鑑賞記録-演劇集団Z-Lion第4回公演「This is a お感情博士!」より

岩渕幸弘


笹塚にある笹塚ファクトリーにて観劇。
SEハートフルファンタジーコメディー。時々笑って最後は泣けるイイお話。「物語」をいかに緻密に練り上げるかへ力点をおいただけに、その世界観に浸りたい観客にとっては文句ない至福な時間だっただろう。がよくよく思考を働かせてみれば、本作はハートフルなどとんでもない!悲劇ではないか!とも感じられる。感情を持つロボットとして生産された個性豊かな仲間達がラスト離散してゆく世話になった人間達に想いを馳せる。それは避けようのない“死”にまで及ぶ。片や対称的に、子どもを持ちたいロボットへ開発された「赤ん坊ロボット」がたった今誕生をむかえる。
端的に見れば情愛のこもった感動のラストシーンだが、いやちょっと待て、その後の彼らロボット達の行く末を考えた途端、感動にも背筋が凍る。彼らは人間の終焉を悲しんでいるのである。けれど彼ら自身の終焉は一体だれが保証してくれるのだろうか。彼らは死の概念を持つ。それが何を意味するか理解しているのである。しかしながらだ、彼らが自然に死ぬことは絶対にない。それは彼らが人間ではなくロボットだからである。
眼前の光景を見て「ああ、生む喜びばかりでなく死ねる喜びを教える人間はいなかったものか」と考えた。彼らは恐らく永遠に死なない。いや後日談としてともすればその点に気付き、同様に“自然に死ねる機能”を開発するかも分らない。が、いずれにしろ「あ、死ねないんだ」と彼らが気付いてしまった時点で、この物語は悲劇そのものだと思う。

鑑賞記録-演劇集団Z-Lion第4回公演「This is a お感情博士!」より

鑑賞記録-演劇集団Z-Lion第4回公演「This is a お感情博士!」より

「笹塚にある笹塚ファクトリーにて観劇。……」

  • 随筆・エッセイ
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2014-12-10

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