超xxx小説・・(秘密)

ある男女の出会い。新しい男と女の友情物語

1.
小さなスナックを目指して哲夫は歩いていた。
新宿のキャバレーでかなり飲んでいたので、歩くのも覚束ない。

知人から電話で「xxxでいま・・飲んでるからこっちに来いよ」の
半ば強引な言葉に吊られて、夜の新宿を千鳥足で向かっているのだ。
教えられた道順を通り、夜の繁華街の看板を探していた。

突然、目的のスナックの看板が見えてきた。
「ここか・・・」ちょっと溜息をつきながらドアを開けた。

店内は5-6人も座ったら一杯になりそうな小さなスナック・・・
客は知人しか、いなかった。

「いらっしゃい」・・優しい女の声が響いた
スナックのママのようだ・・・

「おぉ、来たか」・・・知人はこっちを振り向いて手招きしてる。
「じゃ・・ママ・・俺は行くから・・」挨拶もそこそこに
知人は帰ってしまった。

「なんて野郎だ・・」哲夫は心の中で呟きながら
ママが差し出した水割りを口にした。

「お客さん・・マネージャーか何か?」・・・・???

突然、ぶっきら棒にママが聞いてきた。
「いや・・違うよ」哲夫も突然の質問に驚きながらも答えた。

「いえね・・さっきのお客さんがそんな風に言ってたから」・・・・
ママが興味のありそうな顔で哲夫を見ていた。

あいつ・・・何吹き込んでいったんだと哲夫は思った。

服装がそれらしい雰囲気を持っていたらしい事は後で知った。
それにしても何で呼びたしたんだ・・それにとっとと帰りやがって・・

哲夫は少し怒りながらも、店内を見渡していた。

L字のカウンターに5-6席の椅子が並べられている。
装飾物は控え目だが・・・落ち着ける雰囲気が気に入った。

よく見ると・・ママの隣に女の子が立っていた。
20代前半の華奢な体形だ。どちらかというと、うつむき加減にこちらを見てる。

ママは30代前半なのだろう・・・うん?・・・
よく見ると・・・誰かに・・・そう・・誰かに似ている・・・

「お客さん・・私の顔をあまりジロジロ見ないでよ」・・ママが声をかけた。

「うん・・少し酔ったようだ・・・」哲夫もバツが悪いので
適当な相槌をうつ・・・・

心の中では「誰だろう」??と・・必死に思い出そうとしていた。
あっあの子だ・・・突然、虚ろな頭が冴え出した・・・

昔、別れた彼女の顔と目の前にいるママの顔がオーバーラップしてみえた。
確かに似ている・・・いや・・・似たところがあるって程度かな・・

よくよく、酔った眼を凝らして見ると・・・超美人だ・・・
何で・・こんなスナックで働いているんだ??・・哲夫は思った。

「この店・・長いの??・・」哲夫はママに向かって聞いてみた。

「そう・・・もう3年かな・・」ママが思い出深げにため息をついた。

2.
ママは鈴子と名乗った・・

あれから2時間ほど飲んでいる。
いや、静かにではなく・・・かなり酔いが回ったせいだろう・・・
哲夫は訳もなく騒いでいた・・・

うつろな目でママを口説いていた・・・ロレツの回らなくなった口で
「ママ・・このあと・・どこかへ行こうよ・・」・・・などと
普段は口にもしない言葉が、出てくる。

「いやよ・・・酔っ払いは嫌い・・」・・・・鈴子は冷ややかに拒絶した。
「それに・・もう大分酔っているから・・帰った方がいいわよ」と追い出しにかかっていた

・・あれから客は誰も来ていなかった。

「もう終いか・・そうだな・・・帰るか・・・」・・哲夫も少し騒いだのを反省していた

「でも・・・また、来てね・・・」鈴子はさっきのちょっと怒った態度とは変って微笑んでいた。

「あぁ・・・近いうちに・・・また・・・」哲夫は勘定を済ませると店をあとにした。

・・・帰りながら、哲夫は昔のことを思い出していた。

哲夫はある事情で、恋人と別れた経験があった。あれから8年の月日が経っていた。
・・もう、あの頃の熱情はなかった。淡々と過ごす毎日・・・
妻に不満があった訳ではないが、新婚時代のような感情は沸いてはいなかった。

ふと・・・鈴子の顔がよぎった。

似てたな・・・・でも・・嫌われたな・・・・「ハハハ・・・」 哲夫は罰の悪さに笑ってしまった。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

