに仲良くなった飲み仲間だが、最近では互いの家を出入りして、大きな焼酎を酌み交わしている。
久志が部屋に入ると、グレーのパンツで顔面に水玉模様のブラジャーをつけた男が、
「イーッ、イーッ」
と吠えている。驚くが、さらに驚くべきは恐ろしい早さで詰め寄り、汗臭い、真っ黒のフリース付きのブラジャーを押し当てたことだ。
久志は光に包まれて、やはりグレーのパンツに黒いブラジャーを顔面につけた、仮面ブライダーブラックになった。
二人してイーッイーッをしながら外に飛び出し、白バイを二ケツして走りだした。
横断歩道を時速80キロで走り、歩道橋を走る。
徐行で老人の歩く後ろを延々と追い続けるなどの暴挙を重ねた。
今度は自衛隊が戦車と戦闘機で攻めてきたが、強力なブライダーが二人もいる。
やはり戦車のハッチをこじ開けて中の兵士の股間をつぶしていく。
さらには戦車を奪い、白バイと戦車でさらに街を暴れまわる。
空腹なので二人でコンビニに向かった。
戦車で体当たりをして入り口を破壊し、店内でハッチをあけると、グレーのパンツにブラジャー仮面の男が二人現れた。
腹の出方を見ると、明白なビール腹である。
胸毛がやけにたくましいが頭はやけに涼しげである。
二人はスルメイカとホタテの缶詰めを4個ずつとり、レジに向かった。
「タダにしろ。さもないと貴様の頭を我々と同じようにかっこよくするぞ!」
若い男性店員はあまりに恐ろしい脅しに勝てず、犯罪者撃退用のボールすら手にとれないまま承諾した。
そして二人のブライダーは戦車に白バイを積んで帰宅した。
光治と久志は家にあったスルメイカとホタテの缶詰めを肴に飲みあかした。
久志が帰るときに玄関から見えたのは白バイを乗せた戦車である。
最近の警察は戦車も使うようだ。物騒な世の中と不景気と就職難を話題に玄関で愚痴をこぼしあい、今日もまた1日が暮れた。
4、美しくない1日・・・
二台のバイクが走っている。歩道を徐行している。
速度としては、子供がゆっくりしゃべりながら歩く程度の早さだ。
しかし乗っているのが明らかに尋常ではない。
顔面にブラジャーをつけ、パンツを一枚はいたきりの男が二人である。
道行く人が変質者だと叫びながら二人を避けていく。
しかし、一部逃げようとせずにスクーターで追跡してくる者がいる。
ブライダー達はそれを見たところで、意に反さず放置した。
ブライダー達は自由奔放に町を走りまわる。
「とにかく証拠だ。証拠さえあれば自衛隊の裏組織、民主主義軍が動くことができる。」
「で、何をつかめばいいと?」
「まずは、あのブラジャーの下の顔だ。ヤツらはあれをつけると強くなるからな。」
「つけていなければ、捕まえるのは安易であると?」
「そうだ。さらには、指紋、現場に残る証拠、遺留品なども全てつかめ。」
「仕方が無い。受けましょう。」
とある行政組織の権力者が探偵を使い、ブライダーの正体をあばき、ブライダーを倒すために動いたのだ。そして、探偵はこの後様々な惨劇を目にしていく。
500ccにまたがる二人のへんt・・・ブライダーは子供が歩くスピードでのろのろとバイクを転がす。
スクーターでもこれについていくのは反対の意味で困難である。
しばらく追走して探偵が見たのは、大変残酷なものであった。
「おのれ!石を投げつけてくるとはゆるせん!目にものを見せてやる!」
なんと、小さな子供に向かってバイクを向けているではないか。
子供が小さな自転車で逃げる。そのちょうど2メートル後ろから、追い続ける。
不思議な事に距離は一向に縮まらない。
「逃げろ逃げろ!俺達の怖さに怯えて逃げ続けろ!」
500ccが自転車を相手にブッブッブッブッと低音でノロノロと追いかける。
一気に捕まえるのではなく、恐怖を与えているのだ!残酷なり!ブライダー!!
