Why do they fight?〜第1章〜
晴れ渡る空。白い雲。
俺の名前は、ソーマ・オックスフォード。コードネームはANTARES。第3大隊『トライアド』のβ部隊の隊長だ。
今、俺は基地の玄関近くに座って、読書をしている。
外の空気は少し火薬臭い…。
まぁ、そんなことはどうでもいいんだ。
俺の手には聖書が抱かれている。
パンッ!パパパパパパパパンッ!
さっきから銃声がうるさいなぁ…。
いつからだろう…。
銃声の聞こえるような場所で聖書(エロ本)を読むようになったのは…。
おっ!?可愛いなぁ、この表紙の娘!
ふんふん、中身は?ぬぉおおおおおおおおおおおおお!!!
「隊長ぉおおおおおお!エロ本なんか読んでないで援護してください!」
味方の一人が報告に来る。
「うるさいなぁ…。俺は今、エロ本読むのに忙しいの!」
戦場でエロ本を読む。これほどスリリングなことはないぜ。
「隊長ぉおお!敵に増援です!エイリアンがどんどん増えていきます!」
さっきとは別の隊員が俺に報告に来る。
「だったら、こっちも増援呼ぼうか。そしたら、俺は読書の続きを…」
「隊長が戦えば事足りるんですよ!」
「俺はライフル握るより、自分の下半身のカルバリン砲を握らなきゃいけないの!わかる!?」
「わかりませんよ!意味もわかりません!」
「もう3日も抜いてないんだよ!男性は1日でも抜かないと病気ななるの!」
「それは隊長だけですーーーーーーーーーー!」
Why do they fight?
彼らはなぜ戦うのか?
よく、聞かれるが、俺はこうだ。
この至福の時のために戦う。
その時…
パーーーーンッ
敵の流れ弾がこちらに飛んで来る!
ヒュンッ…バスッ…
『あっ…』
俺と隊員達の声が重なる。
流れ弾は、奇麗に俺の持つエロ本の表紙の娘の顔を撃ち抜いていた…。
「たっ…隊長…。とりあえず、エロ本のかわりにライフル持ってください…。」
隊員がなにか喋っているが、俺には聞こえない…。
「シット…」
「はい?」
「シットファッキュゥーーーー!このエイリアン野郎ぉおおおおおおお!」
俺は我を忘れて走り出す!…最前線に向かって!!!
「隊長!落ち着いて!」
「離せ!あのクソエイリアンのヘッドをブチ抜いてやるっ!」
「危ないですって!」
「あれは、わざわざAM◯ZONで取り寄せた、JAPANで一番売れてるエロ本だったんだぞ!」
「どうでもいいですって!危険ですから下がって!」
「どうでも言い訳ねぇだろうがぁあああああああああああああああ!」
…閑話休題
「で?今の状況は?」
とりあえず、作戦司令室に戻って来た。あの聖書は仏壇に飾ってある。なむさん。
「この基地は完全に囲まれているぜ。」
彼はレイ・カーター。俺の小学校からの友人だ。
「西口は完全に崩落して出て行く事は不可能。南は…」
「あぁ、もういい。報告はいらん。」
レイの報告を遮って、館内無線に言い放つ。
「現在、我がβ部隊は完全にエイリアン野郎に取り囲まれている!味方の増援を要請しているがいつになるかわからん!逆に言えば、この敵を全て我々で倒せば、手柄は総取りだ!」
おおぉ…っと、基地内の兵士達の中に衝撃が走る。よし、メンタルは悪くないな。
窮地に陥った時はメンタルを高く維持しないと脱出はできない。βの隊員はよく訓練されている。
「現時刻を持って、俺の指揮下にいる兵士全ては死んだ!お前達は死んでいる!生き返ることができる鍵は敵の包囲網の外だ!それはJAPANのエロ本だぁあああああああ!」
『うぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!』
味方が雄叫びをあげ始める!
「行くぞ、てめぇらぁああ!俺のエロ本の弔い合戦じゃぁああああああああああ!」
『うぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!』
「待って!皆!騙されてる!隊長に騙されてるよ!?」
レイがなにか言っているが奴らの耳には入るまい。奴らにはアドレナリンが大量に分泌され始めている。
「てめぇら、武器を取れ!見敵必殺!一撃必中!俺達は…」
『トライアドぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!』
敵は、不意を突かれたらしい。
包囲を破るのは時間の問題だった。
ちりじりになって後退して行く敵を追って、兵士達は追いかける。あいつらの目は狩人の目だ。
『エロ本んんんんんんんんんんんんんんんんんん!!!』
兵士達が新しい合い言葉みたいにエロ本と言って敵をなぎ倒して行く…。
「副隊長から伝言だ!1匹倒すごとに、隊長からエロ本1冊らしいぞ!」
『ふぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!』
なにぃ!?レイの奴め…!俺の通帳に記載される詳細は全て、エロ本になってしまう!
それを回避するには、援軍が来るまで俺が一番多く敵を倒さなくては!!!
「俺が一番多く狩る!!!」
その時、前方から味方の増援が来る!よっしゃぁ!エロ本は、段ボール10箱くらいで足りるだろう。
「隊長!援軍、遅れました!すみません。」
この謝ってる奴は、ファビウス・レイヴンウッド。俺の弟の友人で、頼もしい部下の一人だ。ファルと呼んでいる。
「かまわん。ファルのおかげでエロ本を沢山かわずに済んだ。ありがとう」
「おっしゃる意味がわかりませんが…」
「わからなくて、いいんだ!ふはははははははははははははははははは!」
「そうですか…。あっ!オペレーターの沙織さんから伝言です!」
「む?沙織からだと?なんだって?」
「はい。えー、『先程の館内放送はマザーベースまで、回線で聞こえてましたよ?覚悟してくださいね?』だそうです!」
「早急に弟を呼べ…由々しき事態だ。」
「了解しました。」
そう言って走っていくファルを見送ってから、考える。
これは、ヤバい。沙織にエロ本のことがバレている…。基地の俺の部屋のエロ本は無事ではないだろう…。
冷や汗が止まらない…。すると、横にレイが来た。
「さっきは、面白い連絡をしてくれたじゃねぇか、副隊長さぁん?」
「そちらこそ、β部隊を自分のエロ本の弔い合戦に使ったじゃねぇかあぁん?」
にらみ合っても解決はしないので、とりあえず現状説明。
「やべぇじゃん…沙織が怒るとエイリアンより怖いぜ…」
レイは一度、沙織を怒らせているので怖さが身に染み付いているみたいだ。
「だから、弟を身代わりにしようと思ってなぁ…。」
「誰を身代わりにするんですか?」
出た、弟だ。名前はアルバート・オックスフォード。俺達はドリンクって呼んでいる。
「ドリンク、隊長命令だ。沙織に会いに行って来い。」
「…………ガクガクガクガク(汗)」
「ソーマ…ドリンクは嫌みたいだぞ?」
仕方ない…。自分で行こう。さよなら、エロ本。こんにちは、地獄。
近くのジープに乗り込み
マザーベース、いわゆる本部に行き、オペレーター室の扉をあける…。
「…おかえりなさい。ソーマ…。」
そこには、悪魔がいた。
後日…、β部隊の朝礼。
「今日は、この私、副隊長が指揮をとる。ANTARES隊長は一身上の都合により入院されている。怪我の度合いからして、全治5週間だ。」
Why do they fight?〜第1章〜