家路に着くと、妻はさきに寝ていた。・・・食事の用意も机の上にしてある。

いい妻なのだ。・・・・結婚して6年を過ぎようとしていた。
哲夫は用意した食事を軽く済ませると、ソファーの上で横になった。

酔いのせいで、ぼんやりとした頭の中でまた昔のことを思い出していた。
昔の恋人とは別れて以来、連絡もしていなかった。
いや、あえて避けていた。

別れたあの日・・・「また・・連絡していい ? 」と言う彼女に
「いや・・・だめだ・・・ここで別れよう・・・」と手を差し出した哲夫に向かって
彼女は「いゃ・・」と小さな声と同時に手を払った。
お互い少し涙ぐんでいた。そんな別れ方をしていた。

あれ以来・・・彼女も家庭を持ったことを知人から聞いて知っていた。
哲夫もあれから2,年後にお見合いをして今の妻と結婚した。
「もう、寝るか・・・」哲夫は独り言のように口にした。

3.
秋も深まり・・・仕事場へ急ぐ哲夫の小走りに歩く姿があった。

表参道の街路樹にも、冬の到来の近さをわからせるように

木々の姿も変化しだしている・・・

「まずいな・・・約束の時間に間に合えばいいが・・・・」 哲夫は独り言を言って・・・時計を見た。

3時の約束にあと15分しかない・・・・「急がないと・・・」 哲夫は走った・・・・

待ち合わせの喫茶店がほどなく見えてきた。

取引先の社長との商談はいつも仕事場近くの喫茶店にしていた。

ドアを開けると・・マスターの「いらっしゃい・・」の聴きなれた声・・・

「哲夫君・・・ここだ・・・ここだ・・・」 取引先の社長の声に振り向いた。

「すみません・・・遅れたようですね・・・」哲夫は頭を下げた。

「いや・・・俺も今来たばっかりだから・・・・」 野太い声と日に焼けた顔に白い歯が目立つ・・・

「ゴルフ焼けですか・・・?? 」 哲夫はマスターの置いたコップの水を一口飲みながら尋ねた。

「そう、さっき1ランウド回ってきたのだよ・・・・彼女も一緒にね・・・」 と・・・

社長の横に座っている女性の方に顔を向けた・・・・

あっ・・・・彼女だ・・・・・哲夫は心の中で叫んでいた。・・・・・鈴子である。

「おや ? ・・・・・・知り合いか ? ・・・・」 野太い声がする。

流石に1代でのし上がった社長である。二人の様子で直感したようだ。

「はい・・・先日・・・・この方のスナックで・・・・その・・・・」 哲夫は先日の醜態を思い出していた。

「社長さん・・・・この方とお知り合い ? 」 鈴子がドギマギする哲夫の話を割って尋ねた。

「哲夫君とは長い付き合いだ・・・鈴ちゃんの店に哲夫が行ったのか・・・」 トーンを落として
社長が言った。

「ええ・・・xxxxさんが彼を呼んだの・・・」 鈴子が優しい声で答えた。

「あぁ・・・・あの酒癖の悪いxxxか・・・あいつ、酔うと絡むからな・・・・説教たれるし・・・」
 社長が 首を縦に振りながら・・・喋りだした。

「いえ・・・この間はそんなに酔っていなかったわよ・・・すぐお帰りになったわ・・・」 
今日の鈴子は ゴルフ焼けを防ぐようにラフなスタイルだったが、何か塗っているのだろう・・・・・
店で見たときよりも肌が白く透き通って見えた。

商談も終え、社長がまだ会う人がいると言うので先に帰っていった。

「先日は失礼しました。・・・・・」 哲夫は鈴子に頭を下げた。

「あの日は・・・随分とお酔いになってらっしゃいましたわね・・・」 
鈴子が微笑みながら哲夫を見ている。

哲夫も鈴子の顔を見ながら・・・元恋人の影を追っていた。

「哲夫さんって・・・さっきから・・・私の顔ばかり見るのね・・・」
 鈴子がウインクしながら尋ねる。

「実は・・・昔の知り合いに・・・ちょっと・・・似ているんだ・・・」
 哲夫も頭を撫でながら照れくさそうに応えた。

「そう・・・・ふぅーん・・・」 鈴子が顎に手をかけながら、首を傾けた。

やっぱり・・・似ている・・・・雰囲気が同じなんだ・・・・哲夫は思った。

それから、1時間ほど雑談をして二人は別れた。

哲夫は仕事場に戻って・・・事務所のリクライニングチェアーに体を預けた。

ふーう  タバコの煙が換気扇に吸い込まれていくのを見ながら・・・・

思いがけない所で再会したなと・・・先ほどの鈴子との短い時間を思い出していた。

4.
再会してから、一ヶ月ほど・・・過ぎた。
あれから、哲夫は仕事にかまけて鈴子の所には行っていなかった。

事務所に手紙が届けられたのはそんなある日だった。
淡い緑色の封筒から手紙を出してみた。

いつも、ご愛顧ありがとうございます・・・・
    つきましては 12月25日に遅ればせながら・・・・
       クリスマス記念パーテイをいたしますので・・・・・・
             ご来店下さいませ・・・・・
                 スナック「星の砂」ママ

