スポーツ・バー「Poor's」。
今年のスーパーボウルも4年前の再現のような展開で、終了前の残り1分を切ってからニューヨーク・ジャイアンツが逆転で勝利した。ただ、僕にとっては4年前と今年とでは大きな違いがある。それは、4年前はまだロサンゼルスに住んでいたけど、今はニューヨークに住んでいること。
僕は、家の近所の地元の人間が集まるスポーツ・バー「Poor's」のカウンター席に早くから陣取った。この席は、去年の夏、サッカーのワールドカップの日本とアメリカの決勝戦のときと同じ席だ。あの時は、ただ一人で日本を応援していたために、地元の常連で賑わうこの店の常連たちに、なでしこの活躍とともに僕も一躍有名になったのだ。
僕の住んでいる地域には、日本人どころかアジア人もあまり住んでいないため、地元のスポーツ・バー「Poor's」の常連にもアジア系の人間はいない。おまけに、まさに映画にも出てきそうな古き良きアメリカを象徴するようなバーのインテリアと、常連たちが醸し出す雰囲気は、僕をいつも日常からタイムスリップさせて異次元の空間へと運んでくれるのだ。
ジャイアンツの逆転勝利で「Poor’s」の店内は最高潮に達した。試合後も盛り上がり続ける「Poor's」を後にして、僕はマンハッタンに向かった。マンハッタンに向かう車中からは、エンパイヤーステイト・ビルの照明がジャイアンツ・カラーのブルーに光っていて、なぜか、僕を現実に引き戻すのだった。
スポーツ・バー「Poor's」。