深夜散歩

夜に散歩したくなるんだ
夢を見るのも
明日を信じることも
残り少ない今日と面と向かって居るのも
疲れてきたんだ
今夜はどんな月がでてるだろう
星はいくつか流れるかな
雨でも降っているだろうか

冷たい空気が張り詰める
僕がそこにのめり込むと
そっとそれがどこかへ移動していく

人はあまりに刺激を求めすぎて
この世はもうまっさらな綺麗でなくなってしまった
この夜にもきっと
誰かが泣いて
誰かが笑い
誰かが死んで
誰かが喜ぶ
誰かが生まれ
誰かが憂い
誰かが恐れ
誰かが愛し
誰かが嫌う

それを何も知らないで
僕はこの夜を行く
この夜を行くから
朝はやってくる
この夜を戻れたら
朝はやってこないかな

小さなコンビニの光
プラットホームのブルーライト
まだ聞こえる大きなテレビ音
それに同調する女男の笑い声

全部全部好きになれたらいいのに
この夜から星を奪うすべて
認めてあげられたらいいのに
難しいことだろう

いつものコースは優しかった
知らないことも
知ってることも
全部思い出す

電気をつけずに部屋にいる
夜に魅せられた心を
静かに一人外へ出す
嬉しいのか悲しいのか
死んだ彼らは泣いていた

月が出ていた
星は流れなかった
雨は降りそうもなかった

散歩するには素晴らしい
落ち着きのある夜だった
疲れていたのは
きっと心の問題だ

そういえば、大好きだった
夢を見ることも
明日を信じることも
新たに訪れた今日の残りの時間と向き合って居るのも

深夜散歩

深夜散歩

深夜に急に散歩したくなった人へ。

  • 自由詩
  • 掌編
  • 青春
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2012-02-06

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