鈴子の店からの招待状だった。
印刷された文面の下に、鈴子からの手書きのメッセージが書き添えてある。

哲夫さん、ご無沙汰しております。
お忙しいでしょうが是非ご来店下さいね。
お待ちしております。鈴子

「12月25日か・・・・」哲夫は予定表を見ながら呟いた。

・・・・・・・・

12月だというのに暖かい日が続いていた。
哲夫はなかなか仕事が終わらないので焦っていた。
時計は午後9時を過ぎている・・

足早に仕事を済ませた哲夫がスナツク「星の砂」を目指していた。
あれから1時間ほど経っていた。おぼろげな記憶の中で
「星の砂」の看板を探していたが流石に今日は素面になので
店はすぐ見つかった。

「あった。あった・・・」哲夫は酔って来店した日を思い出していた。
所々、記憶がなかった。

ドアを開けると、店内はほぼ満員状態だった。

「いらっしゃい・・・」優しい声が響いた。

常連らしい客達が、一斉にドアの方に目をやり
物食するように、哲夫を見ている。

「ごめんなさいね・・・その席に・・座って・・」鈴子が奥の席を勧めた。
哲夫はお客たちの背中を見ながら、奥の席に進んだ。

「今日は流石に混んでるね・・」哲夫は鈴子から渡されたオシボリで
手を拭きながら話すと・・・

「お蔭様で・・でも本当に遅ればせのクリスマスよね・・・」と鈴子の顔が
ほのかに微笑みながら呟いた。

それから1時間ほど・・常連客達が遅ればせのクリスマスを盛り上げていたが
12時を過ぎた頃になると客もひとり減り二人減りとしていた。

「ママ・・・お勘定」と、最後の客がほろ酔い機嫌で帰っていくと
店には鈴子と店の若い女の子と哲夫しか残っていなかった。

「哲夫さん・・・今日はありがとう・・・ねぇ・・・これから時間ある?」
鈴子は哲夫の傍により、耳元に囁いた。

「ああ・・・今日は大丈夫・・」哲夫は鈴子の口元を見ながら答えた。

「じゃあ・・これから付き合ってくれる?」鈴子がうれしそうに言うと
後片付けも早々に身支度を始めた。

「雪ちゃん・・・あと・・お願いね」鈴子が若い女の子に指示している。
哲夫はこれからどこに行くのだろうと思いながらタバコの火を消した。

店を出ると、満天の星が輝いていた。繁華街も流石にこの時間になると
人影もまばらになっていた。

鈴子が近寄ると哲夫の手を握り、すこし早足で歩き出した。
「哲夫さん・・・今日は静かに飲んでいたわね」鈴子が哲夫を顔を覗き込みながら言った。

「これが普通なんだよ・・・先日はいろいろあって」哲夫は引っ張られながら
鈴子の白い手が少し汗ばむのを感じていた。

5.
繁華街のはずれにある一角にその店はあった。
店といってもまだ開店前の準備中の店だった・・・

鈴子が看板もない店のドアの鍵穴を探している・・まだ全体に薄暗い。
「昨日ね・・・管理人さんから鍵を預かってきたの・・」鈴子が心なしか
弾んだ声で話しながら、ドアを開けた。

スナック「星の砂」の3倍はありそうなスペースが広がっていた。
「元のオーナーが喫茶店をしていたの・・」鈴子は調理場の方に向かった。

哲夫は適当な椅子に座って、辺りを見渡していた。
元オーナーの趣味で集められた調度品で飾られている。
少し、骨董じみてはいるが品の良い雰囲気を作っていた。

薄暗かった店内がやや明るくなった。鈴子がお湯を沸かし始めている。
「哲夫さん・・・何か飲む ? ・・何でもあるわよ・・」鈴子の声がする。

「ああ・・なんでもいい・・」と哲夫は言いながら
紅茶とブランディがあったら・・この場所では最高だなと思っていた。

店内に夜に似合うジャズの音色が静かに流れ出した。
鈴子が調理場で着替えたのであろう。黒いドレスに身を包み出てきた。
その姿は上品で肌の白さを浮き立たせていた。

哲夫の心を察していたかのように手には紅茶とブランデイを持っていた。
「今日は本当のクリスマスなのよ・・・」鈴子が角砂糖の上にブランデイを
注いで、火をつける。

薄明かりの中で二人の顔が映し出され・・・程なく紅茶の中に消えた。
「メリークリスマス・・・」お互いがお互いの瞳を見つめ合いながら同時に囁く、時が止まったように哲夫は思えた。
静かな夜の中で二人の時間が過ぎていった。


