優憂
例えば、クッキーに水分を感じられないのにちゃんと液体は使われていてた。
例えば誰のものでもないはずなのに誰かのものになっている。
狡さを隠していて、導き出された返答には何も視えていない。
水平線をなぞる指先の感覚を、忘れたり、落としたり。
あらゆる存在の主張を手相に映し出す。
弾け飛んだ抜け殻は、サイダーには溶けない。
例えば、先生、わかりません。
例えば、あなたの思考の片隅に、置き去りにされた廃墟。
こんにちは。さようなら。
血液は死ぬまで踊ることを止めず、
今もこうして誰かにレクイエムを届けている。
シナリオはいつも最終回で勝手に足踏みを止める。
崖から飛び降りた瞬間に、幾度目かの憂鬱。
引き戻された現実世界にさようなら
を、していたのに。
例えば、5歳の女の子はお花屋さんになりたくて
例えば、8歳の男の子は運動が得意
あながち間違いではないように、背中を向け合い、互いを翼にしようと
その羽根はもうあなたには見えない。
間もなく地球とお別れをして
間もなくあなたは滅びるでしょう
最近になってわかったことは、
過去にもわかっていることなので
橘の花は素知らぬ顔で艶やかに交わす
花言葉を覚えて、石の意味を数えて、
秘密のやり取りで朝まで遊ぼう。
優憂