逃げる子供はあまりの恐怖のためかもはや息が苦しいほどに笑っているように見える。
探偵はこれを見て頭を抱えた。
次に見つけたのはなんとブライダーがお年寄りを襲う場面であった!引ったくりの動かぬ証拠である。探偵はひたすらカメラを取り続ける!
よたよたとあるく年寄りは走って逃げる事ができない。それを知っていて、同じペースで追い続けるのだ。
老人は後ろを見向きもせずにひたすら懸命に歩き続ける。恐怖のあまり、表情を変えることすらできないのだ!
厳しい坂道にさしかかった時ブライダーは動いた!
なんと、老人そのものをひったくってしまったのだ!
坂道をブッブッブッと駆け上る。探偵は燃料がもったいないので、スクーターを手で押して追跡した。
坂道を登りきると、ブライダーは飽きたのか、老人をおろして走り去ってしまった。
探偵は懸命に追いかけた!探偵はあまりにも恐ろしい景色をみたせいで、錯覚をおこしているようだ。あろうことか、500ccよりも老人の歩く速度の方が早く見えるのだ。
どうにもこうにも頭が痛いので、探偵はバイクにまたがり、ブライダーの速度にあわせて走る。
幻覚は収まらない。タコメーターの針は2を指したままうごかない。
次に探偵が見たのは恐喝の場面である。
ブライダーはOLにいきなり声をかけたのだ。
「あのーすみまs・・」
「GYAAAAAAAAAOOOOOO!!!」
ブライダーはしりもちをついた。
股を広げてM字開脚を展開!婦女子を相手になんたる蛮行であろうか!!
探偵はこれもしっかりとカメラに収めた!
次に探偵が見たのは不法侵入である。
ブライダーは例のごとく走っていると、急に止まり、地面に落ちているものを拾った。
ピンク色のパンツである。
おそらくは女性用下着である。これは完璧に猫糞である。
ブライダーは案の定辺りを念入りに見渡している。
バイクを降りて四方八方を念入りに見渡している。
すると、おもむろに駆け出した。適当に住宅を探してきては一目散に駆け抜ける。
ドアのチャイムを鳴らし、中の人が現れるなり、まくしたてる!
「これ!落ちてました!!」
調査結果は以上である。
5、美しき鬼神、ブライダーレッド誕生
本日の話は3人目のへんt・・・勇者の物語である。
ブライダーブラック、ブルーの両名が悪名を高めている中、今日も公園で拾った新聞を見ては嘆いていた。
嘆いている男の名前は大三郎という。先日自らが開いていた診療所が閉鎖してしまったばかりである。閉鎖した理由は、スタッフのブラジャーが突然消える事件が多発したからに他ならない。
そして、院長の部屋から、大量の赤いブラジャーが発見された事による。
それでも逮捕に至らなかったのは、被害者が恥ずかしがって被害届けを出さなかったためである。
さて、大三郎は赤いブラジャーに囲まれて野宿していた。風でブラジャーの一枚が大三郎の顔面にひらりとのっかった。
すると、赤い光に包まれて今までのブライダーとは若干ちがうブライダーが誕生した。
真っ黒でキツキツのブリーフに顔面には赤いブラジャー。そして、白いコートの前止めが無いものを羽織っている。
そのまま駆け足で走るとなんと車を追い越してしまう。さらには正面衝突してくる10トントラックを受け止め、そのまま停止し、ダンパーをへし折り、10トンのトラックをなぎ倒してしまった。
今までのブライダーには無い強力な戦闘力である。
また、なきg・・・ではなく、掛け声は
「イーッ、イーッ」
ではなく、
「フォッフォッフォッフォ・・・・」
である。
しかし、手がカニのような形になっているわけではない。
