君の記憶(カケラ)

記憶をなくした彼

「先生!
 桐屋 和人さんの意識が戻りました!」

看護師さんがそう叫び、先生が走って
病室に入ってきた

私と和人の両親と目を合わせて
喜んだ

「和人!」

嬉しくて涙が出た

もう二度と目が覚めないと思ってたから

和人の手を握った

だけど、和人は目を開けたのは
一瞬でまた目を閉じてしまった

不安になり、先生の顔を見ると

「大丈夫ですよ
 眠りについただけです
 もう、安心してください」

私は胸を撫で下ろした

「先生、ありがとうございます!」

和人の両親は、先生に深々とお礼をしていた

その数時間後、先生の言ったとおり和人は目を覚ました

和人の両親は和人を胸いっぱいに抱き締めて泣いていた
私も後ろから病室に入って和人と目があった

やばい、すごく嬉しい
和人が目を覚ましてる

だけど、私を絶望にさせるのは
このあとの彼の一言だった

「・・・君、・・・だれ・・・?」

君の記憶(カケラ)

君の記憶(カケラ)

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2014-12-05

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