鑑賞記録-真っ赤なきんぎょ企画公演「あるいた はじまりの 音」より
淵野辺にある桜美林大学徳望館地下小劇場にて観劇。
過去何本か観させていただいた真っ赤なきんぎょ作品中で、最も共鳴しやすかった作品に思われた。男の子一人女の子一人が乱雑な舞台空間でぼそぼそとモノローグを語りだす。内容に別段特殊性はなく、学校での生活がどうとか、朝方の電車内がどうとか、ごく身近な愚痴ばかりだ。表情や動作にも熱はなく坦々としている。が、その煮え切らなさに却って彼らの抱える底知れぬ闇が感じられる。
現状での“生きづらさ”は皆周知の事実であるとして、では(作品が)どういった結論を出すのかな、と思えば、やはり女の子は新たな道を歩き出し、男は黒く積まれた箱に埋もれて動けずにいるといった凡庸なものだった。「その感覚わかるわ~!」と前提が組まれていただけに、もう一歩踏み込んだこちらへの揺らがせが欲しいようにも感じました。
鑑賞記録-真っ赤なきんぎょ企画公演「あるいた はじまりの 音」より