そこに偶然ブルー、ブラックの二人が居合わせた。二人は相変わらず、ノソノソ歩くネコの後ろを500ccでブッブッブッブと追いまわしている。
しかし、レッドがブルー、ブラックにボンデージレザーを無理やり着せると、二人は突如凶暴になった。
3人が合流して、天を仰ぐ顔の角度で両手を広げて無作為に走り回る。
そこに、自転車でパトロールしている巡査が現れたが、余りの光景に、普通ではありえない形相で、よたよたこぎで特撮モノではお約束のズッコケを展開した。
3人は木に登って飛び周り、木をゆらしたあと、枝ががボキリと折れて3人とも転落した。
その後も3人で並んで走り回り、気がつくと、光治の家にいた。
光治の部屋には悪趣味なボンテージレザーが二着、白衣が1着ハンガーにかけられていた。
大三朗はなぜかそこにいた二人とその家主である光治にとまどいながらも挨拶をし、自分の財布で近くの酒屋でビールを買ってきて、飲み明かした。
現在家が無い大三朗は光治の家で生活することになった。
光治の家の玄関にはやはり、戦車の上には白バイが乗っており、チェーンがさびさびで漕ぐとシャリシャリ言う自転車がおいてある。
大三朗は光治が何ものかうかがい知れず得体の知れぬ恐怖を持っていたが、とりあえず明日は職安にいくらしい。
内科の学士号を持つ大三郎ではあるが、この不景気はそんな資格すらも無残に跳ね除けていく。
光治、久志、大三郎は3人揃って職安に向かう。そして今日のスタッフは残念なことに新米であった。そのため、求人票を渡して応募すると話しても、連絡先ではなく、本社に電話をする始末でしかも、
「すんません、あのー応募したいんすけど・・・ほら、バイトっすね。あ、オレは飯田って言うんすよ。面接はいつっすかぁ?」
という始末で、紹介のしかたを知らないらしい。
この3人の壮年期は大変黄昏た壮年期になるであろう。
6、イカれる狂戦士
ブライダーズは現在三人。皆が皆就職難に苦しんでいる。
さて、就職難に苦しんでいる者とは必ずしも彼らだけではない。外国から日本の魅力を満喫するために日本に帰国した男、名前はマーティ。趣味はベースボール。
彼はもともと教員であったが、とある事情で解雇処分を受けた。以来職安に通い詰めている。光治ら三人が居合わせた職安では今日も数多の求職者が地獄絵図を描いている。マーティも何度もこの場所に来ては地獄絵図の仲間になっている。
整理券を握りしめて待つと壮年期の男性に酒臭い声をかけられた。
「日本はいかがですか?生活が困難でやはり、ふるさとがいいでしょう?」
声の主は久志である。光治、大三郎はこのやりとりに涙すら浮かべていた。
マーティはこの日、何件か応募した。担当の飯田がすべて電話をかけたが、結果は全滅だった。帰路につくと、街では最近話題の変態が今日も暴れまわっているらしい。三人のブラジャーをかぶった変態が、爆風スランプのランナーを叫びながら本当に走り回っていた。しかも両腕を天高くかざしながらであるが、くたびれないのだろうか?三人の変態…いや、ブライダーはおもむろにポーチから肌色でやけにゴツゴツしたブラジャーを取り出した。
「なんだこれは?」
「気持ち悪い」
「一応ブラジャーなのか?」
などとしばらく話し合って、マーティの方をチラリととみると投げつけてきた。
「OUT!」
マーティの顔面にクリーンヒットしてしまった。マーティの全身が光に包まれる。
白いパンツに肌色のブラジャーをかぶり、赤いベルトをつけている。仮面ブライダーブラウンの誕生である。
とうとうブライダーは4人にもなってしまった…。4人で大声をあげて、万歳をしながら、ひたすら走り回っている。
「ハッシッルーハッシッルー!おれぇ?たーちいい?ラララ?……ハッシッルー!ハッシッルー…」
