じゃんけん大会―二つの断片―

生き残りをかけたサバイバルと子供の遊びを掛け合わせた大会
その裏側に迫っていく内容です

書き足すやり方をとっています
個人的都合により、内容が変更することがあります

今年中に書き上げる予定です

【生徒会長になった者は、卒業後、自分の進路が約束される】
 紅鎖ヶ峰学園にはそういう制度があった。

 ある年の春休み。静かな体育館で、選ばれた十二人の生徒なかから、生徒会長を決めることになった。
 選抜の内容はじゃんけん大会。
 一対一で行い、勝ったものが次に進めるという単純なルール。
 ただし、負けたものはその時点で処刑される。
 意味の分からない、常識なんて通じないそんな選抜。

 参加した十二人の高校生は、数日間にわたって、その選抜を最後まで行った。
 十人が犠牲となり、一人が重傷を負うことになった。
 そして、一人の生徒が優勝する。

 ――これは、優勝することの叶わなかった、二人の高校生の物語。
 本当の始まりと、本当の終わり……。




 十日前―発端―

「それってやっぱり何かあったんじゃないかな? ……お兄さんの様子、明らかにおかしいと思う」
 テキパキと窓を拭きながら、皇木は俺に向かってそう言った。
「西条君も少しは気にするべき……」
「…………」
「うん? どうしたの……? ぼーっとして」
「……あ、ああ、いや、なんでもない……」
 皇木の声は相変わらず小さい。
 俺は急いで掃除の続きを再開した。
「私たちの分担はここ。大掃除の時間が終わる前に、ちゃんと最後まで済ませなくちゃ」
「そうだよな。分かってるって」
 同じ班ということもあって、俺たちは廊下奥に並ぶ窓を拭いていた。
 教室の方からは、他の生徒の楽しそうな声が聞こえてくる。
「そういや、なんで俺の兄貴の話になってたんだ?」
「えっと……掃除大変だねってなって、家の話になって、私のお兄ちゃんのことも話して……それで、西条君にも兄弟がいるってなって、聞いてみると、何やら深刻そうだった……」
「……食物連鎖並みだな」
 手は止めずに、俺は愛想なく答えた。
 皇木としては沈黙を避けたかったんだろう。無理やり話題を繋げていった結果だ。
「それでさ……、やっぱり私思うんだ。お兄さん、もしかしたらいじめられているとか……」
「…………」
「帰ってきたら、いつもボロボロなんでしょ? そうとしか考えられないよ……」
 ある日、あいつは帰ってくると暗い様子だった。その日を境に帰りも遅くなった。
 俺だってそれくらい分かっていた。だからこそ見ないようにしていた。
「一度、ちゃんと話したらどうかな?」

 学校の中に、チャイムの音が響いた。

「雑巾、貸してくれ……。バケツも俺が片付けてくる」
 皇木にそう言って受け取ると、俺は逃げるように教室の方へ向かった。

じゃんけん大会―二つの断片―

じゃんけん大会―二つの断片―

じゃんけん大会―紅の鎖―2とも言える内容です。 これだけでも楽しんでいただけると思いますが、先に前作を読んでくれるとありがたいです。 前作とは違う、別の二人のストーリーがあります。

  • 小説
  • 掌編
  • サスペンス
  • 青年向け
更新日
登録日
2014-11-22

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