とある科学の空間移動

とある科学の超電磁砲の登場人物、白井黒子の過去物語。
アニメを見ていた方が読みやすくなっております。
初投稿作品です…大丈夫かな?(>_<)

百合要素や年齢制限はこざいません。
超電磁砲好きな方ならばOKです。
安心してお読みください( ´ ▽ ` )

風紀委員一七七支部。


風紀委員は今日も学園都市の平和のため仕事をしている。


彼女たちの仕事は、危険が付きまとう能力者絡みの事件から、ごみ拾いの小さな仕事まで様々だ。


今日の仕事は、主に書類整理らしい。彼女たちの机にはどっさりと、目を逸らしたくなるくらいの
書類の山が出来上がっていた。


そんな忙しい中だが、白井はいない。


能力者の喧嘩があったと通報があり、急遽白井が対応することになったのだ。

能力者の喧嘩はただの喧嘩で済まされない。周りが巻き込まれ、負傷者が出る可能性が高い。


初春は彼女をサポートするため、書類の山から複数のディスプレイが置かれている机に移動した。


『白井さん、例の能力者はLevel3です。気をつけて下さいね。水流系の能力で、結構暴れてますから…』


白井はスカートの下に金属矢を素早く装備し、準備を整えながら言った。


『何を言っているのです。心配には及びませんわよ、初春。この白井黒子に任せておけば大丈夫ですの。それよりも固法先輩、私が帰るまでその書類の山をお願いします。すぐに戻りますわ』