いつも通りに児童ポルノ法粛正委員会所属部隊が襲いかかってきた。
そしてブラウンはとこから取り出したか、白くて五角形の板をボンボン投げつけていく。
時々一枚を地面に置いて、埋めたりもする。さらには上に靴を揃えて置くなど、戦っていないときもある。
かくして、4人のブライダーによって、戦いは一方的に終わった。
この日、マーティは久志達の好意で光治の家に呼ばれた。ニュースをつけて4人でボソボソと焼酎、大五郎を飲んでいる。
ニュースでは、
「本日未明、4人目の不審者、通称ブラジャー男が現れました。そこかしこで叫びながら走り回り、捕まえようとしましたが返り討ちにあい……」
4人は不景気や就職難に加えてこんなにまで乱れた世の中を酔いながらも憂いだ。
今夜は渋くてやや長い夜になりそうだ。年末までもう50日たらずである。
7、林と飯田
突然だが、本日のブライダーは救済…じゃなかった。休載する。
うそぴょ?ん。
コホン…失敬。
光治、久志、大三郎、マーティは揃って職安に赴いた。担当は飯田の他にもう一人いるようだ。名札には林と書いてありかなり年配の男だ。
求人票の閲覧は順番待ちなので、整理券をもらう。4人に対応したのは林だった。
「…………………………………え、閲覧ですか?」
言いながら整理券を4人に手渡した。
「お待ちください↑」
還暦を過ぎていそうなわりにはずいぶんヘラヘラしている。
4人は順番に求人票を閲覧し、思い思いに探していく。
マーティは飯田が担当した。
「どもー。ハロワーの飯田ってんだけどー、おたくさんに応募したいってオッサンがいんのね?面接いいっすかぁ?」
こんな調子でマーティが見つけ出した企業のすべてに電話して、すべて断られた。
マーティはこれを見て、ポケットに何かを見つけて取りだし、飯田に投げつけた。
同じころ、久志を林が担当しており、林が応募の電話を取る。
「はい、△会直参○×組、採用総長小田です。」
「………………………………。…………………もしもし!?ハローワークの林と申しますー↑ど?もど?も。あのですねー一人紹介したい人がおりまして?↑よろしいでしょうか??」
久志もまた、求人票を100枚プリントアウトしたのに全滅した。
こんな調子で光治も大三郎も全滅してしまい、7時間かかったハローワークな作業も徒労に終わった。
「…………………………い、飯田くん?」
萌えないでいただきたい。はにかんでもいない。
先ほどからのこのセリフは林のセリフである。還暦である。オッサンである。書いてる筆者も気持ち悪い!
コホン。さて、なにを話すかと言うと、
「ちょっと??話し方が君の場合丁寧じゃないから??…もっと丁寧に言いましょう!」
飯田は言い返す。
「いや、林さんこそ肩ポンポンのあとのブランクヤバくないっすかー?アポ取れてないし??」
アポが取れないのは飯田も同様である。
このタイミングで林が殴りかかった。飯田が応じる。
いつもの景色なのでスタッフはなんでもない顔をしているが、利用者は驚く。
驚いた中にはあの4人も含まれていた。
4人は驚きの余り、無意識にポケットに手を突っ込み、何かを探り当てて目に充てた。
仮面ブライダー、ブラック、ブルー、レッド、ブラウンの登場である。
職安で暴れまわって、飯田と林をブラジャーでがんじがらめにした後、おもむろに求人票を適当に持ち出して、飛び出した。
一台のバイクに4人のブラジャーをかぶったパンツ一丁のオッサン。…筆者は頭痛がしてきたよ?
「酒が飲める飲めるぞ?酒が飲めるぞ?♪」
と大合唱しながらの4ケツである。加齢臭とかヤバくないっすか?
