FCはフライドチキンじゃないの

00 prologue





その蓋を開ければ、それは私達を映し出す。そして少し手を施せば微々たるの自信と勇気をくれるんだ…。


一歩踏み出す自信と勇気を手に入れた今、貴方達との繋がりをもっと近くに感じたい。だからその小さなパンドラに私達の想いを届けるよ。



〜foundation CAS〜

01 出会い

電気信号でやりとるするのが当たり前の世界で、画面越しの出会いを馬鹿にすることなんてもう出来なくなっていた。


その癖出会うことは嫌厭、画面の中とリアルの壁は常に立ちはだかる。壁を超えるのも難点。そんなパンドラ(ネット界)の中のでは最近、中継の動画配信が流行っていた。


「暁、最近ずっと携帯いじってるよね(笑)キャスみてるの?」
「そうそうー!最近トゥイッターでよく話す人がやっててさ!」
「へー。俺フォロワーリアしかいないからな〜。見てて楽しい?」
「楽しいっていうか…親しみ沸かない?トゥイッターとかってめちゃめちゃ気が合う人と仲良くなれたところで会うってなるとハードルがね…だからキャス見て身近感を味わってる」
「出会い厨かよ(笑)」


現実でパンドラの話をするのは日常。口を開けば「トゥイッターでさ〜」「○○がTLでさ〜」と、まあプライベートもプライバシーもクソも無い友人や他人の話。そんな会話を繰り広げてるのは華のJK、東堂暁(とうじょうあき)と、その友人の三門結介(みかどゆうすけ)。


結介「その人顔出しして…」
暁「あ、待って!後にして!ねえゆうすけイヤホンある?!イヤホン!!早く!!」
結介「いきなりなんだよ!っだー!!引っ張んな引っ張んなコード切れる!!」


暁は何に気を惹かれているのか結介のイヤホンを剥ぎ取り自分の携帯に挿して両耳をシャットアウト。


結介「………なんなのこいつ!!」


不満な結介は暁の携帯の画面を覗き込む。そこにはカラオケで歌う一人の少女が映し出されていた。


結介「……………。」
ガサッ…
暁「?!びっくりしたぁ…何?!」


気になりすぎた結介、暁の片耳からイヤホンを引っこ抜き自分の耳にさす。


結介「…え、男?」
暁「いやいやいや見ればわかるでしょ。女女。」
結介「声めっちゃ男…しかもクソ上手くない?」
暁「うん、お願いだから黙っててくれ」


少しムッとしながらも大人しくなる結介。二人はまるでカップルのように一つのイヤホンでトゥイキャスを視聴する。


画面の中の少女はどんな歌でも華麗に歌い上げ、その反応はコメント欄を潤わせていった。


…ーピピピッ
『あ、充電………!!見に来てくれた人有難うござました!電池ないから落ちますね〜ではまた〜!』


暁「うおー!!まじかよいいとこだったのに!!終わっちゃった!!もっと聴きたいもっと聴きたいもっと聴きたい!!!!!」
結介「この人ホント何者?ちょっと俺もハマりそう」
暁「でしょ?楽しいでしょ?!てか歌聴いてたら歌いたい気分!!ゆうすけ!!カラオケ行こう、カラオケ!!!!!」


強引に腕を引く暁と、タジタジになる結介。すると二人の前に結介と瓜二つの顔。


「暁、結介何してるの?帰り?」
暁・結介「李音!!!!!」


彼は結介の双子の弟の三門李音(みかどりおと)。生徒会の一員で何かと忙しい李音だが、二人がトゥイキャスに夢中になっている間に雑務をこなして教室に戻ってきた樣。


李音「俺も一緒に帰るわ!暁!モンハンの続きやろーぜ!」
暁「今日はカラオケ行きたいの!どうしても行きたいの!!!!!李音も強制ね〜ほら行くよ〜」


二人共暁には適わないので、少しの敗北感と疲労感を感じつつも抵抗することなく学校を後にした。

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  • 小説
  • 掌編
  • SF
  • コメディ
  • 青年向け
更新日
登録日
2014-11-13

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