「私・・昔・・結婚しようと思った人がいたの・・」鈴子が静かに話し出した。

鈴子は新潟の出身で、その頃知り合った人と恋仲になった事。
しかしある事情から別れてしまった事、
それから東京に一人で出てきた事などを鈴子は大切な思い出のように語り出した。

俺と同じ様な別れ方をしたんだな・・・哲夫は鈴子の話に耳を傾けながら思っていた。

「ねえ・・・踊らない?・・」鈴子が突然にでも静かに微笑みながら哲夫に聞いた

「そうだな・・・いいよ・・」哲夫が鈴子の手を握った。その手はちょっとはにかむ様に震えていた。

二人は静かに席を立ち、フロアーの中央に出て、向き合った。
自然に手と手を組み合うと、ジャズの静かなテンポにあわせて揺れる様に
ダンスを始めていた。

二人は不思議な夜の時間を愛しむように見つめ合いながら踊っていた。

6.
仕事を終え、夜の雑踏の中で哲夫は悩んでいた。
今日「星の砂」に行く事を心のどこかで引っかかっていた。

あの夜の事ことを思い出していた。・・・・あれ以来鈴子には会っていなかった。

「どんな顔をして飲めるんだ・・・・」哲夫はため息をついた。

鈴子は記念日だと言っていた、確かにクリスマスではあったが
理由は違っていた。鈴子は恋人と死に別れていたのだ。
そう、12月25日は元恋人の命日でもあった。

元恋人の死を前にして、新潟の実家を飛び出し、家出同然で東京に来たことを
ダンスの後に鈴子は哲夫に話していた。

それ以来、鈴子の父親とは断絶状態だという。
新潟の実家は旧家の家柄で鈴子は一人娘なのだ。

厳格な父親の反対に合い、一度は駆け落ちも考えていた。
その矢先の、恋人の死を彼女は受け止めることが出来ずにいたのだ。

鈴子は本当は父親が好きなのが、哲夫には鈴子の話の雰囲気で感じていた。
母を早くに失い、父親は再婚もせず、鈴子を溺愛していた。
溺愛していたからこそ、鈴子と元恋人の関係を反対していた節もあった。

哲夫にも娘がいたから、父親の行動にもある程度理解が出来た。

鈴子は、以前大手クラブのNO.1だった。
その後、独立し、一時は10人程のホステスを雇い入れる経営者でもあった。

「今はね・・・・夜の商売も大変なのよ」鈴子は昔を思い出すように語っていた。
「でもね、夢もあるのよ」 鈴子はこの店で何かを始めたいと言っていた。
元喫茶店のオーナーは鈴子の伯父に当たる人のようだった。

一頻り、鈴子は哲夫に話した後
「手伝ってくれる ?  」鈴子は哲夫に囁いた。

「えッ・・・ああ・・・・」哲夫は言葉を濁していた。
鈴子の全てを知っている訳ではなかった。

「お願い・・・私・・・一人では怖いの・・・・」さらに鈴子は続けた

「ちょっと・・・考えさせてくれないか・・」哲夫は鈴子の顔が見れなかった。
このまま、深入りしてよいものか、迷っていたのだ。

鈴子は静かに頷いていた。

その後、二人は黙って夜の繁華街を後にしたのだった。

・・・・・・・・

「俺は鈴子に何をしてあげられるんだ」哲夫ははき捨てるように独り言を呟いていた。
妻も子供もいる・・・・・自分の立場を考えていた
しかし、それと同時に・・・昔別れた恋人のことも思い出していた・・・

悩みながら、ふと・・・気がつくと・・・スナック「星の砂」の看板が見えてきた・・・

7.