光治の家には4人が集まり飲んでいた。カバンを振り回しながら踊っていると、紙がドサッと出てきた。求人票である。
ありがたやありがたやとすべての求人票に電話をかけたが、全滅した。
「何をご覧になりましたか?」
「よくわからんけど求人票です。求人番号は…」
「すみません。職安スタッフで無い方の応募は…」
すべてがこの調子であった。午前中には全滅し、本日の職探しはもうくたびれた。
4人は昼間から飲み明かし、たまたまあったブラジャーをかぶって遊んだ。
その日、街は大混乱に陥るも道行く人の爆笑とパトカーのサイレンで普段はやや寂れた街もいくらか活気があるように見えた。…そんなバカな…。
8、ドクターSの陰謀
今日も街を騒がせる4人のブライダー。しかし、ブライダーブラウンがたまたま、ブライダーブルーの足を踏んづけたことから始まった。
ブラウンとブルーが戦いを始めてしまった。野次馬が集まり瞬く間に賑やかになった。ブルーはブラウンのブラジャーを剥ぎ取ってしまった。
ブラウンのブラジャーの下に見えたのはマーティである。
野次馬の中に混じって一人の男が目をつけた。
「人格改造ブラジャーを使いこなしとるんじゃの。4人もおるけ。成功じゃね。」
この男の名はドクターS。もとは精神医学の権威だったが、過激な治療をしては実験を繰り返し、働いていたKOSEIクリニックをクビになった。そんなことを言ううちにドクターSのケータイがなった。
「はい?はい、はい!…はい。今実験中じゃけ!後でお願いします!」
なんの話かはわからないが、塗装がいい加減剥げてきたケータイをしまうと、ついにブライダー達の正体が判明した。
光治、久志、大三郎、マーティの4人であった。ドクターSはそのまま4人を追跡した。
「青いのが、光治…茶色がマーティ…俺は黒で赤は大三郎。俺達ゃどうなるんだ?」
久志が天を仰いで嘆く。無理も無い。今までのブライダー関連ニュースのすべての事項において自分たちが張本人なのだから。とりあえず、ブラジャーはまずいので、4人で揃ってフルフェイスのヘルメットを買い、4ケツで帰宅した。
なお、ヘルメットにパンツ一枚で4ケツは目に良くないので見ることはおすすめできない。
帰宅すると、玄関に一人の男がいた。
「こんにちは。ドクターSです。それじゃ、4人とも改造しよか?」
そういうなり実に40人もの男が現れ、迫ってきた。4人はなすすべもなく捕まった。
目が覚めるとブラジャーの他にショーツが置いてあった。やがてドクターSが密室を打ち破って現れた。
「いつものブラジャーの他にこれもかぶりんさい。さらにパワーがますけえ。」
光治は抵抗するが両手足を縛られており、あっさりブラジャーとショーツをかぶせられた。
波打つ鼓動、湧き上がる情熱。溢れる力。光治ことブライダーブルーは両手足の束縛をビリビリと破り捨てて走り出した。
「遅いぞ光治。この力を使わない手はない。」
黒いブラジャーは久志だ。やはり改造手術を受けたか、頭には黒いパンツが被されている。大三郎やマーティも同じようだ。4人分のバイクが用意されており、これで出撃する。
背後からドクターSが現れた。
「ほんじゃったら、一番目の仕事。二丁目のコンビニで烏龍茶をかってきんさい。」
4人はさっそく新型車で二丁目に向かった。
最高時速400キロを誇る高性能バイクだ。燃費もいい。音は出ない仕組みだが、ブッブッブッとタコメーターは10のメモリにすら遠く及ばないスピードだった。
コンビニの入り口をくぐるとさっそく怪しい目で見られるが、なんとかかごに烏龍茶を敷き詰めて、レジに向かった。
サントリーのではなく、牛乳パックに入った、1リットルで105円の烏龍茶だ。
会計を済まし、帰路に付くとやはり大量の警官隊に襲われるが、今まで以上の早さでなぎ倒していく。無事に
「ドクターSのひみつきち」
にたどり着いた。
「こんなにたくさんいらんよ。しかもこれはおいしゅうない。サントリーのほうがええじゃろ。頭の中まではパワーアップできんけ…お釣りは?」
「宵越しの金は持たない主義!それが我ら」
『ブライダーズ!』
酒臭い声が4人分で一斉にに言い放った。
