叶わぬ恋とは知っていて

初めまして、ふら。と申します。
まずはこの作品を手にとっていただいたことにとても感謝しています。ありがとうございます。ご期待に添える内容が書けているかはわかりませんが、楽しんでいただければ幸いです。本作品は同性愛の描写を含みます。苦手な方はブラウザバックお願いいたします。それでもよろしい方はごゆっくりお楽しみください。

Epi.1 俺と碧海

最近俺は少しおかしい。
何故か?それは俺にもわからない。ただ、碧海に抱いている感情が本来であれば異性に向かれるはずである"好意"であるということも分かっている。だからおかしいのだ。
我ながら気持ち悪い。いつから俺はこんなに道を外してしまったのか。


俺、菅野 湊(かんの みなと)と神咲 碧海(かんざき あおい)は幼少期からの幼なじみだった。俺と碧海との家の距離は約30センチ。小学生の時に筆箱から買ったばかりの30センチ定規を当てて二人で図ったのを覚えている。俺はその頃から碧海が好きだった。今ほど自分は周りとは“違う”と認識していたわけではない。だが、その頃からもう俺の視界にはあいつしかいなかったんだ。

ふとしたある日。俺は碧海の腕に大きな青あざを目にした。そのことを碧海に問うと、目の前で友人がボコボコにされるのは見るにも耐えず、よくやり返していたもんだ、いつも負けていたけど。それでも碧海は泣きながら必死に笑顔作って「もうだいじょうぶだから、おれいたくないから」って言うんだ。他の女の子よりずっと可愛かった。

そんな頃から碧海は全然変わってない。純粋なまま。
だから俺のこんな気持ち、知られてはいけないんだ。

Epi.2 凪紗

朝5時半。耳煩いアラームを止めて起き上がる。身支度を済ませてリビングに降りると妹の凪紗(なぎさ)が早くも起床し、弁当を作っていた。
「お兄ちゃん、おはよぉ〜」
とあくびをしながら挨拶をする凪紗に、手短くおはよ、と返す。早く家を出なければ間に合わないと足を急かしていると、凪紗がいつものように聞いてきた。
「今日も碧海くん家に迎えいくの?遠回りじゃない?」
「ああ。いくよ。いつも早く弁当作らせちまって悪いな、凪紗。」
「いいのいいの!気にしないで。ほら出来たよ、行ってらっしゃい」
「行ってきます」
両親が早くも離婚、そして亡くなり、この家には俺と凪紗しかいない。そんな環境だからか、結構仲がいい。喧嘩もあまりしたことがない。俺には良すぎる妹だなぁとまで最近思う。いつかどこかで遊ばせてやりたい。
そんなことを考えながら自転車を漕ぎ、電車で1時間。碧海の家に着く。前は隣にあった家だが、両親の事情により引っ越してしまった俺との家の距離は少し遠くなってしまった。以前はこっそりベランダから双方の家に行って遊んでばかりだった。恋愛感情を持たずに碧海に接することができたあの頃に戻りたい。そんなの叶わないのだけれど。
そして今日も、彼の家の門の前に立つのだ。

Epi.3 俺の日課。

ピンポーン……
チャイムを押すが、碧海はなかなか出てこない。どうせ、また寝ているのだろう。碧海の両親は今年から海外へ仕事に出ている。そんなこんなで朝が弱い碧海を今日もまた俺は起こしに来るのである。まあそういう名目で碧海と居る時間を増やしたいというのもあるんだけど。ここだけの話しな。
「おじゃましまーす。碧海ー起きてるかー?」
そう呼びかけるが、返事はない。それはいつものことだ。「上がるぞー」と声をかけ、碧海の部屋へ一直線。扉を開けると、案の定、碧海は安らかに眠っていた。その額にデコピンを軽くかます。「おーい、起きろ」そういうと碧海はのそのそと起き出す。こいつ朝弱すぎだろ。すると、やっと碧海からの一声。「おはよ、みなと。」いつものことだが、この瞬間が一番幸せだ。好きな人と朝を迎えることがこんなにも幸せに満ちているだなんて、案外、人生は小さな幸せで満ちあふれているのかもしれない。何語ってんだ俺。
「じゃあ俺はメシ作っとくからお前は早く準備しろよ。あとよだれついてる。」「ふぁっ!?あ、ありがとう!なんか恥ずいな…」
そして今日も、いつもと変わらない朝を迎えるのだ。

叶わぬ恋とは知っていて

まだまだ制作途中です。時間を縫ってばちぼち更新するつもりです。

叶わぬ恋とは知っていて

湊と碧海のすれ違いラブストーリー。※ボーイズラブ小説です。苦手な方はご遠慮下さい。

  • 小説
  • 掌編
  • 青春
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2014-11-03

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  1. Epi.1 俺と碧海
  2. Epi.2 凪紗
  3. Epi.3 俺の日課。