哲夫がスナツク「星の砂」のドアに近づいた時、1枚の張り紙がしてあるのに
気が付いた。

当分の間、都合により
お休みさせていただきます。
スナツク「星の砂」

張り紙には、そう書かれていた。

「どうしたんだろう・・・」哲夫は一抹の不安を感じつつ、その場を去った。

・・・・・・・・・・・・・・・

哲夫は何度か、スナツク「星の砂」をたずねたが、やはり休みである。
鈴子との思い出の元喫茶店にも行ってはみたがここも薄暗いままだった。

そうだ・・・社長なら連絡先が分かるかも知れない・・・哲夫は思った。

哲夫は携帯電話を手にしながら日焼けした得意先の社長の顔が浮かんでいた。
「もしもし・・・あっ・・社長・・実は・・」哲夫は鈴子の連絡先を聞いた。

社長の話から、鈴子はいま新潟にいること、鈴子の父親が入院したことなどを知った。
社長はさらに鈴子とはいとこ同士であること、
東京では身寄りのなかった
鈴子の世話役などをしていることも教えてくれた。
新潟の父親が娘の身を案じながらも、鈴子との絶縁状態では何もしてやることが出来ず、
身内であった社長を 通じて鈴子のことを考えていたのだと知った。
父親が倒れたことも、知らせたのは社長だったのだ。

「やはり、父親は父親だな・・・」哲夫は娘に対する父親の気持ちを察した。
いまは、連絡しないほうがいいかもしれないと哲夫は思った。

だが、それから1ヶ月2ヶ月と時は過ぎていった。
相変わらずスナツク「星の砂」は休みのままだった。

そんな、ある日・・哲夫の携帯が鳴った。鈴子からだった。

「哲夫さん・・・寂しいの・・・・会いたい・・・」鈴子の声は震えて聞き取れないほど小さかった。

・・・・父親が亡くなったのだ。・・・・・・・・・・・・

葬式を済ませてやっとの思いで東京に一人で帰ってきたこともわかった。

「いまから・・・君の所に行くよ・・」哲夫は携帯を切ると

鈴子が教えてくれたホテルをめざし、タクシーに乗った。

8.
東京都心の夜景は夜になればなるほど、輝きを増す。
高層のホテルの屋上近くにあるバーのウインドウには
近寄れば、下界の車の流れも確認できた。

そのホテルのバーに鈴子が座っている。隣には哲夫がいた。
二人はワインを交わしながら語っていた。

「ごめんなさい・・・突然お呼びしてしまって・・・」鈴子は少し潤んだ目でそう言った。
「いや、・・・君も大変だったね・・・・」哲夫もそれ以上の事は言わなかった。
二人とも、わかっていた。どうしようもないのだ。でも熱いものも確かにある。
それがわかっているだけに、会いたいのだ。そんな二人に言葉は要らなかった。
黙って、目と目を見つめ合っていた。

「俺・・・・手伝うよ・・・・・」突然、哲夫は鈴子の手を取って、言った。
「うれしい・・・・ありがとう・・・」 鈴子も消え揺る声でうなずいた。

それから、二人は2時間近く、今までの出来事を語り合った。

別に男と女の関係になることもなかった。
お互いの昔の傷を癒すように、自然と二人で話すことで落ち着けた。

・・・・・・・・・・・・・・

「これ、どこに置くの・・・・・? 」哲夫が鈴子に指示を聞いた。
「えーと・・・・哲夫さん・・・どこが良いと思う ??・・・」鈴子も哲夫を当てにしている。
なあんだ・・・・二人は向き合って笑った。

元の喫茶店はそのままに多少手直しをして、エステを始めるのだ。
鈴子の友人がその分野のプロで鈴子は喫茶店を任された。

哲夫も仕事柄、内装工事に指示を出していた。

哲夫と鈴子は、傍から見ると恋人同士に見えただろう。
仲良く働いていた。

哲夫も鈴子もこれでよかったんだと思っていた。
自然に気が合い自然に付き合う・・・・それだけで・・・・

別に悪いことをしているわけではないのだ。
こんな関係なら、妻も許してくれるかもしれない。

いや、あえて不信感をもってもらってはこまるな・・・・哲夫は思った。

「秘密・秘密・・・・・」哲夫は独り言のように呟いていた。


********* 終了 ************

超xxx小説・・(秘密)

ご覧いただきありがとうございます。
小説は初めての挑戦なので、よくわからないことだらけですが
構成等・・・展開次第で物語のストーリーは変っていくことに気がつきました
結構、ハマリますね。・・・・主人公になり切って自由に発想して参りますので
宜しくお願いします。  次回作を只今考慮中です。

アイデアなど何かありましたら、コメ下さい。

超xxx小説・・(秘密)

お互いに過去の恋愛で悲しい思い出を持った男女の出会いと友情

  • 小説
  • 短編
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2012-02-07

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