神ニチカイ

プロローグ

この世に住むすべての生物はそれぞれ「才能」を持っている。

「自分は何も出来ないダメ人間です」
なんて、言ってる奴らや・・・
「マジで天才とか消えればいいのに」
なんて思っているクソ野郎だって才能はある。

ただ、それは自分の才能を見つけることが「出来た」か「出来ない」かと言う問題であったりする。
だとしたら全く才能が無いとは言い切れない。
誰にでも天才になる可能性はあるのだ。

だが、天才になることを嘲笑(あざわ)うかのように12人の少年や少女が現れたのだ。

「天才」と言う言葉では決して表せない。
いや、表してはいけない。
言うならば「神」に近い存在である。
未知の力を使い、同じ人間であることが信じれないような存在。
だから、人は神のような才能をもった12人を「神才(じんさい)」と呼んだのだ。

しかし人間は欲深いものだった

神才(じんさい)」を手元に置いておきたいと思う。
自分のものにしたいと思う。
そして、誰にも渡したくないと思う。

その結果、一つの都市が出来上がってしまった。
名は「神脳都市(じんのうとし)
世界のためと(いつわ)神才(じんさい)12人を箱の中におさめるために出来た都市
さらに、可能性のある天才も全て入れ、個人的な欲望のために乱されるような事がないように一般人を倍以上住まわせた。

神才(じんさい)のことはメディアなどに情報が漏れることは一切無く。
だから、都市伝説や噂のような感じでしか聞くことはない。
どんな神才(じんさい)がいるかもしらないのだ。
そうしなければ、世界は本当に終わってしまう。
自然が作り出した『可能性』が世界を苦しめ、欲深くする。

あなたは欲が無いと言えますか?
(いつわ)りが無いと言えますか?

――言えませんよね…
では、ようこそ欲望と(いつわ)りの世界へ――

1話

・・カツカツ・・・
大きなあくびをしながら階段を上がっていく。
上がっていった先には「立ち入り禁止」とぼろぼろになった紙が錆びた鉄のドアに張り付けてあった。
そのドアをなんのためらいもなく、ギシィィとバレてしまうような音をならしながら開ける。
そこには青い空と爽やかな風がふく屋上が広がっていた。

ボクは来るなり横になり寝ようとする。
毎日の習慣である。
今は決して放課後でもなく昼休憩でもない。
授業中である。
でも完璧な頭脳に何を入れればいいのか?
その質問の方がどんな問いよりも難しいとおもう。

そう、ボクこと天羽拓磨(あもう たくま)は「天才」を越えて「神才(じんさい)」になった12人の内の1人である。
だから、授業は無意味である。
って言うか仮にも受けたとして無意識に能力を使ってしまえばそれは大変どころか国を動かす始末である。
まぁ、その理由は2割であって残りの8割は「眠たい」が本心である。

ボクが特化した才能は「数学」である。
能力は「絶対計算」と言って仮定すらばどんな問いでも分かるのである。

昔はコントロールが難しくて困ったものだ。
必要でもないような情報が頭のなかを巡り、最終的にはおっさんのパンツの色や形、肌触りまで考えたくもないような問いを解いてしまった。
(せめて女子が良かった・・・)
まぁ、今ではしっかりコントロールでき、やろうと思えばこの地球が滅亡する年だってわかる。
めんどくさいからしないけどね・・・

だが、この屋上で優雅に寝るために絶対的に必要なことがある。 
それは事務員の先生が来る時間を計算することだ。

ボクは神才(じんさい)と言いながらここでは一般生徒。
ここにいること自体、違反なのだ。
まぁ、バレなければ無意味だが・・・
不覚にもバレてしまった。

それからと言うものボクがいないかを確認をするため事務員の先生がここに見回りしに来るようになった。
しかも毎日、時間はバラバラ
だから、ボクは神才(じんさい)の能力で来る時間を把握しいるのだ。

「ぇーと、この屋上にボク以外の人が来る時間をXとすると」
ボクは仮定をやり始める。
「・・・途中式は省略するとして」
簡単ならば途中式なんていらないのだ。
そして、呟くように
「このXの答えは・・・」
その言葉を発した瞬間、意識がとんだ。
たった、0,0001秒ではあった。
常人ならまばたきよりも早いため気にも止まらない。
次の瞬間、頭の中には『9時32分35秒』と浮かんだ。
これがXの答えである。
つまり、この時間に事務員が来るのだ。

「今の時間は・・・」
ボクはポケットからスマホを取りだし電源をつける。
ロック解除と書かれた画面に時間が表示される。
『9時30分』と・・・
ボクは目を疑った。
こんなに早い筈がない!
だが、毎日ランダムに来る事務員たちを見くびってはいけない。
ボクは急いで給水塔の影に隠れる。
今、急いで階段を下りて事務員の人に会っては本末転倒である。
何があってもバレてはいけない。
そうしないと寝れない・・・
静かに隠れているボクには風の音以外には何も聴こえなかった。
だが、突然ギギィィと錆びた扉が開く音が聴こえる。
(・・来たか・・)
ボクは毎日の事なのでだいぶ慣れてきた。
落ち着いて給水塔の影に隠れ、カツカツと歩いてくる音を感じる。
しかし、こっちに来る気配はない。
(むし)ろ、歩く音が遠ざかっていく。
そして、ピタッと歩く音が消え、また風の音が目立つようになった。
ボクは給水塔の影から覗きこむ。 
そこにいたのは教師でも事務員でもない…
だからと言ってここの生徒でもない…
それは、サラサラと流れるような黒髪が肩の方まで伸び、耳には黒と緑のヘッドフォン、服はもちろんここの制服ではない。だが街で良く見かける制服であった。そして、両手に「BSP」と言う携帯ゲーム機を持っている小柄な少女がいた。

神ニチカイ

神ニチカイ

  • 小説
  • 掌編
  • ファンタジー
  • 青春
  • アクション
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2014-12-13

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