京天の日々

つるぎと天馬のラブラブストーリー

「つるぎィー!」

紫色の制服をはおった後ろ姿を見つけて呼び止める。だがかけ寄っても振り返ってくれない。気付いてはくれてるんだけど。相変わらずそっけないなぁ。剣城らしい…。

「つるぎ!!買い物いこうよ!!」

「1人で行ってくれ」

言い捨ててスタスタ先を行く。負けじとおいかけてしつこく話しかける。つるぎの顔をのぞき込むと眉間にしわが寄っていた。

あ、やばい 怒ってる。

「なんだお前は。」

「松風天馬です。」

「いや知ってる。」

やっと会話をしてくれた。ここから一気に…

「つるぎ!!なんかつるぎのスパイク破れてたよ?」

「え?」

「スパイク買い直しに行こうよ!俺も買いに行くからさぁ!ねぇねぇねぇねぇねぇねねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇ」

「うるせぇ!!」

つるぎの迫力ある声にして一瞬怖じけづいた。

 「わかったよ…行くから黙れ」

 「え!?本当!?やった!!」

 やっとOKが出た。つるぎはため息をつき校舎の入り口へと向かった。

 「あれ?授業は?」

 「うるせぇ」

 そして出て行った。なんて素っ気ない返事。しかしこれがつるぎ。つるぎなのだ…

 「ツンデレつるぎ…♂」


 「つるぎぃーーーー!おまたーーーー!」

 部活帰り、待ち合わせの場所へ、恋人同士のようだ。すると、なんと私服のつるぎが携帯をいじりながら俺をチラ見した。 

 「格好いいいぃいいぃぃいいいぃぃ!!!」

 叫んで飛びつく。珍しくつるぎがかわさなかった。咄嗟に画面を閉じびっくりしたように「うっ」と声を上げる。抱き付いてそのまま倒  れ込んだ。

 「おいどけ!!」

 「ごめんね」

 いそいそと立ち上がって砂埃を払うようにズボンをたたく。

 私服のつるぎ。何か格好いいバッグを提げてネックレスを付けていた。

 「何してたの?」

 「別に…」
 
 そっぽを向いて携帯をバッグへ戻す。

 「あ、あれでしょ?優一さんにメールしてたんだ!」

 「ばっ・・・か」

 照れたように目をそらす。図星か。可愛いやつミー。

 「そーだ、早く行こう」

 「・・・」                                                                              
 

 ベンギーゴスポーツ品店。色々なスポーツ用品がそろっている。

 「ウオーかっけー。“じょうねつのミサンガ”だって。いる?」

 「いらん」

とりあえずお目当てのスパイクを探すことにした。使用するのは学校以外のものでも良いのだ。神童先輩の格好いいスパイクにあ こがれていた。つるぎは別にスパイクのみために興味はないようだが、きょろきょろ探しているとつるぎカラーのスパイクを見つけ  た。                                                                              
 「おっこれつるぎに似合いそう!」

 「どうかな。サイズが0・5違う」

 「ああ、そうか」

 てかつるぎのサイズ知らないし。でも足にフィットしなきゃ意味ないよね。
 「これはどうでしょう」

 「履いてみるか」

 つるぎが靴を脱ぎ、スパイクを試着した。おお、美しい…

 「駄目だな」

 「え、そ、そうですか」

 つるぎってば…厳しい…あ、これは俺がほすぃ。早速試着してみた。おう、良いなよくフィットしている。これなら欲しいかも。そう   だ…

 「ねぇねぇつるぎ!」

 「ああ?」

 「似合ってる!?これ!」

 モデルポーズをしてつるぎに見せつけた。

 「ああ」

 「え゛ーーーーーーーーーーー!!!?」

 つつつつるぎが俺を褒めるなんて。絶叫した。

 「なんだおまえ」

 「買う買う!これ買う!高いけど買う!」

 店の中でバレエを踊りながら感涙した。これは嬉し泣きだ……

 「勝手にしろ」

 「俺とおなじやつ買えば?」

 「26.0取ってくれ」

 26cmなんだ。とおもいながらいそいそとスパイクを取る。

 「・・・なるほどな」

 「どう!?どうよ!!?」

 納得しているのか違うのかよくわからない。靴を脱いでかごへ放る。

 「良いんじゃないか、これで」

 つ、つ、つ、つ、つるぎとペアルックだああああああ

 「愛してるーーーー!」

 抱き付こうとした瞬間すいっとよけられた。きついぜ兄さん。

 「ついでにほかのものも見に行こう」

 「・・・・・・」

 無言のつるぎを無理矢理引きずり、店の奥へ進む。流石、色々とそろっている。すると、リストバンドコーナーに目が行った。

 「あ、リストバンド。つるぎいつも付けてるよね?」

 「ああ」

 カラフルなリストバンドを見回し、格好いいものを探した。

 「あ、“T”だって。つるぎのイニシャルじゃん」

 「お、おう」

 黒の“T”のリストバンドをかごに入れた。

 「これ、つるぎのね!」

 「え」

 そして今度は赤いデザインの“T”のリストバンドをかごに入れる。

 「こっちは、俺の“TENMA”の“T”!」

 無言でかごの中の二つの“T”を見つめるつるぎ。何を考えているのかわからない。

 「きっとつるぎに似合うと思う!」

 そしてレジスターで会計してもらう。5000円と少しだった。つるぎとそれぞれを払い、店を出た。

 「つけてみようよっ」

 リストバンドを袋からだし、左の手首に付けた。つるぎも付けて、ガン見している。」

 「似合うじゃん、これからつけようっ」

 「天馬」

 つるぎが口を開いた。

 「何?」

 スッと左腕を格好いい位置に上げていった。

 「ありがとう」

 ……………? えっ? ??

 「い、い、い、今なんと」
 
 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 つ、つ、つ、つ、つ、つ、つ、つるぎがあああああああああああ

 あ り が と う っていったああああああ!!!!!

 「好きだーーーーーーーーあぁぁああぁ!」

 つるぎに抱きつこうとして飛んだが、それも軽くよけられ、地面にダイブした。
  
 「ぶはっは」

 「・・・何してるんだ」

 あきれ顔で天馬を見下し、スタスタと前を行く。

 「ま、待ってよーー!」

 「・・・」
 
 つるぎは自分の左の手首を見つめ、リストバンドをさすり、優しくほほえんだ。

 「・・・ふっ」

 



 ~お・ま・け~

 神童「ん、つるぎ、なんだそれは。買い換えたのか?」

 つるぎ「はい、ちょっと・・・」

 天馬「つーるぎー!いこー!」

 つるぎ「はぁ・・・」

 神童「・・・・!!!なるほどな。剣城、結婚おめでとう」

 つるぎ「は?」

 天馬「ありがとうございます!!!!!」

 つるぎ「は?」




 ~つづく~

京天の日々

まだまだつづくよ

京天の日々

天馬とつるぎが買い物に行く。

  • 小説
  • 掌編
  • コメディ
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2014-11-01

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