古墳ガール
発掘旅行
「また発掘旅行に行きたい 今度は西都原に」
野上礼奈は考古学部2年の女子高生だ
楽しくて仕方がないというような表情で言った
「またですか」
透は歴史人を読みながら言った
「前も言ったじゃないか 野上さん」
「発掘旅行は前もって言ってくれないと」
福田透は眼鏡をずりあげながら言った
放課後の教室 考古学部は相変わらず弱小の文化部で
今年は1年生は居なかった
福田は歴史マニアで日本史世界史の知識に長じていた
「本当は維新の頃が好きなんですけどね」
福田の知識量は群を抜いていた
「大堀先輩は相変わらず来ないし 何やってるんだが」
部長の大堀は学校内でバンド活動をやっており其の活動で忙しかった
「大堀先輩なんか気にしてたら駄目よ」
そんなもんかなあ
福田は納得しない
「大体あの人 考古学なんてどうでもいいんでしょ」
「あらそう? 大堀先輩の父親って考古学の教授でしょ
先輩もそれで頑張ってるのに」
「バンド活動の方が大切なんでしょ あの人」
そういいながらまた福田は歴史人を読み始めた。
そこへ大堀が現れた
「お前ら いいニュースだ」
「来週発掘現場の仕事が入ってきた」
「またですか」
2人は顔を見合わせて溜息をついた
「楽しいだろ 発掘は」
大堀は言うが 地下足袋を履いての炎天下の作業は
苦痛を伴った
「大堀さんはいつも何か言って回避するでしょ」
礼奈は口を膨らませながら言った。
「まあそうだけど受験生だし仕方ないだろ」
「福田後は頼むな」
発掘現場は八王子だった
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