サンタクロースがいない夜

サンタクロースがいない夜

その年のクリスマス・イヴの夜にサンタクロースは来なかった。

ケーキにチキン、両親からのプレゼントで子供達は大満足でサンタクロースが来ない事を少しも不思議に思わない。

サンタクロースって何?いるわけないじゃん。そんな事より両親から貰ったゲームで遊ぼう。限定品のおもちゃで遊ぼう。冬休みだから遅くまで起きていられる。サンタクロースを待って早く眠る子供なんてもうどこにもいない。

サンタクロースは閉じ込められた。誰も信じてくれないから。でも何処に?

私ももう引退かな…サンタクロースはさみしそうに呟いた。

閉じ込められたサンタクロースは子供達にプレゼントを持って行きたくても行く事が出来ません。持って行ったところでサンタクロースの質素なプレゼントではゲームや限定品のおもちゃに敵うはずもないのだけれど。

昔はみんな喜んでくれてたんだけどな。信じてくれてたんだけどな。

サンタクロースは閉じ込められた。子供達の心の中に。

サンタクロースがいない夜

サンタクロースがいない夜

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2014-11-02

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted