『 河童様の秘密 』

河童は皿が弱点だなんて嘘だったんだ。
河童は胡瓜が好物だなんて嘘だったんだ。



「なんだいなんだい、今回のはぬるいねぇ」

バリバリに地球外生命体な奴が放った光線を、あんな小さな盾で易々と防いでしまった。
よく見てみると、盾を中心にエネルギー体の広域防御フィールドが構成されているみたいだ。

「どうやら日本に上陸したのはお前らで最後みたいだな」

頼りなく見えたナイフも同様。
見る見る内に刀身が大きくなり、そして、あっと言う間に。

「……おおっと、救援信号なんて無駄だぜ?先にぞろぞろ到着していたお仲間も、宇宙で待機している馬鹿デカい母船も、世界中の戦友が既に撃退済みだ」



「……」

妖怪とか怪物とか神話とか。
もしかしたら、彼らは遙か昔から密かに地球を……。

「さて、坊主。もちろん今見た事は黙っててくれるよな?」

ぬめぬめした緑はお皿シールドを被り直し、胡瓜ナイフを僕に向けた。

「も、もちろんでございます!」

河童様はお皿が弱点で、胡瓜が大好きな空想上の妖怪さんです。
秘密なんてないんです。

『 河童様の秘密 』

『 河童様の秘密 』

極短小説。

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2014-11-06

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