『 強がり喰らい 』

「……あ」

発せられた言葉はそれだけだった。
ミキちゃんの頭は怪物の大きな口の中。
喋れる訳がなかった。

ガジガジと美味しそうにミキちゃんを食べていく怪物。
あっと言う間に頭を食べ終え、首も肩も腕も手もちょっと大きな胸も食べてしまった。

私はただ立っているだけ。
ミキちゃんの目の前に立って、彼女が食べられるのを見ているだけ。



怪物が満足そうにゲップをして、消えた。
後に残されたのは、私と小さな小さなミキちゃん。
情けなく泣いている彼女には、いつもの凛々しい面影はなかった。
ピンク色うさちゃんのお洋服に、いちごポシェット、ぴこぴこサンダル。

「ほら、やっぱり無理してたんだ。ミキの馬鹿」

思わず私が抱き締めたら、ミキちゃんの泣く声が大きくなった。

『 強がり喰らい 』

『 強がり喰らい 』

極短小説。

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2014-11-07

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