敗戦
空の目玉がジリジリと
あの隙間から
私たちををみています
それに負けじと
私も隙間から目玉の光をみているのです
感じる熱さは貴方と私だけのもの
汗が流れ白いシャツが含んでいく様
後れ毛が絡まる木の実の釦
醜く妖しくドロドロに
溶け出した私たちを
目玉は執拗に追いかけてきているのです
「ウラヤマシイノデセウ」
目玉が山の彼方に身を隠すまで
私は全ての身をさらけ
サガを見せつけ睨むのです
サイレンが鳴る
焼け爛れた真っ赤な目玉は
時を刻むと狂ったように再来し
遂には
貴方の姿だけを
遠くに
遠くに
隠してしまいました
敗戦