『 強がり喰らい 』
。
「……あ」
発せられた言葉はそれだけだった。
ミキちゃんの頭は怪物の大きな口の中。
喋れる訳がなかった。
ガジガジと美味しそうにミキちゃんを食べていく怪物。
あっと言う間に頭を食べ終え、首も肩も腕も手もちょっと大きな胸も食べてしまった。
私はただ立っているだけ。
ミキちゃんの目の前に立って、彼女が食べられるのを見ているだけ。
怪物が満足そうにゲップをして、消えた。
後に残されたのは、私と小さな小さなミキちゃん。
情けなく泣いている彼女には、いつもの凛々しい面影はなかった。
ピンク色うさちゃんのお洋服に、いちごポシェット、ぴこぴこサンダル。
「ほら、やっぱり無理してたんだ。ミキの馬鹿」
思わず私が抱き締めたら、ミキちゃんの泣く声が大きくなった。
『 強がり喰らい 』