ドクターSはため息を一つ落として、自分の部屋に去った。
9、敵か味方か?イエロー登場。
ブライダーブラック達が暮らす街とはやや離れた場所にひとりの男がいた。年齢は74。名をミノルという。漢字は難しいので、読者諸兄に伝わるようにカタカナで表記した。
レッドとは深い知り合いであるがミノルはまだブライダーには覚醒していない。
さてミノルのもとには姪と彼氏が訪れていた。
「そういうわけで、僕達には叔父上のお力が必要なのです。なにとぞ…なにとぞ。」
姪の彼氏が懇願し、姪もまた深々と頭を下げる。
「そりゃあせんこともないわな。なんでプー太郎、乞食なんかにこがぁなことせにゃいけん?障害者手帳もっとるのがこの子の役にたつんか?お前もこんなもんについてくんか?」
あからさまな猛反対である。なお、相手は姪であり、実の娘ではない。姪は密かに
「私達の思いなのに…」
と姪の心をバカにされていた。
そんなおり、どこからともなく風が吹いた。風にはブラジャーが乗っていた。ミノルはブライダーに覚醒した。
純白だったが汗で黄ばんでる上にワキガ臭いブラジャーを装着した、ブライダーイエロー(?)の誕生である。
イエローはまず女子高生を追い始めた。パンツを剥いだりブラジャーをはいでいく。女子高生が泣きわめくと、
「動いたら取れんけぇ、大人しゅしろぉ」
全く容赦ない。警察官が自転車で駆けつけると、イエローは逃げ出した。しかしまもなく捕まってしまった。
「若い子にあこがれましたけ、やりおったんです。若い子の匂いや■■■がたまらんけ、つい…」
取り調べ中でもブラジャー外すことなく、気持ちだけは大層なニセブライダーだった。
10、ブライダーのシビアな日!
「イーッ、イーッ!じゃないやパンツ見せんかい!そこの女ぁーっ。採血しましょう!」
レッドが追い迫ると警察官がやってくる。
「○時×分に逮捕。はい、話はあっちでね。そんなもんつけてて見えないんじゃないかね?」
一方では…
「乳が揉める揉めるぞー乳が揉めるぞー♪」
ブラックが替え歌混じりに歌いながら女子高生に迫る。あっさりと警察官が現れた。やはり捕まる。
「アイム、ハイウェイスターね。ハハハ」
タコメータはやはり5にも及ばず歩道を走る。やはり500ccだ。
「ちょっとちょっとなにやってんの!」
あっさりとパトカーに積まれてブラウンは運ばれた。
「はい、どうぞ。いかがされましたか?」
職安のスタッフが話しかける。
「イーッ、イーッ!」
「訓練所の相談でしょうか?特別なお仕事をお探しで?」
「イーッ!イーッ!イ?ッ」
数分後、筋肉が隆々としている警備員につまみ出された。
顔には青いブラジャーが装着されていた。
11、仮面ブライダー最後の挽歌
「ブルーよ。目を覚ませ。」
立ちそびえるのはなんと肩のあたりまでパンティストッキングを頭からかぶった人間だ。
「お前の同胞がすべてやられた。残ったのお前だけだ。」
パンストキング伯爵が告げた。ブルーは果敢に教育委員会、警察、自衛隊に挑んだ。
レッドが、ブラックがブラウンが返ってきた。キング伯爵も加勢し、総力戦になった。
機動隊の攻撃でブルー…光治が姿を表した。
ブラックもブラジャーを外され、久志が顔を知られてしまった。続いてレッドの大三郎、マーティーも素顔をさらした。
ブラジャーが無ければブライダーの力は引き出されない。
飛び交う銃声、刀剣の前に四人の変t…戦士は倒れた。キングはストッキングを引っ張られて顔がつぶれている。
ついに外れた素顔、その正体は博満であった。
「日本シリーズが取れなかったからつい…」
境遇はマーティにやや近いようだ。
こうしてついにブライダー達の戦いは…終わってなどいない。刑務所を出た暁には必ずや秘密結社ジョーカーを作るのだ。
ガンバレブライダー。日本の明日を勝ち抜くのだ。
仮面ブライダー
正直、筆者は頭を抱えた。「無敵最強絶対不敗伝説」を投稿し、グーグル検索にまで引っかかるようになったのに、こんなにも薄っぺらい作品はどうかと思った。
それでも、作品は作品なので寝かせておくべきではない。
読んでもらい、ワンシーンでも笑ってくれたなら幸いである。