『こっちはいいわよ。行ってらっしゃい』


『では、行ってきますわ。初春!指示をお願いしますの』


『はい!』


初春の返事を聞いてすぐ、白井の姿が消えた。


  空間移動。


白井黒子の能力はLevel4の空間移動なのである。


『白井さん、行ったわね』


『はい。…白井さんの能力、恰好良いですよね。いつも思っちゃうんです。私もLevel4になりたいなあ』


『そうねえ。白井さんはずっと頑張ってたもの。あなたもなれるわよ、絶対にね』


『えへへ…私も頑張らなくちゃ!あ、そういえば、固法先輩ってLevel4になる前の白井さんをよく知っているんですか?』


『そうよー。わりと、長い付き合いかもね。』


『聞いてもいいですか?昔の白井さんのこと。実は私、あまり知らないんです』


『いいけど、内緒ね?』


『はい!お願いします』



風紀委員に志願したのは小学5年生のとき。
学園都市に58人しかいない空間移動能力者であり、正義感がある白井はすぐに風紀委員に採用された。


どんな少女なのだろう、と皆が期待をして白井を迎えた。


見た目は、大人びた雰囲気のある普通の女の子だった。
その小さな瞳は芯の強い彼女の性格がよく表れている。


固法も皆も白井を歓迎し、快く迎えた。


風紀委員となった白井は、すぐに訓練に取り掛かった。


基礎的なトレーニング、空間移動のレベル強化。


トレーニングは、固法とペアを組んで行うことになった。


『何故ですの⁈先輩!私には空間移動能力がありますのに。このような運動は意味がありませんわ!』


『こらこら、文句言わないの!学園都市には色んな能力者がいるんだから、風紀委員は身体を鍛えることが必要なのよ』


『はあ…わかりました。志願したからにはやってやりますわ』


気の強い白井とぶつかることのない固法は、まさに白井のパートナーに適任だっただろう。


白井は、文句を言いつつも、キツイ訓練を頑張り続けた。
あの華奢な身体で、よく耐えられた。と固法は思った。



そして、白井の場合、能力強化も同様に訓練をしなくてはならない。Level3の白井がLevel4になるには自分自身を空間移動させる必要があったのだ。


夕方まで他の風紀委員と共にトレーニングをし、その後は研究者らしい白衣の女性に迎えられ、白井は研究所で能力強化を行ってい
た。


『時間ですわね。私はこれで失礼します。先輩、今日もお疲れ様ですわ』


その台詞を言った白井の顔はどこか不安気で、いつもの彼女の表情と違った。



どのような内容で能力強化を行っているか、固法たちは知らされていない。


学園都市は非道な方法で子ども達の超能力を開発しているという、黒い噂がある。


白井もその類の能力強化だったのだろう。なんとなくだが、固法は知っていた。だからこそ白井にはそのことに触れないようにしていた。


時には包帯を巻いている日もあった。
空間移動は座標の計算をした上で行う。少しの計算のズレが生じただけで、大怪我をしてしまうのだ。


白井が無理をする性格だと知っていても、この大怪我だ。流石に固法も黙ってはいられない。


『今日は駄目よ、休みなさい。能力強化の方もね。私から教官に伝えておくから…』


しかし、白井は、


『嫌ですわ!身体が使えないのなら、他の訓練をするまでですの。能力強化も休みませんわ。こんな怪我ごとき、この私に関係ありません』


訓練を続けて強くなる。
それを決して曲げなかった。


『でもね、白井さん!』

ボロボロになった白井を放っておけない。固法も引かなかった。


『ありがとうございます、先輩。私は大丈夫ですわ。それから…心配をおかけして申し訳ありません…』


心配してくれたことに感謝をし、
心配をさせてしまったことに詫びた。


白井は自分が許せなかった。
力不足で怪我をして心配をさせてしまったことに。

その努力が実り、白井はLevel4になったのだ。
普段は御坂にメロメロの彼女だが、真面目で頑張り屋の性格なのである。



固法の話を聞いた初春は、


『今と変わらないですね』


今も努力をし続けている白井の姿と重ねた。
相手には気を配り優しくもするが、自分には厳しい。白井は昔もそうだったのだ。


『でしょう?その後に銀行の一件があったのよ』


『はい。あの時のことは今も覚えています』


白井と初春は昔から知り合いだった。たまたま銀行で会ったときに、強盗事件が発生し、初春は白井に助けられたことがあったのだ。


『その後は本当に大変だったのよ。白井さんってば、トレーニングも能力強化も全部力が入ってしまって。でも、その甲斐があってLevel4になったのよね』


『そうだったんですかあ…やっぱり白井さんは白井さんですね』


『だから、あんまり無理させないようにしないとね。頼むわよ?』


『そうですけど、先輩でも止めれないのに私は無理ですよー。もう、その時は、御坂さんにバトンタッチです!』



白井は自分のことを多く語らない。どのような能力強化を行ったかもきっと誰にも言っていないだろう。


信頼しているお姉様、御坂美琴にも。


『何をこそこそ話しているのです⁈初春!初春!また仕事が追加ですわよ!今度は…』


白井はまだまだ止まらない。
目標に辿り着いたとしても、彼女は努力をしつづける。


『ああ、お姉様。暫しお待ちを…黒子はすぐに仕事を片付けてお姉様の元に帰りますわ!』


『御坂さんもですけど、大量の書類も待ってますからね?』


白井ならば憧れの超電磁砲に追いつく日が、きっと来るだろう。
彼女は決めた目標を必ず遂げるのだ。

とある科学の空間移動

お読み頂き本当にありがとうございました!
黒子といえば、変態のイメージが浮かんできますが、私が真っ先に浮かんだのは、恰好良い努力家の白井黒子でした。
黒子のように頑張れば、何でも出来る。
そう信じて私は色々なことを頑張れました。
読者さまにも信じて頑張れば成し遂げれることを伝えたいと思い、努力家の黒子を書きました。

今度は同じくらい大好きな、美琴も書いてみたいです。

とある科学の空間移動

お姉様大好き、Level4の空間移動能力者。 初春や固法が語る白井黒子の物語。 とある科学の超電磁砲の番外編の番外編でございます。

  • 小説
  • 掌編
  • 青春
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2012-01-29

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